Oscar | 今西 恵施 |
Felix | 中西 基 |
Murray | 庄賀 信彦 |
Roy | 谷川 典子 |
Speed | 春山 哲彦 |
Vinnie | 岡田 進 |
Gwendolyn | 田中 玲子 |
Cecily | 水谷 友吏子 |
Director | 田中 朗 |
Set & Property | 今西 恵施 庄賀 信彦 谷川 典子 |
Lighting | 田中 洋二 |
Sound Effect | 田中 玲子 |
Costume | 谷 すみ子 |
Editor | 田中 朗 |
第1幕第1場
夏の暑い夜、オスカーのアパートに彼の四人の友人たちが集まって毎週恒例のポーカーをやっている。オスカーはニューヨークポスト紙のスポーツ記者で、快活で人づき合いがよく、タバコ、酒、仕事と人生のすべてをわけへだてなく楽しむタイプの男である。40歳になる彼は数か月前に妻と別れ、今は寝室が八つもあるこの広いアパートに独り暮しをしている。女手のない部屋は散らかり放だい。オスカーは身の回りの細ごましたことには全くこだわらない男である。今ではカリフォルニアに住んでいる別れた妻から電話がかかって来て、未払いの800ドルの養育費を請求してくるが、そんなことにも無頓着である。
ポーカーのいつもの顔ぷれのなかの一人、フィリックスが今夜はまだ姿を現わさない。しばらくして仲間の一人の妻から電話がかかってきてフィリックスが昨日から行方不明になっていると知らされる。オスカーがフィリックスの妻に電話をしてみると、彼ら二人が別れたことを知る。友人たちがフィリックスのことを心配気に話しているところへ当の本人が現れる。友人たちは素知らぬ顔でふだん通りゲームを続けていたふりをするが、その実、彼の一挙一動が自殺のことを考えてのことではないかと心配で仕方がない。フィリックスが窓辺に寄ると急いで窓を閉め、トイレに入っても一人にしておけないと一同一斉にトイレのそばに寄り中の様子をうかがう始末である。フィリックスが丸薬を飲んだと言うので一同太騒ぎするが、しばらくして実はすぐに吐き出してしまったというので自殺騒ぎにもけりがついて、友人たちは彼の身を案じながらも帰ってゆく。オスカーと二人きりになったフィリックスは首や背中が痛むといってオスカーにもんだりさすったりしてもらいながら、離婚したくはないとしきりにこぼす。そのなかでフィリックスがオスカーとは対照的に異常なほどきちょうめんな性格の男であることが明らかにされる。そんな男だから自分は結婚生活には適さないんだと言いながらも、まだフィリッグスは妻に未練を残している。オスカーが彼の妻に電話をして彼女の方ではせいせいしていることを確かめて、フィリックスの未練がましい態度に片を付け、自分のアパートで一緒に暮らす気にさせる。こうして二人の共同生活が始まるが、そうと決まるとすぐに持前のきちょうめんぶつを発揮しはじめるフィリックスの態度に、二人の生活も波乱含みの先行きをおもはせる。
第1幕第2場
それから二週間後:、例によってボーカーの仲間が集まっているが、部屋は第一幕とはうって変わってきちんと片づけられ、掃除が行き届いていてチリ一つ落ちていない。だが、フィリックスがグラスはコースターの上にたばこの灰は灰皿ヘ、と、小うるさく注意するのに、オスカーはうんざりしている。おまけにフィリックスが作ったサンドイッチをうまいうまいと言って喜んで食べる者も出てくる始末で、一同はボーカーに集中できないばかりか、いらだって帰ってしまう者も出てきて、ポーカ一の集まりは台無しになる。客が帰ったあと、跡片付けをしたり、殺菌剤や殺虫剤をまいてまわるフィリックスにオスカーは日頃のいら立ちをむき出しにするが、一方では病的なほどに自制心が強く潔癖なフィリックスとの生活を何とかしようとして、他の女とデートをしようと説得する。同じアパートのすぐ上の階に二人で住んでいるイギリス人の未亡人と離婚した女が相手だと言う。フィリックスはやっとのことでその計画に応じるが、オスカーが四人でレストランンヘ行くことにしようと言うと、もったいないから、この部屋で自分が作った料理を食べようと言う。オスカーはその提案を受け入れるが、フェリックスが、その料理の調理法を聞くといって、別れた妻に電話をするに至って、すっかり怒って自分の寝室へとびこんでしまう。
第2幕第1場
すっかりパーティーの用意が整えられているところヘオスカーがワインを手に帰宅する。エプロン姿のフィリックスは帰宅が約束の時間より遅くなったから料理が駄目になってしまったと腹を立てている。そこへ二入の女が訪れて来るが、オスカーが飲物をとりに席を外したあと、フィリックスはすっかり彼女たちの気持ちを奪ってしまう。無論誘惑したわけではない。子供たちや妻の写真を見せて身の上話をし始めた彼が泣き出してしまうのにつられて、二人の女もそれぞれ自分の過去を思い出して泣いてしまうという次第だ。料理がオスカーのミスで食べられる代物ではなくなってしまったので女のアパートヘ行くことになるが、フィリックスはどうしても行こうとしない。オスカーはワインとレコードを手に期待を胸にして一人で女のアパートヘ出て行く。
第2幕第2場
翌日の夜。フィリックスが床に掃除機をかけているところヘオスカーが登場し、掃除機をコンセントから外したり、タバコの包装紙やマッチの燃えさしや灰皿を床に落としたりして、しきりといやがらせをする。両者無言のままである。昨夜、フィリックスのおかげで二人の女がすっかり心をいれかえて遊び心を拾ててしまい、おかげでオスカーは一晩中紅茶を飲みながら、フィリックスの身の上話をさせられる破目になってしまった。それで彼はすっかりフィリックスに愛想がつきてしまったと言うわけだ。二人の共同生活も、もはやこれまでとフィリックスはオスカーのアパートを出て行くが、オスカーの胸には罪の意識が残る。ポーカーの仲間たちが訪れてきてフィリックスの行方を心配しあっているところへ例の二人の女がフィリックスを伴って姿を見せる。彼は彼女たち
のアパートで暮らすことにした、と言う。オスカーとフィリックスの間で、共同生活が破綻したのは何もオスカーの責任ではないということが確認され、和解をみる。フィリックスが衣類を手に部屋を去ったあと、ポーカーのゲームが始まり、幕となる。