ぽとん、ぽろん。 何処からか、微かに聞こえる小さな調べ。 (また、きこえる。) 少年は寝床から身を起こして、窓の外を見つめました。 硝子を隔てて広がる夜天には、半分ほど欠けた白い月。 その光にさらされた雪の毛布が、音という音を眠らせる静かな夜。 ぽとん、ぽろん。 硝子玉を落とすような、つりがねの形の花から露がこぼれるような。 この頃、音のない月の夜には、決まってそんな調べが聞えてくるのでした。
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