「よ〜し、行くぞぉ〜」
 ペシッとオレは、パックを軽く打った。
 ヘロ〜と、滑るパック。
「えっ、えっと…」
 ゆっくりと迫るパックに、オロオロと対応するマル
チ。
 ペシッと打ち返されたパックは、オレが打ったとき
より、さらに手加減されたスピードだった。
 ヘロヘロ〜と、迫るパック。

「……」
 真面目に打ってんのか。
 そう思いながら、オレはもう一度、ペシッとパック
を打ち返した。
「え、ええ〜いっヾ
 ペシッ。
 まごつきながら、必死になって打ち返したマルチの
パックは、やっぱりヘロヘロ〜だった。
 ペシッ。
 ヘロヘロ〜。
 ペシッ。
 ヘロヘロ〜。






「とってもエキサイトしました。楽しかったですー。
浩之さんはどうでした?」
「…あ、ああ」
 オレは曖昧に笑ってうなずいた。
 どうやらマルチは、そういう仕様なのか、本格的に
運動が苦手らしい。


 

続き