昼休み。
オレはまた、図書室へとやってきた。
いつもは昼寝をするためだが、今日はちょっとべつ
の目的があった。
充電中のマルチを見に来たのだ。
誰もいない図書室の一角で、静かに眠りながら充電
するマルチ。
マルチは、ロボットだけど、眠る。
そして、夢も見る。
今は、いったいどんな夢を見てるのだろう。
オレはマルチの頭を優しく撫でた。
「…いい夢みろよ」
オレが、呟くような声でそう言ったとき…。
「浩之さん…」
不意に名前を呼ばれた。
「え?」
顔を覗き込んでも、マルチはまだ眠ってる。
ノートパソコンの画面に表示されている処理状況は
まだ58%だ。
起きているはずはない。
じゃあ、今のは…寝言?
「……」
マルチは眠りながら、幸せそうな表情を浮かべてい
た。
オレが出てくる夢を見ているってことか。
それは、いったいどんな夢なんだろう…?
5時限目の休み | |
放課後 | 「一緒に帰ろう」 |