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G1-有馬記念の反省

時間の都合上簡単にさせていただきます。
レース
ディープインパクトが古馬相手にどういう競馬をするのかが焦点だったが、先行有利の展開になったことで2着までが精一杯という形になってしまった。タップダンスシチーがもっとガンガン飛ばすと思っていたので、意外に落ち着いた流れにはなったものの、決してスローというわけではなく、平均ペースで流れたので、それなりに前にいた馬が有利だったことは確かだと思う。そういう意味では先行策をとったルメールの判断には高い評価が必要である。しかし、不利な流れでも2着まできたディープインパクトのポテンシャルは半端ではない。負けてなお強しの内容だったと言えるのではないか。
馬券
ディープインパクトは負けないという前提の予想だったが、結局は馬連で買っていたのだから、馬券的にはハーツクライを消したことの方が問題であった。ジャパンCでの走りを高く評価していたにもかかわらず、中山コースでは難しいということと、オッズが低いということで消しという判断をしたが、まさかルメールが先行させるとは思いもつかなかった。やはり強い馬は強いと評価しないといけないということなのだろう。
ハーツクライ
ジャパンCでの走りが圧巻だっただけに、今回の勝ちはある意味では力が違ったという評価をしていいと思う。先行策をとったルメールも凄いが、それにしっかりと応えて馬の方もたいしたものである。これで今年に関して言えばゼンノロブロイよりも上の評価をしてもいいだろう。ディープインパクトにも勝ったのだから年度代表馬にしてもいいのではないかと思う。
ディープインパクト
負けは負けだから何を言っても言い訳になる。とはいえ、展開的には追い込むのは厳しかったと思うので2着でも立派だと思う。いつもの伸びがなかったので体調が万全でなかったとも思うが、こればかりは何とも言えない。ただ、どんな状況でも必ず勝つということを意識するのであれば、やはり好位からでも競馬ができるようにならないと難しいと思う。海外遠征でもここらへんが課題になるのではないか。それと、時計のかかる馬場はあまり得意ではないのかもしれない。
リンカーン
この馬なりには頑張っているとは思う。上2頭には実力でかなわなかったということと考えていいのではないか。G1だとどうしても勝ちきれないが、レベルの高い競馬はしているとは思うので、相手関係や展開などちょっとしたことが味方となれば、来年はG1を1つくらい勝ってもいいかもしれない。
コスモバルク
この馬の4着にはかなり驚いた。もともとこれくらいのポテンシャルはあった馬ではあるが、今年は不振を極めただけに、まさかここまで巻き返してくるとは思ってなかった。やはり五十嵐冬騎手とのコンビが良かったのだと思う。来年はこのコンビで頑張ってほしいと思う。
コイントス
この馬の好走にもかなり驚いた。上がりがかかる展開となってスタミナ勝負になったのが良かったのだとは思うが、それにしてもよく頑張ったと思う。でも、G1でこれだけの競馬をしたからといってG2G3で勝ちきるタイプでもないというのが難しいところである。来年初冬の重賞に出走してくるようだと判断が難しくなる。
ゼンノロブロイ
この馬にしては信じられない凡走である。やはりジャパンCでラスト失速していたことからして、疲れが取れなかったということではないか。距離もこの馬にしては長かったと思うし、さすがに力尽きたというところではないか。
タップダンスシチー
この馬もさすがに年齢には勝てなかったということだろう。いつもの積極的な逃げが見られなかったが、佐藤哲騎手が意識して抑えているというよりは馬に元気がなかったという感じがした。いつもなら4コーナー手前からスパートするのに、コスモバルクに逆に抑え込まれたのだから昨年のタップダンスとはほど遠い状態だったと言っていい。やはり、1年を通して不調だった馬が巻き返すというのはかなり難しいということなのだと思う。
予想と見解 好材料と不安材料

参考
G1-有馬記念の予想
結論

◎ディープインパクト
 ○タップダンスシチー
  ▲リンカーン
  ×デルタブルース

買い目(馬連) 合計5,000円
  6-9(3,000円)
  6-14(1,000円)
  6-15(1,000円)
にへいの見解
いろいろと多忙のため簡単にさせていただきます。
本命◎はディープインパクトである
無敗の3冠馬ということだけでも凄いことであるが、私はこの馬は次元が違いすぎると思っている。初めての古馬との対戦だけに走ってみないと分からないとはいえ、たぶん古馬が相手でも次元の違いを見せつけるのではないか、と思っている。その根拠は、武豊のこれまでのコメントである。過去に名馬と言われる馬に何頭も乗ってきた武豊が、これまでにないような賛辞をこの馬には述べるのだから、今まで武豊が乗ってきた中では「最高の馬」と考えていいと思う。武豊が「最高」と思っている馬が、初めての古馬戦だからといって負けるとは思えない。ちなみに、私はタップダンスシチーが逃げるハイペースに対応できるかどうかが一番の不安だった。昨年のようなレコードのような流れを作られると、後方からの競馬ではとても届かないのではないか。かといって先行策ができるかどうかそれにも不安がある。となれば、ディープが負けるということも十分に考えられるのではないか、と思ったのである。しかし、タップダンスが昨年のようなペースを作ったとしてタイムは29秒台である。上がりのタイムは35.7だった。もしディープがこれに勝つとすれば、29秒台前半のタイムで走ればいいわけであり、1F12秒平均でいって2分30秒ちょうどだから、それを1秒上回るだけでいいのである。ダービーでは23秒台だからそれに6秒足しても29秒台となるわけで、ディープにとって厳しい数字ではないはずだし、ダービーでは上がり33秒台で23秒台だから、まだまだ余裕があっての23秒台と考えられる。となれば、ディープインパクトはたぶん28秒台を出せるポテンシャルを持っていると私は思う。ただ、武豊が狙っているのはレコードではなく、あくまで先頭でゴールすることである。だとすれば、昨年のタイムから考えれば、29秒4で走ればいいわけで、何も狙って28秒台で走る必要はないのである。では、どうすれば29秒4で走れるかとなると、タップダンスが昨年と同じペースで逃げたとして、タップダンスの1馬身先にゴールすればいいだけのことであり、タップダンスよりも速い上がりのタイムを出せばいいのである。では、ディープはどれだけの上がりタイムを出せるのかであるが、私は昨年のタップダンスのペースでもディープなら上がり34秒台は出せると思っている。となれば、タップの上がりが35.7だったから、ディープが34.5で走れるとすれば、残り3Fの時点で1秒差があっても差せるということになる。もちろん、もっと凄い上がりを出せるのであれば、さらに後ろからでも差せることになる。武豊はそういう計算をして、意外に前にはいかないのではないか、と私は思う。あんな位置から届くはずがないというところから、きっちりと差してくるのではないか、と思っている。つまりは、この馬はそれくらい次元が違うと私は思っているのである。古馬陣が弱いとはまったく思っていない。そうではなくてディープインパクトが強すぎるのである。もちろん競馬に絶対はない。あのシンボリルドルフだって古馬初対戦で初黒星を喫した。でも、ディープがJCを回避したのはなぜか?それはどんなことがあっても負けることは許されないからである。来年海外でディープインパクトの名を轟かすためにも、ここは強い内容で締めくくってほしいと私は思う。
対抗○はタップダンスシチーである。
いろいろ考えたが、最後はこの馬に昨年と同じ逃げを期待することにした。昨年は最後の最後で2着に敗れたが、調子は万全ではなかったはずで、それでも残ったのはポテンシャルの違いと言っていい。だから昨年と同じ逃げさえできれば、ディープインパクト以外には差されないと私は思う。もちろん「昨年と同じ逃げができれば」である。この馬はすでに8歳という年齢であり、普通であればこんな歳までG1で上位争いをするなんて考えられない。それを証明するかのように、今年はこの馬はG1で凡走が続いている。やはり、もうピークが過ぎて、単なるおじいさんになってしまったのかもしれない。だから、今年は直線で大きく失速するということも十分に考えられると思う。でも、7歳で強い競馬をした馬が1つ歳をとっただけで本当に極端に力を落とすであろうか。少しは力は衰えているとは思うが、こういう晩成タイプはそんなには力は落ちないと私は思う。なので、この馬のハイペースの逃げに期待したいのである。まあ、こういう逃げをする馬が好きなだけということもあるんですが、なんとか頑張ってほしいと思っている。
単穴▲はリンカーンである。
オッズも考えてこの馬にしたが、JCでの4着を高く評価している。日本馬ではハーツクライとゼンノロブロイに敗れたが、中山2500mに舞台が移れば、この2頭に逆転できるという判断である。数年前の有馬記念で2着という実績もあるわけだし、タップダンスシチーが失速するようであれば、この馬が2着に突っ込んでくるのではないかと私は思った。
4番手×はデルタブルースである。
昨年の5着馬だから古馬G1では少し足りない感じもするが、なんと言っても恐いのはペリエである。有馬記念3連勝中というように中山2500mを得意としている。ペリエの手腕で2着にきてしまうことは十分に考えられる。
5番手はゼンノロブロイである。
今秋は天皇賞秋とジャパンCと連敗を喫したが、この馬なりに強さは見せている。昨年の勝馬ということもあり条件が合わないということはあり得ないし、ここでの巻き返しは十分に考えられる。ただ、どうもJCでのデザーモの騎乗が個人的には気に入らない。今回も微妙な手綱捌きが求められるだけに、デザーモでは私はかなり不安である。2着の可能性は十分にあるとは思っているが、オッズを考えてここは思い切って消しという判断をした。
6番手はハーツクライである。
前走のJCの内容はかなり高い評価が必要である。私が思うにルメールとの相性が抜群のように感じる。だとすれば、今回も十分にチャンスがあるということになる。ただ、この馬は東京コースでこそという感じがするし、距離も2400mまでという感じがする。2500mでは少し長いと思うので、敢えて消しという判断をした。
7番手はスズカマンボである。
天皇賞春を勝っていることを忘れてはいけない。こういうステイヤーが有馬記念では強い競馬をするものである。安藤勝騎手の一発も不気味だし、この馬が好走する可能性は十分にあると思う。
8番手はコスモバルクである。
昨年のジャパンCで2着しているのだからポテンシャルはかなり高いはずである。今年は惨敗続きであるが、五十嵐冬騎手に戻ることで以前の走りを復活させるかもしれない。今年の走りがあまりにひどかったので、さすがに一変はないと私は思っているが、少しだけ不気味には感じている。
個人的にはそれ以外の馬にはチャンスはないと思っている。とんでもない馬が上位にくることがあるのが有馬記念ではあるが、私の常識からすれば今年はそういうサプライズはないと思っている。
まあ、こんなところです。

G1-有馬記念

オースミハルカ
(牝5・川島信55)
買い H17H16エリザベス女王杯2着、H16府中牝馬S1着、H16H15クイーンS1着。 2年連続でエリザベス女王杯で2着しているのだからG1級の能力はあると考えていい。今年のエリザベスでは他を大きく離す逃げを見せたが、昨年のエリザベスでは2番手の競馬から抜け出しており、ハナにこだわるタイプでもない。そういう意味では展開は問わないタイプであり、どんな競馬にも対応できる。この秋はまだ2戦しかしていないので、体がフレッシュというのも魅力の1つといえる。数年前にトゥザヴィクトリーが3着に粘ったこともあるし、うまく前残りの展開になれば、この馬だって分からない。
消し エリザベス女王杯で2度の2着は立派だとは思うが、牝馬限定G1ですら勝ち切れていないというのは大きな問題だろう。今回は牡馬が相手となるだけに、レースレベルだって当然に一気に高くなるわけで、牝馬限定G1すら勝てない馬が馬券圏内に頑張ろうというのはかなり厳しいと思われる。基本的にはマイルくらいで活躍していた馬なので、2500mはさすがに長いという印象が強い。タップダンスが作る速い流れも、スタミナの裏付けのないこの馬にはかなりきついと思うだけに、先行すれば潰れそうだし、後方からの競馬だと決め手がないのでなだれ込むだけということになりそうだ。大きいレースに挑戦してきたスピリッツは買いたいが、さすがに牡馬相手では勝負をさせてもらえないかもしれない。
オペラシチー
(牡4・中館57)
買い H17目黒記念1着。 今年はハンデ56.5kgで目黒記念を制した。斤量をそれなりに背負っていたことを考えれば、力の違いを見せつけたと言っていいと思う。そもそも菊花賞で3着という実績も持っており、G1級の能力は間違いないと言っていい。2500m以上で実績があるからスタミナには自信があるタイプだと思う。前走の京阪杯では11着に敗れたが、3ヶ月の休み明けということを考えれば、やむ得ない結果ということもできる。一叩きされた上積みは大きいし、距離延長は大きなプラスとなる。まだ4歳なのでまだまだ奥が深いということも十分に考えられ、この大舞台でこの馬の秘めた能力を爆発させるということもあるかもしれない。中山2500mはけっこうトリッキーなコースなので、流れにうまく乗ることができれば、きっちりと直線で伸びてくるかもしれない。
消し 前走の京阪杯で11着というのはさすがに問題だろう。休み明けで距離が1800mだったにしてもG1で好走するつもりなら掲示板は確保してほしいところである。前々走の札幌記念も7着に負けているし、まだ重賞で安定して結果を出せるというレベルではないのかもしれない。となれば、G1での好走はかなり難しいと言えそうだ。勢いもそれほど感じられないし、古馬G1も実は初挑戦である。逃げるとか追い込むとか極端な競馬をするタイプでもないので、展開による一発というのも考えづらい。
グラスボンバー
(牡5・勝浦57)
買い H17福島記念1着、H17オールカマー2着、H17新潟記念2着。 前走の福島記念で念願の重賞制覇を果たした。4コーナーで先頭に立つ積極的な競馬で2着に1馬身差だから力が違ったと言っていいと思う。前々走のオールカマーでも2着しているし、その前の新潟記念も2着だから重賞を3連続連対ということになる。今年に入ってから急成長してきた馬であるが、1年間で1000万からグランプリまで上り詰めたのだからその成長度は半端ではない。そういう意味での勢いは感じるし、さらに成長しているということもあるかもしれない。
消し 前走の福島記念を勝っているというのは悪いことではないが、しょせんローカル重賞だけにG1の裏付けにはちょっと厳しいものがある。オールカマーと新潟記念で2着に負けていることからすれば、G2G3までの馬という印象が強くなるし、G1ではさすがに力不足ということになるのではないか。オールカマーで2200mは経験しているものの、2000m以下のレースを中心に使われていた馬なので、さすがに2500mは長いという感じはする。決め手もこのレベルに入るとどうしても見劣りするし、ここでの一発は期待しづらい。
コスモバルク
(牡4・五十冬57)
買い H16ジャパンC2着、H16セントライト記念1着、H16皐月賞2着など。 昨年のジャパンCで2着しているということを忘れてはいけない。世界の強豪を相手に2着したのだからポテンシャルは間違いなくG1級である。昨年2着して以降は不振が続いているが、年齢的にピークが過ぎたとは考えづらい。激しい気性から自滅しているだけであり、この馬の能力を出し切っていないのは明白である。今回は久々に五十嵐冬騎手に手綱が戻るわけだが、バルクの絶好調時の走りを知っているだけに、大きなプラスと考えていいのではないか。とにかくこの馬の場合は気持ちの問題であり、気持ちよく走ることさえできれば、良い結果を出せるはずである。
消し 昨年の有馬記念以降はなんと掲示板にも載れないという走りが続いている。しかも2桁着順ばかりという有様である。この馬の最大の問題はその激しい気性であり、スタートからハナに立とうとして掛かってしまい自滅するというのが惨敗のパターンである。こういう気性はそう簡単に矯正されるものではないし、今年に入ってからさらに悪化しているようにも感じる。前走のジャパンCは中団からの競馬だったが、それでも結果が出なかったということは、馬自身が走ることを嫌っているとか、なんか競馬を嫌がっているというような根本的な精神的問題もあるのかもしれない。いずれにしろ惨敗続きなだけに勢いは感じないし、ここでの巻き返しはちょっと難しいのではないか。
サンライズペガサス
(牡7・蛯名57)
買い H17毎日王冠1着、H17H14大阪杯1着、H13神戸新聞杯2着など。 なんといっても今年の毎日王冠で2着に1馬身以上の差をつけて勝ったというのは大きな実績である。かなりのメンバーが揃っていたことを考えれば、この馬のポテンシャルが半端でないことを証明したといえる。まあ、そもそも天皇賞秋で3着という実績を持っていた馬だからこのくらい走っても不思議はなかったといえるが、屈腱炎から立ち直ってのこの走りは完全復活を猛烈にアピールしたと考えていい。前走のジャパンCも勝馬から0.5秒差、ゼンノロブロイからは0.2秒差だから十分に巻き返しは可能といえる。この大一番で毎日王冠のようなサプライズをもう一度見せてくれるかもしれない。
消し 前走のジャパンCで6着というのはこの馬にしては頑張っているとは思うが、結局は掲示板にも載れなかったわけだからG1級の能力はないと考えていいのかもしれない。この馬の場合、良績が2000mに集中しているし、1800mの毎日王冠を勝っていることからしても、典型的な中距離タイプという印象が強く、2500mとなるとステイヤーの域に入ってくるだけに、さすがに距離が長いと言いたくなる。すでに7歳という年齢もあるし、屈腱炎を患ったことがあるという事情もあるだけに、これだけのメンバーが揃ったレースで、再びサプライズを起こすというのはさすがに難しいように感じる。
スズカマンボ
(牡4・安藤勝57)
買い H17天皇賞春1着、H16朝日CC1着、H16京都新聞杯2着など。 なんといっても今年の天皇賞春を勝っているというのが大きな実績である。逃げるビッグゴールドを唯一差し切ったのだから内容としても強かった。G1を勝っているのだから当然に通用するということになる。それに今回の2500mという距離は、古馬G1では春の天皇賞の3200mの次に長い距離ということもあり、春の天皇賞で好走した馬が好走することが多いようにも感じる。そういう意味でも距離延長は大きなプラスといえるし、どちらかといえば叩かれて良くなる馬なので、叩かれ3戦目というのは走り頃かもしれない。鞍上の安藤勝騎手も一発の魅力を秘めており、再び一発かますということも十分に考えられる。
消し 天皇賞春を勝っているというのはもちろん凄いことではあるが、メンバー的にはそれほどではなかったようにも感じるだけに、あまり高く評価するのも危険かもしれない。現に前走のジャパンCでは9着、天皇賞秋では13着に敗れており、この秋のG1では結果を出していない。それに、大阪ハンブルクC3着、鳴尾記念2着とG3以下のレベルで取りこぼすことが多いのも気になるところで、結局はG1で安定して結果を出せるほどの力はないということではないか。気性的にムラがあるのもどうかと思うし、決め手も極端に鋭いというタイプでもない。中山コースや2500mを特に得意としているというわけではないし、ここで一発を期待するのはけっこう厳しいのではないか。
ゼンノロブロイ
(牡5・デザーモ57)
買い H17天皇賞秋2着、H16有馬記念1着、H16ジャパンC1着、H16天皇賞秋1着、H17海外2着など。 昨年の秋のG1シリーズを3連勝したという実績はあまりに凄いものである。この偉業を成し遂げているのは他にはテイエムオペラオーしかいないのだから、歴史的名馬ということになる。内容としても3レースとも完勝といっていい内容だっただけに、そのポテンシャルが半端でないことは明白である。今年は海外に挑戦して僅差の2着という結果を残し、その実力が世界でも通用することを証明した。前々走の天皇賞秋は2着、前走のジャパンCは3着に敗れたが、タイム差はそれほどでもなく実力が衰えているとは思えない。藤沢和調教師はG1を3連戦しなければいけないことを考慮して、今までは100%の仕上げをしてこなかったはずで、その分甘くなったということだと思う。今回はラストランということからして、数年前のシンボリクリスエスのように、究極の仕上げを心がけるはずで、ここ2戦とは違う生涯最高の走りを見せてくれるのではないか。
消し 今年は宝塚記念3着、国際G1で2着、天皇賞秋2着、ジャパンC3着と実は1勝もしていない。昨年G1を3連勝したことを考えれば、少し物足りないと言わざる得ない。結局はピークが何年も続くはずもなく、昨年ほどのデキにはないということかもしれない。特に前走のJCは最後は失速していただけに、能力の限界という感じがした。天皇賞秋の走りと比較すると、この馬に2400mは本質的には合わないという感じもしたし、昨年くらいのデキであれば、ともかく歳をとった今年のこの馬に2500mを走りきる力はないかもしれない。昨年の鞍上はペリエだったが、今年はデザーモである。ペリエ以外の騎手ではG1を勝っていないだけに、デザーモがどうかというよりも、ペリエでないというだけでマイナスだと考えたくなる。
タップダンスシチー
(牡8・佐藤哲57)
買い H16宝塚記念1着、H15ジャパンC1着、H17H16H15金鯱賞1着、H15京都大賞典1着など。昨年の宝塚記念で2着に2馬身差、しかも自分から動いていってこの着差は力が違うとしか言いようがないという内容だった。昨年の有馬記念でも、凱旋門賞帰りだったこともあり体調不十分だったにもかかわらず、ハイペースの逃げを展開し、最後はゼンノロブロイに差されたものの、レコードを叩き出しての2着だから、その能力は半端でないことは証明した。今年の金鯱賞でも強い競馬をみせているので年齢的な衰えもそれほどはないはずである。秋2走は凡走に終わっているが、もともとムラのあるタイプだし、天皇賞はペースが遅すぎで、ジャパンCはペースが速すぎた。コーナーが多い中山2500mは逃げるこの馬には大きなプラスとなるし、昨年のペースで逃げれば、そのまま押し切るということも十分に考えられる。
消し 前走のジャパンCで10着、前々走の天皇賞秋で9着、さらに夏の宝塚記念で7着と、今年のG1は結果がいまいちである。すでに8歳という年齢を考えるとやはり年齢的な衰えと考えるのが自然かもしれない。そうだとすれば巻き返しは難しいということになる。前走は久々にこの馬らしい積極的な競馬を展開したわけだし、それで直線で失速しているということからも、全盛期の力はないと考えていいのではないか。宝塚記念の時のようにコスモバルクに絡まれると逃げ切るのは難しいので、展開的にもアテにはできない。勢いもさすがに感じられないし、ここでの巻き返しはかなり厳しいのではないか。
ディープインパクト
(牡3・武豊55)
買い H17皐月賞1着、H17ダービー1着、H17神戸新聞杯1着など。 なんと言っても無敗の3冠馬である。もうすでに歴史に残る名馬といえる存在だけに、ここで能力不足ということはあるはずがない。皐月賞とダービーはともに圧勝、菊花賞も1コーナーで掛かりながら最後は上がり33秒台という信じられない末脚できっちりと差し切り勝ちと、内容も半端でなく強かった。ジャパンCを見送って、ゆっくりと調整できたということからすれば、疲れとか調子が悪いということは考えづらいし、掛かった3000mでも強い競馬をするのだから2500mという距離が問題になるはずもない。鞍上が武豊であれば、プレッシャーによる騎乗ミスも考えられない。初めての古馬戦も、そのポテンシャルの違いを見せつけて、来年は堂々と海外へ向かってもらいたい。
消し やはり不安なのは古馬と初対戦になることだろう。今までは3歳馬相手だったから圧勝してきたが、熟練の古馬が相手ではそうはうまくはいかないはずだ。今の3歳世代のレベルが低すぎただけということあるわけで、古馬との力の違いを見せつけられて惨敗を喫するということもあるかもしれない。それに、今回はタップダンスがハイペースで逃げると思われる。昨年もそうだったが、タップダンスの速い流れは意外に追い込み馬には不利になるものである。今回も出遅れて後方からの競馬になると、追い込みきれずに負けるということも十分に考えられる。菊花賞ではスタート直後に掛かったというのも気になるところで、今回も同じように掛かると相手が古馬だけに致命傷になるかもしれない。このレベルになるとミスは許されないといえるだけに、今まで荒削りな競馬をしてきたことを考えると、どうしても不安は大きくなる。
デルタブルース
(牡4・ペリエ57)
買い H16菊花賞1着、H17ステイヤーズS1着。 昨年の菊花賞を強い内容で勝ち、続くジャパンCでも3着、そして有馬記念でも5着と好走していたことから、今年のG1はこの馬が中心になるのではないか、と思われたほどであり、脚部不安などで結局は秋のG1シリーズに出走することができなかったものの、前走のステイヤーズSで復活を遂げ、いよいよG1の舞台に戻ってくることになった。重賞で結果を出しているのはすべて2400m以上であり、重賞2勝は3000m以上だからスタミナ能力はかなりのものを持っている。ジャパンC3着だからスピード不足ということもあり得ないし、中山2500mはこの馬には合っていると考えていいだろう。しかも、鞍上は3年連続で有馬記念を勝っているペリエである。中山2500mはけっこうトリッキーなだけに、鞍上の腕はかなりの比重を占めると思われる。スタミナに自信があるタイプなのでタップダンスが引っ張るペースは望むところだろうし、充実の4歳を迎えて昨年の雪辱を果たしたいところだろう。
消し 昨年の菊花賞を勝っているとはいえ、レースレベルはそれほどでもなかった感じがするだけに、G1を勝ちきるだけの実力を持っているかどうか、ちょっとあやしい。昨年のジャパンCではゼンノロブロイに3馬身差離されたし、有馬記念では5着に沈んだ。今年もアルゼンチン共和国杯では5着に負けたし、前走のステイヤーズSもエルノヴァにやっと勝ったという内容だった。これだけのメンバーが揃ったことも考えると、この馬には古馬G1を勝ちきるだけの器はないと思っていいのではないか。どちらかというと先行して押し切るタイプなので決め手はいまいちという感じがするし、そんなに大きくは負けないとは思うが、そんなに上にも来れないのではないかとどうしても思えてしまう。
ハーツクライ
(牡4・ルメール57)
買い H17ジャパンC2着、H17宝塚記念2着、H16日本ダービー2着、H16京都新聞杯1着。 前走のジャパンCで2着したというのは大きい。外国馬のアルカセットには敗れたものの、かなり際どいハナ差だったことからも勝ったに等しい評価が必要だ。しかも、ゼンノロブロイには完勝という内容だっただけに、日本馬では実力No1ということになる。この馬の持ち味はなんといっても切れ味鋭い末脚であり、最後方から直線だけで追い込んでくる決め手はかなりのものである。東京コースが合っていることは確かだろうが、宝塚記念でも2着しているのだから直線の短いコースがダメということはないはずだ。今回もタップダンスシチーがハイペースで逃げるとなれば、ジャパンCや宝塚記念と同じようなハイペースになるのは必至であり、この馬向きの展開になりそうだ。となれば、ついに念願のG1制覇を果たす時がきたのかもしれない。
消し 前走のジャパンCで2着したというのは大きな実績ではあるが、ハイペースに流れた展開と直線の長い東京コースだったから、この馬の末脚が生きたという考え方はできる。中山コースだと直線が短いだけに持ち前の末脚を生かしきれないかもしれない。菊花賞や天皇賞春では結果がいまいちだったことからすれば、この馬の距離適性は2400mまでかもしれない。となれば2500mはこの馬には少し長いということも考えられる。展開も必ず速くなるとも限らないだろうし、安定度という点でもアテにはできない。しかも今回はディープインパクトがいるのがつらい。追い込み馬有利の展開になったにしても、脚質が同じなだけに瞬発力勝負ではさすがに勝てないかもしれない。
ビッグゴールド
(牡7・柴田善57)
買い H17天皇賞春2着、H17大阪城S1着、H17大阪ハンブルクC1着、H14中山金杯1着など。 天皇賞春で2着したという実績は高い評価が必要である。スタートからハナにたったものの途中でシルクフェイマスが暴走するというアクシデントがあって苦しい展開だったにもかかわらず、4コーナー手前から再び先頭に出てそのまま押し切ったのだから、強いと言っていい内容だったと思う。特にハナにこだわるタイプではないし、タップダンスが逃げるのであれば、それを追走する形になればこの馬にとっては絶好の流れといえるかもしれない。少なくてもスローの展開からの瞬発力勝負よりはこの馬に合うはずだ。天皇賞春で好走したのだからスタミナには自信があるだろうし、距離延長も大きなプラスと考えていい。天皇賞春組は有馬記念で巻き返すパターンがあるので今回は注意が必要かもしれない。
消し 天皇賞春で2着とはいえ、年々レベルが低くなってきているという3200mのG1ということもあるので、どこまで評価していいか分からない。3200mという距離が良かっただけかもしれないし、3200mということで他の馬が力を出せなかっただけかもしれない。2500mなら他の馬も力を出し切れないということはないだろうし、3200mで2着だから2500mでも同じ結果を求めるのは酷かもしれない。タップダンスが逃げる展開なら、かなりのハイペースになるわけで、他の馬もタップダンスを野放しにはできないとなると、この馬が楽に先行できるという展開にはなりそうにないだけに、そういう意味でもかなりきつそうだ。
ヘヴンリーロマンス
(牝5・松永幹55)
買い H17天皇賞秋1着、H17札幌記念1着、H16阪神牝馬S1着、H17クイーンS2着。 前々走の天皇賞秋で蒼々たるメンバーを相手に勝ちきってしまった。札幌記念から連勝していることからしてもフロックとは思えない。当然に勢いはかなりのものだし、天皇賞秋を勝ったのだから今回だって十分に勝負になるはずだ。前走のジャパンCは7着に敗れたが、過去の名馬だってG1を連勝することは難しかったのだから、1度負けただけで評価を落とす必要はない。やっぱりフロックだったと思われて人気が極端に下がるようだと、馬券的には魅力が大きくなるし、こういう馬は人気がない時の方が好走するものである。天皇賞秋で驚かすことができたのだから今回だって驚かすことは十分にできるはずだ。
消し 前々走の天皇賞秋を勝っているのはとんでもく凄いことではあるが、超スローの展開でインコースで脚を貯めることができたのが大きかったようにも感じる。コースロスがなかったことで最後の瞬発力に繋がったというわけである。阪神牝馬Sを勝っていることからも、どちらかというとマイラーという感じもして、超スローだったからマイラーのこの馬の決め手が生きたという考え方もできる。現に2400mのジャパンCでは見せ場すら作れず、大きくは負けなかったものの、上位陣とは力の差を見せつけられた。やはり牝馬には2400m以上の距離となるとけっこう厳しいということだと思う。今回はさらに距離が延びるわけだし、中山2500mは2度の坂越えもあり、スタミナはかなり必要となってくる。マイルで活躍していたこの馬がそれだけのスタミナがあるとはちょっと考えづらい。夏から使われている馬なので、調子をキープし続けるのも大変だと思われる。
マイソールサウンド
(牡6・本田57)
買い 買い H17阪神大賞典1着、H16マイラーズC1着、H16京都金杯1着など。 今年の阪神大賞典を勝ちきっているというのは大きな実績である。スタミナはかなりあるということになるし、マイル重賞も2勝している実績から言えばスピード能力もかなりのものということになる。つまりは、絶対能力がかなり高いということになる。ここ3戦は8着、11着、15着と結果を出せていないが、これがこの馬の実力とは思えない。もともと人気がない時に好走してびっくりさせることが多い馬だけに、この大一番で爆走して再び我々を驚かせてくれるかもしれない。
消し 阪神大賞典を勝っているとはいえ天皇賞春では8着、ジャパンCでは15着と、G1では大きく負けているのだからG2までの馬と評価するのが妥当なのではないか。それに今秋以降は惨敗続きで、勢いという点でも見劣りするし、年齢的にピークが過ぎたということかもしれない。逃げるとか後方から追い込むとか極端な競馬をするタイプでもないし、展開による一発も期待しづらい。中山が得意とか、2500mが得意とか、もしかしたらと思わせる材料も見あたらないだけに、かなり厳しい戦いになりそうだ。
リンカーン
(牡5・横山典57)
買い H17京都大賞典1着、H16阪神大賞典1着、H15有馬記念2着、H15菊花賞2着。 前走のジャパンCで4着だったが、ゼンノロブロイとは僅差だったことからも実力差はほとんどないと考えていいだろう。というよりも、そもそも3歳時は菊花賞でも有馬記念でもゼンノロブロイに先着しているのだから、ポテンシャルはゼンノロブロイよりも上という考え方も十分にできるのである。この秋は京都大賞典で久々の重賞制覇を成し遂げているし、昨年のスランプからは完全に脱した。菊花賞と有馬記念で2着した実績からも距離が延びるのは大きなプラスであり、前走以上の走りは当然に期待できる。スタミナには自信があるから、速い流れは望むところだろうし、自在性のある脚質なので展開に合わせてどんな競馬でもできるのも強みである。
消し これまでG1で何度か2着3着という結果を残しているが、いずれも勝ち馬には完敗という内容だっただけに、どうしてもG1ではワンパンチ足りないというか、底力が足りないというか、つまりは強さが伝わってこなかった。安定度はそれなりに期待できるようにも感じるが、天皇賞秋のように惨敗を喫することもけっこうあるだけに、そこらへんの判断もけっこう難しい。決め手が極端に鋭いというわけでもないので、展開による一発も期待できないというか、これだけは他の馬に負けないという武器がこの馬にはないというのが一番の問題なのかもしれない。
コイントス
(牡7・北村宏57)
買い H17京都大賞典2着、H15阪神大賞典2着、H15日経新春杯2着など。 なんといっても3年前のこのレースで3着していることを忘れてはいけない。同じ中山2500mなわけだし、G1実績もあるということになるのだから、この馬にとっては最も得意な条件と言っていいはずだ。今年は京都大賞典で2着という実績も残しており、まだまだ能力は落ちていないことを証明している。阪神大賞典で2着したこともあり、スタミナには絶対の自信を持つ馬でもあるので、上がりのかかるスタミナ勝負になれば何とかなるかもしれない。前走の鳴尾記念は6着に負けたが、この馬には距離が短すぎた。得意の長距離戦になれば走りが一変するとも考えられるし、3年前のように一発かますということも十分に考えられる。
消し 過去に3着したことがあるといっても3年前の話ではあまり参考にならない。それにあの時は前残りの展開に助けられたという感じが強かっただけに、有馬記念3着というだけで高い評価はしない方がいい。あれから3つも歳をとっているのだから、能力は落ちていると考えるのが自然だろうし、少なくてもこの歳で3年前と同じ結果を求めるのは酷だろう。楽に逃げる展開になればまた違うのだろうが、今回はタップダンスの速い逃げが予想されるだけに、この馬にとっては展開的にも苦しいと思う。決め手に欠けるところがあって、重賞でどうしても勝ちきれないというのもこの馬の大きな問題であり、これだけのメンバーが揃うと、この馬の決め手で粘りきるというのはかなり厳しいと思われる。

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