「ったく、憶病だな〜、お前は」
「…そ、そうでしょうか?」
「そりゃそうだろ。普通、後ろから驚かせたぐらいで
気絶するか?」
「…わたし、思いもよらない負荷がかかったりすると、
安全確保のため、ブレーカーが落ちる仕組みになって
るんです」
「そうか、さっきはやっぱ、ブレーカーが落ちた状態
だったのか」
「はい」

「でも、まあ、これでわかった」
「え?」
「マルチが憶病なヤツだってことが、よくわかった」
「……」
「こんな怖がりなんじゃしょうがねーよな。もう驚か
したりしねーよ」
 そう言って、オレはマルチの頭をぐりぐりと撫でた。
「…ひ、浩之さん」


 

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