もくじ

林業を考える
炭焼き

ホームページへ戻る



林業を考える

 日本は、戦後の復興期から高度経済成長期にかけて都市部の社会資本の充実に力をそそぎ、第二次第三次産業の育成を政策としてきました。確かにその政策のおかげで、日本は先進諸国にわずか20年あまりで追いつくことができ、世界有数の経済大国となることができました。この政策はけっして間違ってはいなかったと思います。しかし、そのアフターケアが不十分であったと思うのです。
 都市建設のための労働力は主に地方の農村や山村から供給されました。経済成長が続いている間は、都市へ出ればとにかく仕事がある時代が続きました。産業は中央を中心に発展し、地方部は置き去りにされてきました。そして経済が低成長時代に入った今、地方の農村、山村社会は衰退し、バブル経済時に肥大化した産業は不況に陥りその産業に従事していた労働力が過剰になるという、ひじょうにアンバランスな産業構造を生み出しました。
 ここで日本の産業構造を基盤から見直す必要があると思うのです。まず、都心部に集中した労働力をもう一度地方へ分散してやる必要があります。そのためには地方でもできる産業、地方にしかできない産業をこれから育成してゆく必要があります。特に過疎化の激しい山村社会ではどのような産業の育成が必要なのか、そう、山村でしか成立しえない産業、それが林業であると思うのです。
 過疎の山村には悲しいものがあります。学校を卒業し地元に就職しようと希望しても、地元に就職口はありません。かといって家業の農林業を継いだとしてもその所得は、都会で就職した場合の半分以下、このような現状では未来を担う若者たちはとても地元には定着しません。しかし、誰も好き好んで生まれ育った故郷を後にして、都会へ出て行くわけではありません。誰だって両親や子供たちといつまでも同じ家で暮らしたいという気持ちはあると思います。ただ、今の山村社会にその気持ちを受け入れる体制がないのです。豊かな山村社会を取り戻すためには早急に山村に産業を興し、山村で生活していても平均的なサラリーマン並みの所得が得られる世界を作らねばなりません。そのためには、山村でしかできない林業という産業の企業努力が必要となるわけです。
 話をちょっと具体的にしましょう。平均的なサラリーマン並みの所得とはいくらぐらいなのでしょうか。平均的というよりも農林家が納得できる年間所得とは認定農業者制度が目標としている800万円であると思います。では、林業で年間所得800万円得るためにはどのような林業経営が必要なのか、簡単な算数をしてみましょう。
 50ヘクタールの人工林を所有していたとします。人工林の伐期は普通50年ですから、50ヘクタールの山林を所有していれば1年に1ヘクタールずつ伐採収穫することができるわけです。1ヘクタールの人工林を伐期まで育てるのに約200万円かかりますから、単純に計算して、1ヘクタール1000万円で売れる山をつくれば、年間所得は1000万円―200万円=800万円が得られることになります。要するに、800万円の年間所得を林業だけで得ようと思えば、1ヘクタール1000万円の価値のある山を育てる技術を開発すればよいのです。実際には金利や租税もありますからこのように単純にはいきませんが、林業においてもこのような企業努力が必要だということです。
 現在、林業は林業従事者の高齢化、労働力不足、そして安価な輸入材による外圧によって、瀕死の状態にあります。このような不況産業に新規に参入してくる企業などほとんどありません。しかし、そのような状態だからこそ、林業には大きなチャンスがあるような気がするのです。これからの林業は人工針葉樹による建築構造材生産という規定概念を捨てて、広葉樹造林、特用林産業やオガ粉生産、高性能林業機械を組織的に導入した合理化林業、高密度作業道開設による集約的林業など、新たな展開に活路が見つかるはずです。また、そうしなければ、日本の山村社会は近いうちに消滅し、国家の基盤となる第一次産業が崩壊し、国家そのものが崩壊するかもしれません。そのような心配をしているのは私だけでしょうか。
 

瑞牆山(みずがきやま)・山梨県北巨摩郡須玉町 95.12.14
2001年5月 全国植樹祭開催地

須玉町のホームページへ

もくじへ戻る

 


炭焼き

炭焼きの里
須玉町江草の炭焼き窯

現在も良質の黒炭を生産している。茶道用木炭「峡北の茶炭」は、須玉町の特産品。

長い煙突は、今話題の木酢液を採取するためのもの。

 炭焼きは日本古来の伝統産業であり、その技術は世界一と言っても過言ではありません。昔から林業の縁の下を支えてきた重要な産業でした。しかし、燃料が木炭から石炭、そして石油へと変遷してゆくうちに、人々の生活から忘れ去られようとしているのは、寂しい限りです。
 最近、木炭の吸着性や通気性が見直され、土壌改良や汚水浄化、脱臭などの新用途が開発されているのは、大変よろこばしいことです。
 さて、みなさんももっと身近に木炭を使ってみましょう。ここで、正しいバーベキューの仕方を説明しましょう。まず、燃料は絶対に木炭でなければなりません。ガスなんか使うのはもってのほかです。それは、なぜでしょうか。
 炭火からは2〜5ミクロンの近赤外線が発生し、この熱線が肉の芯まで火を通すため、肉がおいしく焼けるのです。ガスの熱線では肉の表面しか焼けないのです。ですから、料理をおいしく食べるためには、なんといっても炭火焼きに限るのです。ただし、バーベキューでは、あまり良質の炭は使わない方がいいです。火持ちは良いのですが、火がまわるのに時間がかかりすぎるからです。マツクイムシによって枯れたアカマツ材の炭がバーベキューには最適です。多少バチバチしますが、すぐに点火し満腹になった頃に丁度良く消火できます。
 さあみなさん、野外に飛び出して、アカマツ炭でバーベキュー大会をやりましょう。

もくじへ戻る