よもやま話し
第5弾
チョコレートにまつわるよもやま話

 このお題はやばいな。ネタがいっぱいありすぎて収拾がつかなくなりそうです。 ミミズが何でこんなにチョコレートに思い入れがあるのか、 バレンタインデーにこだわるのか。その辺を書こうと思っているのですが。

 ミミズも学生の頃までは、ごく普通に簡単なものしか作らない普通の女の子だったです。 クッキーなどの焼き菓子、それにゼリーやババロアなどの冷菓専門。 中学の調理実習で作ったオレンジゼリーが発端だったと思います。 高校は周りに何にもない田舎の女子校だったから、 チョコレートをあげたくなるような男の子に出会ってときめく機会は無かったし。 大学はダチになるやつばっかりだったし。 実はわたくし、恋の告白のためにチョコレート作ったこと無いのでした。 と書くと中には、えーっと思う人いるでしょうね。詐欺じゃんそんなのぉ、みたいな。

 ミミズがチョコレートに関わるようになったのは、純粋にお仕事がらみです。 色気のない話ですが、ま、それだけ情熱を傾けた仕事だった訳ですよ。 入社4年目にしてようやく全面的に任された仕事でしたからね。

 当時いた職場にはいわゆる催し物会場があって、ミミズは専属の販売員でした。 「催し物」ですから年間通して色んな特集を組むんです。梅雨時は傘、 クリスマス時期はサンタブーツ。で、バレンタイン前の一ヶ月は手作りチョコ大特集。 20坪近くある会場で、何を売るか、どこからどれだけ仕入れるか、どうやって並べるか。 これをぜ〜んぶ担当者が決めるんですから、にわか個人商店主ですわ。 今だから白状しますが相当勉強しました。それこそ必死で。 もっとも、文系人間のくせに化け学好きなので、面白かったのも事実です。 チョコは科学です、はっきり言って。

 1年目はさんざんでしたけどね。バレンタイン直前の売場が、 あんな凄まじい有り様になるなんて知らなかったんですもの...。品切れ続出。 取引先もずいぶん協力してくれましたけど、もはや問屋さんにもメーカーさんにもモノが無い。 直前にあたふたしても後の祭りなんです。売場は女の子であふれかえって立錐の余地もない。 そこに無理矢理割り込んでやっと届いた品物を並べる。並べるそばからお客さんが 奪い合うようにして持っていく。本当の話です。

 売場に立ってると次々と声がかかる。アルバイトさんたちからもひっきりなしに呼ばれる。 要するに、お客さんからの質問に答えられるのがミミズしかいないんです。 お菓子の本を握りしめて「これは一体なんだ?どこで手に入るんだ?」って、 せっぱ詰まったお客さん相手に説明を繰り返していれば、そりゃあミミズの知識は増えますけど。 やってられないので2年目に用意したのが、「お菓子づくり用語辞典」の もとになったものです。印刷してスタッフ全員に配ったんです。好評でした。 そう、ミミズはお客さんに育てられたんです。

 2年目以降は、初心者に優しく中級以上の人にもそれなりに満足してもらえる、 広く深い売場を目指してさらに自分の首を絞めました。チョコレートだけに特化してたらこれ以上 売り上げが伸びない!という商売人根性が芽生えたのです。単発の製菓関連売場で あれだけの品揃えは、まず他には無かったろうと自負してます。事実、「この時期じゃないと こういうのなかなか手に入らないのよねぇ」とか言いながら、山ほど買ってくれるおばさまとか いましたっけ。今は残念ながらあの売場はありません。会場自体が無くなっちゃったので。

 結局、4回バレンタインを担当しました。バレンタインの企画って夏には始まるんですよ。 クリスマスたけなわの頃は狂ったように発注書を書いてます。4年間、年がら年中お菓子のことを 考えてた、そしたらこのような手作りチョコフリークが出来上がったのでした。 お分かりいただけました?

 「催し物」から足を洗った今でも、折角の知識と多少の技を忘れないために、バレンタイン時期には せっせとチョコレートを作ります。毎年4〜5種類作るかな?基本を覚えればいくらでも バリエーションが広がって、レシピのアイデアがどんどん湧いてくるので、 大変ながらもとても楽しい作業です。

 紳士淑女の皆さま!手作りチョコは美味しいの。 そこで引いてないで美味しく作って美味しく食べましょうよ。

('05.1.10)   


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