私とペリーヌ物語

 ペリーヌ物語は昭和53年に日曜夜7時半の世界名作劇場で放送された作品です。1月1日に始まって12月31日に最終回を迎えるまで毎週欠かさず放送され、一年間のアニメとしては珍しく全53話制作されました。名作劇場の作品の中でも最長の作品となってます。おかげでLDも13枚では治まらず、最終回一話だけの為に14枚組になってしまって、多少、出費がかさんでしまったのですが、まあ、これは仕方ないですね。(^_^;)

 原作は『家なき子』で有名なエクトル・マロー。家なき子の姉妹編として執筆されたとのことですが、日本では家なき子や他の少年少女文学と比べて比較的マイナーな作品で、私も原作は読んだことがありませんでした。何故こんなマイナーな作品のアニメ化という企画が通ったのか少々不思議な気もしますが、企画会議の時に「この作品がいい!!」と強く主張した人がいたのだそうです。

 このペリーヌ物語ですが、本放送時には実はうかつにも私は見ていませんでした。当時の私は少々ややこしい境遇だったため、アニメを見る本数も少なくなっていたのですが、この作品を見逃していたというのは痛恨でしたね。
で、あるにも拘わらず私がペリーヌ物語を知ることになったのは、名劇シリーズにはまっていた某友人からペリーヌ物語は素晴らしい作品だと聞かされて、興味を抱いたのがきっかけと言えばきっかけと言えるでしょう。
 最初に見たのはBSで放送されていた劇場版でした。これですっかりはまってしまって、その後テレビシリーズの全話LDを購入し、更に深みにはまってしまったのでした。

 ペリーヌ物語の魅力と言っても一言では言えないのですが、やはり一番は当たり前ですけど、ペリーヌという少女自身の魅力でしょう。なんといってもペリーヌは可愛いですからね〜、うんうん、この点に異存のある人はおりますまい。(笑)
とは言ってもその一言で片付けてしまっては話になりませんのでもう少し付け加えますと、明るくて賢くてしっかり者でけなげで優しい心を持った……、こう並べ立てるのもちょっと月並みですが、とにかく素晴らしい女の子なんですね。ペリーヌが自分の力で一生懸命生きてゆこうとする姿を見ているとなんだか心楽しくなってきます。
 池のほとりの小さな小屋での生活、スペイン靴やシミーズ、それに鍋やスプーンなどの生活道具を自分で作ってしまうってのも凄いですし、通訳をするようになった時にも最初は戸惑いもありましたが、誠実に精一杯仕事をこなしてビルフランもオーレリィことペリーヌに大きな信頼を寄せるようになります。
 両親を亡くし、またたった一人の肉親である祖父の身近にいながら本当の孫だとは告げられず、時にはビルフランの言葉に深く心を痛めて悲しい表情を見せていたペリーヌ。しかしそれでもペリーヌはビルフランに対し一途な愛情を寄せ続けます。

 母のマリはいまわの際にペリーヌに言いました。
「おじいさまもはじめはあなたに冷たく当たるかもしれないけど、そのうちにあなたが素直で正直な子だと判って好きになってくれます。」
「人に愛されるにはまず自分が人を愛さなくては。」
 マリはペリーヌであればそういう生き方がきっと出来ると信じていたのでしょう。そしてペリーヌは見事にその期待に応えていたのです。
 第49話、『幸せの涙が流れる時』でペリーヌがビルフランの腕の中に飛び込んでいくシーンでは泣きましたね〜。あのシーンは泣かなきゃ仕方ないですよね〜。
 その前のペリーヌのけなげなそして一途にビルフランを思いやる姿があったからこそ、より一層、感動が大きなものになったのでしょうね。

 彼女を取り巻くキャラクターたちもそれぞれ魅力に溢れていますよね。祖父のビルフラン、母のマリはもとより、何かとペリーヌを励ましてくれたロザリーやファブリ、マルセル、それにシモン荘の人々やルクリおばさんもいい味出してましたよね。
 みんなとてもペリーヌに親切にしてくれます。これらの人々がいたからこそ、ペリーヌも挫けずに生きていくことが出来たんですよね。でもそれもペリーヌがみんなから好かれるような少女だったからでもあります。
「あんたみたいな人を好きにならない人間はいやしないよ。」
と、これはシモン爺さんが別れ際にペリーヌに言った言葉なのですが、ペリーヌという少女を見ていると本当にそんな気持ちになります。
 悪役のタルエルやテオドールにしても最終回ではいつの間にかペリーヌのことが好きになっちゃってたみたいな雰囲気がありましたけど、あの二人の最後の表情はなんだかとても微笑ましく感じられました。

 このペリーヌ物語が特番でアニメが潰れないような、また名劇史上でも特に優れた作品が輩出した時期に製作されたことは幸運なことでした。
 勿論、ペリーヌ物語にも欠点と言える点がない訳ではないです。でも欠点の全くない作品なんてありませんし、この作品はそれを補って余りある魅力を持った作品だと私は思ってます。
 これはアニメに限りませんが、心に感動を与えてくれる素晴らしい作品との出会いというのは、人生において大変幸福な体験ですよね。そしてそれは大切な宝物として心の中に深く刻みこまれます。ペリーヌ物語は私にとってそんな作品の一つなのです。


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