「みずっち的日常」





決戦は金☆曜日

初めての方は先に“仕事納め☆ぶらぼ〜”をお読みください。その方がより理解できます。

「みずっち君、これどうしても今日中に終わらせて!」

私の職場では、金曜日は一応 “ 定時間の日 ” と云う事になっている。
趣旨は普段残業があり早くは帰れないのだから、せめて金曜日くらいは
帰ろう、曜日なんだから、( ※ 貧乏人除く )と云う意味であろう。
しかし困った事に上司のMさんは金曜日、しかも5時がせまってから
「これ今日中にやって!」を連発するのである。

「なんだみずっち、ま〜たいつもの如くMさんに捕まってんのか。
 出来ねぇモンは出来ねぇっすって、いっぺんビシッ!と言った方がいいって。
 ヤツを甘やかしちゃいけねぇよ。」 とは先輩Kさんの談である。

事実、Kさんは先週Mさんと一戦やらかし、強行に帰ったのである。
理由がゴルフの打ちっぱなしに行く為だったのだから、『オイオイどっちが
甘えているんだよ!』 
とツッコミの一つも入れたい所ではある。

『先週はアンタが帰ったせいで、 こちとら余計な仕事が
増えてオンナとの待ち合わせに間に合わなかったんだ
このトンチキ野郎!』
  なんて言えるものなら、多少は気も晴れよう。

しかし端くれも端くれ、ほとんどはみ出しちゃってるとは言え、私も一応
サラリ〜マン。 面と向かってそんなツッコミは入れられない。
やはり「サラリ〜マンは気楽な稼業と来たもんだ〜♪」等と歌うような輩とは、
仮に私が ニュータイプ だったとしても分かり合えそうにもない。

『あれ? でもKさん、今日は残業やってくんですか?』
「ま〜な、やっぱ最後の仕上げは俺じゃないと出来ねぇのかと。 言ってみれば
 人助けだと思って残業するって訳よ。」
『お、さすが。 この部署の リリーフエース って訳ですね?』
「あたりまえよ、ピッチャーで言えばハマの大魔人佐々木(現シアトルマリナーズ)
 みたいにオトコは黙って直球勝負、って奴か。」
『どうですかね。 Kさんは、オチは佐々木のフォーク並に付いてるんですけど。
 どっちかと言うと変化球主体で、 防御率は悪め なんじゃないですか?』
「うるさいなほっとけ! いいから自分の仕事しろ、自分の。」

実はKさんが週明けの月曜日、課長に注意されていたのは周知の事実で、
何の事はない、いやいや残業している事は明白なのだ。
ピッチャーで言えば投げる球種がバレている様なものである。
多少は先週の意趣返しをしておきたくなるが人情と云うものなのだ。

『あ、そういえばKさん。 僕は今日ちょっと用事があってもう帰るんですよ。
 そうMさんに言ったらじゃあKさんに引き継いで貰ってって事だったんで。』
「ちょいまち、俺これ今日中に終わらせるのだけでも精一杯なんだって!
 そんなには手ぇまわんないって!」
『いやいや、ここは一つリリーフエースの本領発揮でお願いしますよ。じゃ!』

お願いしたのは今日中の仕事ではないから、後でMさんに「今日でなくていいよ」
と伝えてもらう手筈であり、まぁささやかな意趣返しといった所である。
どうせ抱えていた分の仕事だけで午前様は確定的だったのだから。
Kさんに僕からの教訓を伝えるとすれば

【今世紀最初の教訓】
 今日できる事は明日やりゃいいんだ! 

今日中に出来ないなら徹夜してやれ!

って感じかな。 特命リサーチ200Xなどで語られるような夢の21世紀は、
どうやら血道に明け暮れる激務の上にのみ、成り立つものなのかも知れないな。




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