よもやま話し
第4弾
リンゴの想い出

昔々その昔、札幌に住んでた頃。父が車を買いまして。そしたら、余市町のリンゴ畑でリンゴもぎ放題! という日帰りツァーにご招待されたんですね。子供時代の幸せな記憶の一こまになってます。 だって、リンゴもぎ放題持ち帰り放題、ですよ?すごい大盤振る舞いだったと思われます。

余市町というのは、札幌市のちょっと西の方にある果物の産地でとくにリンゴが有名です。 ニッカの工場もあって、その日は最初に工場の見学。初めてアップルウィスキーというものを舐めて、 (あー、おっほん。その時ミミズはまだ小学生ですが、)こんなに美味しいお酒があるものかと 感動したのを覚えています。(その後、買ってくれと親にせがんだ。親は買ってくれた。おいおい。)

そしてハイライトのリンゴ狩り。大きく実った、多分あれはフジじゃなかったかと思いますが、 リンゴをもいで食べたりしましたがその後はもう、いかに沢山持って帰るかという争奪戦のような有様で。 確かあの箱、6ケ入りだったよなあ。詰めちゃ車に積み詰めちゃ詰み、しまいには面倒くさくなって 直接トランクへ。(農園の方も喜んで手伝ってくれました。)買ったばかりの新車のトランク一杯に リンゴを詰めて帰ったのです。こんなことは一生涯二度とあるまいと子供心にも思いました。 ないです、当然のことながら。

しばらくおやつはリンゴ一個丸かじり、でした。蜜入りの美味しいリンゴでした。 こんなにいっぱいあったら、最後はボケボケになっちゃうかもと思いましたけど、 あっという間に無くなってそんなこともなく美味しく食べきりましたっけ。 もちろん生で食べるだけじゃなく、ジャムも作ったしケーキも焼いたし、輪切りにしたリンゴのソテーを 分厚いハムステーキに添えて(これは確か父と娘一同の要望で)、なんて料理も食卓にのぼりました。 でも、一番美味しかったのはやっぱり丸かじりかな?飽きないですよね、リンゴって。

母は今でもリンゴが安くなる頃に毎年ジャムを煮るんですが、中学生の頃、友達とそれぞれの母親が 作ったリンゴジャムを交換したことがありました。うちの母のジャムは、 シナモンを入れて実がくたくたに崩れるまで煮込むので飴色なんです。友達のうちのは紅玉を使って、 リンゴの乳白色が残るようにあっさりと煮てありました。ジャムにも家庭の味があるんですねえ。 こういうとき、やっぱりお袋の味が一番と思うのが子の常のようで。

母の得意のお菓子にリンゴのカトルカーがあります。カトルカーって、 本来は小麦粉・卵・バター・砂糖が全分量の四分の一ずつになるよう混ぜるからカトルカーなんですが、 その通り作ったら恐ろしくリッチなケーキになります。母のは適当にバターを減らし、 砂糖は極限まで減らし(時にはしくじって甘さが感じられないくらい・苦笑)、 リンゴの甘酸っぱさが効いたあっさりしたケーキです。 いくらでも食べられるので却って危険かもしれない(爆笑)。

ミミズも真似して時々作ります。まず失敗しません。本当に簡単で思い立ったらすぐに作れます。 私にとっては、もっとも親しみの湧くお菓子です。

('03.10.20)   


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