雨やどりの木 / page8




 街に帰ってから、砂絵描きは一枚の砂絵を描きました。  ぽん、ぽんと、掬ってきた青い砂を乗せて。他の鉱物の粒子と混ぜ合わせて、さ らりと指でなぞって。  そうして、出来上がった砂絵は、本当に深みのある蒼で、全体が彩どられていました。  空のように、海のように、あの、青い砂漠のように。  そうして、その青のキャンバスの真ん中に。  翠色の葉をひろげた一本の樹が、夢を見ながら、ひとりで立っているのでした。                                    Fin.           挿入詞:『雨やどりの木』/工藤 順子 作詞・作曲:工藤 順子                          アルバム「平日マチネー」より




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