|
タックン登場 そして僕らは大人になった 00/9/28
過去このページでは様々な釣り師が登場(?)しておりますが、『思いでの釣り日記』でも反響が高かった かのyoshiさん同様、今回はわたくし南場釣遊の盟友タックンをご紹介いたしましょう。20年に渡る釣遊のルアー歴、そのルーツを垣間見ることも出来るかと思います。2000年初秋、久々に再会した二人。今回は私との対決というわけではないのですが・・・。さあ、それでは南場釣遊の手記、まいります(^^)
拝啓タックン様
拝啓タックン様。かの週末、突如としてNumberにご登場頂き、大変楽しい一時を過ごすことができました。あの夜、同胞の盟友yoshi様と共に、活動のメインフィールドであらせられる亀山湖での幾度目かの対決に思いを巡らせ飲んだジントニックの味は如何でしたでしょうか?この度の釣行の為に用意したタックルの数々、そして情報収集から導き出したというあなた様のウンチクに、私 釣遊 あなた様が平素よりの友と位置づけられておられます『ジャック』そう、ジャックダニエルも滑らかに喉元を過ぎていったのでございます。
少年はルアーマンに
思えばあなた様にルアーフィッシングという釣りをお伝え申し上げて20年。あの夜のあなた様の弁舌爽やかさに
なんと微笑ましく思ったことでしょう。共に釣り師の遺伝子を受け持ったらしく、幼い頃から大人の釣り人にくっついて釣りという
遊びに興じていった私たち。特にあなた様は 潮の香りに包まれた木更津という土地柄か、海釣りが中心でしたね。
そんなあなた様との出会いは、私にあなた様の持ち前の負けん気の強さからくる飽くなき探求心への興味を駆き立てました。 『渓流とか清流の澄んだ水の流れと、そこでの釣りいうのはとっても素晴らしいものなのですよ』 そう伝える釣遊ではございましたが、残念ながら我々の住む町から清流は程遠く、その際に用いたい釣法 「ルアーフィッシング」を満たす釣りと言えばブラックバスフィッシングでした。 当時は金山湖や完成間もない亀山ダムくらいしか生息を認めることのできなかったブラックバス。 とまれ、あなたにとっては未だ未知の釣りでしかなかったルアーフィッシング。 私などの誘いを快く受けていただいて その世界の住人になっていただいた事は感謝しなければならない事と思っております。あなた様がルアーマンになられた歴史的瞬間にご一緒させていただいたのでございますから。 ところで 今回のテーマとも言うべき事柄に繋がると思うのですが、誰もがそうであるようにあなた様のルアーマンとしての第一歩も、 思えば道具集めから始めなければなりませんでしたね。当時我々の町にはルアーロッドなるギアはそう売っておらず、スーパーマーケットの釣り具売り場などで目を輝かせていた事を覚えていらっしゃいますでしょうか? まだカーボンファイバ製のロッドなどは高値の華で、自分でお金を稼ぐことも出来なかった私どもには グラスロッドしか手にすることは出来ない頃でしたね。とうとう我々の住む町にはあなた様のお眼鏡に叶うようなロッドはなかったようで、 この私めの存じ上げている『隣街の釣り道具屋さんに釣れて行け』と御所望なされたあなた。覚えていらっしゃいますか? あの日はとても暑い一日でしたね。期末試験の最中、学校が終わってから木更津駅で待ち合わせ、20分程電車に揺られとある街へ。そこから道に迷いながら歩くこと2時間以上。暑さの中ヘトヘトになってやっとたどり着いたというのに、そこにもご所望のロッドはなかったんですよね。諦め切れないあなた様は尚も求め続けたわけですね。ええ、行きましたね。歩きましたね。 そこからまた2時間かけて他の釣り道具屋さんに・・・。あの時あなた様が求めていたギアはどんなものだったのでしょう? 今となっても私には解りかねる疑問なのですが、ついにあなた様の御心を満たすモノには出会えなかったのですよね。 家に着いたときはもうすっかり 日が沈んでおりましたね。
タックン、貴方のあのロッド何処へ行ったんでしょうね?
結局あなた様は叔父上に頂いたというグラスファイバーのミディアムライト・ロッドを愛用なさっていましたね。
しかし道具に拘るあなた様の目には、その叔父様の竿をもってしても叶わなかったようで、絶え間なく嘆いておられましたね。
元々私などは渓流でのトラウトやヤマメをルアーで攻めたいという希望が第一でしたので、あのロッドはすこぶる良い調子であった
ことを記憶しております。
当時のカーボンロッドは力こそあるものの しなやかさという点では私の気持ちを満たすモノがなかった のでございます。高額であるということだけでなく、その調子が私にグラスの竿を持たせたことをあなた様もご記憶にあることでしょう。 しかし私が選んだそれ以上に、あなた様の叔父上のロッドは良い竿でした。 『どうせ頂いたものなら私に売ってはくれませんか?』私は あなた様に懇願し続けたものでしたね?もうそのような些細な戯言はお忘れになられたのでしょうか?道具への拘りというものが、各々の フィッシングスタイルの表れであったということ。世間様の風潮に流されるのではなく、釣りとは、あくまでも個の確立にあるのだと いうことを。あなた様には興味の湧かぬロッドであったかもしれませんが、この私にとっては輝けるアイテムであったのでございます。 私は今でも亀山湖の水面を見つめる度にあの日のことを思い出します。フローティングルアーで攻めていたあなた様は、何故なのかは解りませんがあのロッドを手放してしまったんですよね。湖水の中にゆっくりと沈んでいくリールとロッド・・・・。しかし慌てるには及びません。フローティングルアーを付けているのですからラインの先にはしっかりとあなた様の愛機が結ばれております。そして幸いなことにスピニングリールのベールをお外しになっていたわけですから、ルアーが湖底に引き込まれる心配もなかったのですよね。しずかに水面に浮かぶルアーを手にとると、あなたはゆっくりとラインを手繰り寄せましたね。ゆっくり・・・ゆっくり・・・。しばらくして水面に貴方様の愛する竿とリールが現れました。さあ、手を伸ばして、後はその手に掴むだけです。さあっ!
が!しかし あああ〜ぁぁぁぁぁ なんとしたことでしょうっっっ!
通常リールのスプールにラインは結ばれているはずですのに、何故か目の前で何の抵抗もなくスルリとラインは抜けてしまいました。 ああああああぁぁぁぁぁぁっっっっっっ・・・・・・・
ああああああぁぁぁぁぁぁっっっっっっ・・・・・・
ああああああぁぁぁぁぁぁっっっっっっ・・・・・
ああああああぁぁぁぁぁぁっっっっっっ・・
ああああああぁぁぁぁぁぁっっっっっ
ああああああぁぁぁぁぁぁっっ
ああああああぁぁぁぁぁ
ああああああぁぁ
あああああ
ああ
あ
・
・
言葉無く、私たちは再び沈んでいくリール&ロッドを見つめ続けるしかありませんでしたね。私は今でも亀山湖の水面を見つめる度にあの日のことを思い出します。 タックン
貴方のあのロッド 何処へ行ったんでしょうね?
上総亀山を彩る木々のみどりと
24の橋が水面に美しく映る夏
ゆっくりと成す術もなく沈んでいった
あのロッドですよ
あれは好きなロッドだったなぁ
だから売れって言ったっぺ!!
時は流れて
さて時は流れて 私たちも大人になったものですね。あの夜、現在のあなた様のフィッシングライフをサポートする
タックルの数々のお話をお伺いして、すぎ去りし日々を思い返した次第でございます。ここ数年 日光など清流の中で釣りを満喫なさっていたあなた様が、世間の風潮に呼応するように人気のタックルを買いあさり、
「やっぱりメガバスは違うのよっ!」
「飛びがね!お前は解ってないっ!」
「今は昔と違うんだってっ!動きが全然!」
バスの為だけに7本目のロッドをオーダーし、少年の夢のように抱えきれないほどのプレミアムルアーの数々を貪る。にも関わらず「釣りは 道具じゃ無いね、やっぱり情報収集だよ」などとおっしゃる。なかなか欲深な私には言ってのけられる言葉ではございません。が、これからはあなた様を見習って努力を怠らず、釣り道に励む所存でございます。
そして
ところで明日は亀山でyoshi先生とご対決とのこと。勝算はいかがなものでしょうか?あっ、いえいえ・・・その・・・
失礼いたしました。不躾な質問でしたね。釣りは釣果など二の次でございますよね。貴重なお話をお聞きして、それは重々承知いたしました上で、少々俗なお願いがあるのですが。その・・・できれば土産にニジマスなどを所望したいのですが・・・如何でございますか?・・・。
「どうしようかなぁ。明日はバス狙いだし。それに釣りはねぇ釣果じゃないよ」
釣:「いや、そこを何とか。みんなも期待してますし。一生懸命さばかせていただきますので。」 「まあ 暇になったら釣ってやるよ。バスも釣れて飽きちゃったらね」
釣:「ああ、もう 有り難き幸せにございます。明日は頑張ってください。」 こうしてあなた様は夜の闇に消えて行ったのでしたね。翌日、心配された天候ではございましたが、空模様に不安無く、どうやらルアーフィッシングにはうってつけの天候でしたね。こうなると釣遊はあなた様のお帰りを唯々待つだけでございます。
お帰りなさい。?????
決してあなた様の実力を侮っていたわけではございません。不安のかけらも無く、私は当日包丁などを研いで、オリーブオイル・イタリアンパセリ等を用意し、心躍る気持ちでいたのでございます。それは私だけではございません。某氏はタックン・yoshiという両巨頭が出陣なさるということで、現地まで赴いたと言うではありませんかっ!それ程我々待機組は期待に胸を膨らませていたのでございます。夜が明けて 心配されていた雨もお二人の釣気に気圧されたのでございましょう。無駄な心配でござましたね。午前9:00。私はワクワクしながらお二人の戦場に電話を入れたのでございます。
が!しかし!BUT!まさかっ!!!!!
・・・・・・・しかしまだまだ朝も早い時間ですからね。久方ぶりの再会に、お話にでも花が咲いたのでありましょう。釣りそっちのけで。「頑張って!」そう応援の言葉をかけて電話を切りました。そして午後2:00。今度は取材班として飛び回っていた某氏からのTEL。釣果の方は・・・・・・・いやいや、まだ粘るというしきっと大丈夫でしょう。あれほどノリノリだったタックンが黙って帰還するはずがないじゃありませんか。 私は気分転換に仕入れに赴きました。改めてお断りしておきますが、決してあなた様の釣果を疑っていたわけでも、実力を侮っていたわけでもございません。きっとその夜は美味しいニジマス、そうレンボートラウトが食べられる筈で、もし僅かでも不安があるとするならば、それは私の包丁さばきか料理だけの筈です。そう、このまま2大巨頭の帰りを待っていればいいのです。♪Rainbow in my soulなどと歌いながら しかし!ああ、あろうことかこの私の目に・・・秋の幸が・・・。ああ、戻り鰹。適度に脂の乗った戻り鰹があああぁぁぁ・・・。
しかし、これは許してください。あなた様の釣り上げたレインボーがもうすぐ届くことを知りながら差し出がましい出過ぎたマネをしてしまったことは。ちょっと花を添えるだけのつもりなのです。そして昨夜のアレ。アレがいけなかった。あなた様の釣り談義が楽しい夜を演出したのは紛れもない事実として、その会話が耳にした某ファミリーの闘志に火を付けてしまったのです。 「マスター!是非お友達と食べてくださいっ!」ドン!
来ちゃったよ・・・マゴチですっ! 釣:「え?釣れたんですか?だって昨日の今日じゃないですか、話ししてたの。うわっ!2匹も。うわ〜50cmありますねぇ」 某:「いやあ、昨日釣りの話しで盛り上がってたし、マスターのご友人に食べて貰えたら、と」 ああ、なんて酒の肴が集まる日なんでしょう。当然お刺身ですね。白身なのに旨味のある魚なんですよね、マゴチ。さあ、まさに お膳立てができました。 某:「まだ帰って来られないんですかねぇ?」 釣:「どうなんでしょうねぇ?(もう来ねぇよなあ。あれだけ豪語してボウズじゃあなあ)」 某:「雨は適当にしか降らなかったようですから良い結果でしょうけど、問題はニジマスですよね。」 釣:「放流前のこの時期じゃあニジマスは時の運ですもんね(でも昨日アレほど・・・釣れてねぇな)」 某:「一緒に飲みたいですねぇ。連絡つかないんですか?」 釣:「え?いや、そんなこと無いんですけど・・・(連絡・・・着きたくないんじゃあ???)」 某:「電話したらまずいですかね?」 釣:「じゃあ電話してみます(おいおい まずいだろっ?!)」 ドコモ:「こちらはNTTドコモです。おかけになった電話は・・・(チッ! 携帯の電源切ってやがる)」 釣:「なんかつながらないですねぇ。まあ食べましょう。マゴチ。私もご馳走になります(ニジマスのことは忘れて下さい)」 この後他のメンバーも顔を見せてくれて、私の捌いたカツオのタタキなど堪能して頂いたのですが、その日ニジマスとタックン、そして盟友 yoshi氏は現れませんでした。 あああああぁぁぁぁぁ〜 ルアーフィッシング。お前はなんて罪な釣りなんだ!
追伸 タックン様
お元気ですか?あれから連絡が取れず、まるで行方不明のようですね。でも捜索願は出しません。きっと先日オーダーなされた7本目のルアーロッドとご自慢のメガバスを携えて、再びお見えになられることでしょうから。ただ、一言だけ言わせてください。
「釣り方教えてあげようか?」
ということで、あなた様さえ良ろしかったらスタンバイしてやらんこともないぞ。 あらあらかしこ
編集後記
めでたく殿堂入りいたしました『そして僕らは大人になった』ですが、この
『思いでの釣り日記』は読んで頂いた方が楽しめたものを掲載するというスタンスに決めて掛かった
最初のレポートでした。釣遊達の思い出のフィールド亀山湖に、盟友タックンが釣行に赴くところから 我々がルアーフィッシングに入り込んだ断片を綴ってみました本編です。最初からおもしろおかしくするために文体も遊んでみたんですけど 評判の宜しかったレポートです。なんといっても釣遊は釣行に参加していないのに長編になってるところも新しい試み(^^;)。『釣れない釣りのレポートの方がおもしろい』
という複雑なご意見も頂いて、コレにまた励まされたり喜んじゃったりしている釣遊です(^^;)。
ここに登場のお二人の名誉回復の為に、タックンは2000年末にスズキを47本も ルアーで釣り上げる爆釣をしましたし、yoshiさんも同数程度のアジをお土産に持ってきてくれたことを 記しておきます。 釣りについて語らせてに戻る
|