工作教室

問題解決2CH戦車用アンプ1

前回製作した2CH戦車用アンプには、欠陥があることがわかりました。とにかく、田宮が1998年12月15日にM4シャーマンDMDユニット付きを発売する前に発表したかったので、欠陥に気づきつつご紹介しました。もう、現在では、市場に田宮のDMDが出回っているので、これからいろいろ発表しても、まねをしたとか、コピーをしたとか言われても仕方がありません。でも、私は回路方式をまねしておりませんし、たぶん異なると思います。いずれ、田宮のDMDを分解して回路を比較してみたいと考えております。今回は前回の回路の欠陥を解消する改良型の回路を設計してみましたのでご覧ください。

前回の回路では、2つの欠陥がありました。

(1)超信地旋回が必ず最高速度になってしまう。

(2)前進時の超信地旋回は問題ないが、後退時のそれの方向が逆である。

左の図は、これらを改善した回路図です。破線で囲った部分を追加しています。説明の都合で、上側のモーターを右モーター、下のモーターを左モーターとします。また、G7側がONになったときを右モーターの正転、G8がONになったときを逆転とします。同様にG9がONで正転、G10がONで逆転とします。G1〜G10までは以前の回路とまったく同一です。(1)を改善するために、超信地旋回の時も、IC1の6または10の信号を使うようにします。この信号を左右のモーターに割り振ります。超信地旋回とはその地点で右または左に急旋回することです。車だとスピンに相当する動作ですが、戦車では、左右のキャタピラをお互いに逆回転させて行います。右にスティックをいっぱいに倒すと、FF1のQはローになります。前進中はIC1の6からローのパルスが出力されています。G11はこれらの両条件がそろうと信号を通過させますから、G15を通して、G8,G9をONにします。したがって右モーターが逆転、左モーターが正転し、超信地右旋回します。しかも、IC1の6のパルス幅に比例して速度もコントロールされます。左にスティックをいっぱいに倒すと、FF2のQはローになります。前進中はIC1の6からローのパルスが出力されています。G12はこれらの両条件がそろうと信号を通過させますから、G16を通して、G7,G10をONにします。したがって右モーターが正転、左モーターが逆転し、超信地左旋回します。後退中はIC1の10からローのパルスが出力されています。これを右はFF1のQ、左はFF2のQとネガティブアンドをとって、(G13,G14)左右のモーターをコントロールします。前進中と後退中では、右と左の関係が逆になるので、G15,G16のORでうまく整合させています。

さて、これで原理的には問題解決は可能なのですが、この回路をそのまま作ると、以前より部品の数が増加してしまいます。もちろん、ゲートアレーを使えば、全体でワンチップも可能な規模なのですが、一般的な(古典的かも知れません。)個別ICを組み合わせると、どうしても、6個のICが必要です。そこで、個別ICで個数を減らす方法をいろいろ検討した結果、回路の考え方を根本から変更して、データセレクタを使うことにしました。この方式にすれば、前回と同等の基板に収まる回路を構成することが出来そうです。

データセレクタとは、左の図のように、セレクト入力A,Bの組み合わせによって、出力YにC0〜C3のいずれか1つを選択することが出来る便利なICです。超信地旋回のために右または左の信号がFF1,2のQバーにハイとなって出力されますから、これをA,Bに接続すれば、出力Yから取り出す信号を左右コントロール信号で選択することが出来ます。しかも、このIC1個で1個のモーターを制御できるため、全体の部品個数を減らすのにも役立ちます。

 

 

CH2が例えばニュートラルの場合、データセレクタは赤の線で示す回路に接続しますから、前進、後退、あるいは緩旋回となります。CH2を右にいっぱい倒すと、FF1のQバーが1となり、データセレクタは緑の線で示す回路に接続します。したがって、前進または後退の時に、超信地右旋回します。停止の時には何も起こりません。CH2を左にいっぱい倒すと、FF2のQバーが1となり、データセレクタは青の線で示す回路に接続します。したがって、前進または後退の時に、超信地左旋回します。

 

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