************************************************************  「裏なすや」ギャラリー Ver.1.0  "sherley01.htm"(旧 "uragal231.htm") ************************************************************ Sherley01

 フランドン・プロジェクト。
 新生児の男女比が1:9(両性具有者の比率3を含む)という状態が
およそ半世紀に渡り続く中で、ヒトという生物種の存続の危機を回避する
手段として提案された人口制御計画の総称である。
 その第一目的は受精の機会を最大限活用し、出産率を向上させる事で
男女比を正常な状態に戻す事である。

 しかし出産率の増加は同時に人口の増加、ひいては食料危機を引き起こす。
そこでフランドン・プロジェクトには、出生比率の多い女児を食料生産手段と
して流用する、という案があらかじめ盛り込まれていた。
 但し現在はまだ実験段階に留まっており、本格的な食料供給源として
ヒトを使用するのは遠い将来の事となるだろう。

 私の転勤先は一般には「農学校」として知られる僻地の寄宿校だった。
 但しこの学校、フランドン・プロジェクトが第2段階に移行してから
設立された事からも分かるように、実際には各地に設けられている「牧場」
の一つである。
 「牧場」の真の設立理由。それは家畜の代用となるヒトの雌を生産する
ための基礎研究施設、及びパイロットプラントであった。
 ここに技術補佐兼研究生として(表向きは教育実習生として)配属された
私には検体が早速与えられた。

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シャーリー・スクウィーラー(14・雌)

身長:152cm

体重:39kg

出産回数:0(性交経験無し)

所見:健康状態は良好。

   先天性の疾患も無いが、

   鑑定の結果受精成功率は

   基準値の35%と低く、

   生産用としては失格。

等級:C−

(予想最低落札価格:500CU)


 






 所見や等級はまだしも身長・体重比が気になる。
 資料に添付されたスナップを見る限りでははっきりしないが、どうも
随分と痩せっぽちな奴を押し付けられたようだ。
 私が調教師と知って試されているのか、それとも単に実験結果が
見えやすいようにわざと痩せたのを検体に使うつもりか。
 どちらにしろ時間はたっぷりとある。
 私は書類をバインダーに放り込み、検体としての準備が整ったシャーリーに
会うため、教育棟地下の養育場に向かった。


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