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G1-ヴィクトリアマイルの反省

時間の都合上簡単にさせていただきます。
全体の感想(レース・馬券など)
1000m通過が58秒台だからスローとも言えないかもしれないが、ほとんどの馬の上がりタイムが33秒台ということを考えれば、ペースとしては遅かったと言っていいと思う。しかも荒れた内側の馬場をすべての馬が嫌っていたことを考えれば、外を走っていた馬はかなりのコースロスがあったと思われる。そうなれば、すべての馬に余力が残っているのだから、コースロスがないインコースを走っていた馬が圧倒的に有利になる。今回の結果はそういうコース取りの差が着順に出たように私には感じた。予想の反省としては、逃げ馬がいなかったということにもっと注意すべきだった。アサヒライジングが単騎で逃げるとかなりしぶといということをもっと重視していれば・・・という感じである。それにしても、今年のG1はどうしたのだろうか。ここまで大荒れが続くなんて今まででは考えられない。次からどのような予想をすべきか頭が痛くなる。
コイウタ
ダービー卿CTで牡馬を相手に2着していたこと、桜花賞で3着していたことを考えれば、G1で好走しても不思議はない存在ではあった。唯一の重賞勝ちがクイーンCで東京マイルだったということもあったと思う。それだけの実力があったことが当然に前提ではあるが、上がり33秒台の勝負になるとどうしてもコースロスのないインコースの馬が有利になるものである。内枠発走でコースロスのないインコースを走れたことがこの馬には大きかったと思う。そういう意味では直線でインに突っ込んだ松岡騎手のファインプレーとは言える。ただ、こういうことは人気がないからできることでもある。人気を背負っていれば、開くかどうか分からないポジションを走るわけにはいかない。そういう展開と人気がアヤがこの結果になったような気もする。
アサヒライジング
この馬の好走要因はやはり単騎で逃げることができたことだと思う。トータルタイムが32秒台だったということは、1000m通過が58秒台というのは完全な平均ペースであり、流れに緩急がない所謂ワンペースとなった。こうなると、後ろの馬は上がり31秒台とか32秒台で走らなければ追いつけない計算になる。それを考えれば、この馬のペースは絶妙だった。もちろん、実力を出し切れる状態に体調が戻っていたという厩舎側の努力も評価したい。マイルを32秒台で走りきれる実力がなければ意味がないわけだから、実力を出し切れる状態に戻っていたということも重要なことである。
デアリングハート
クイーンSと府中牝馬Sを勝っている実績があるのだから能力の高い馬ではあるが、やはりインコースを突いたのが好走要因だと思う。このくらいの差だと外枠発走でなければ逆転もあったかもしれないとも思うが、まあよく走っている方だとは思う。今後もマイル前後の牝馬限定戦であれば主役級の走りを期待していいと思う。
キストゥヘヴン
この馬にしては積極的な競馬だったが、展開を考えれば横山典騎手の好判断だったといえる。それでこの着順ということは、昨年からの成長力がいまいちということかもしれない。ちょっと底を見せてしまった感じがする。
ジョリーダンス
結果としては5着に終わったが、直線の伸びが最も凄かったのはこの馬だった。何せメンバー唯一の上がり32秒台を叩き出しているのだから、かなり凄いことである。馬券圏内を外した中では最も強い競馬をしたのはこの馬だと私は思う。これからもこの馬には注目した方がいいと思う。
スイープトウショウ
こういう展開だと後方からの競馬ではあまりに厳しい。まして外を回ってしまうとコースロスもあるからさらに厳しくなる。そういう意味ではさすがのこの馬も追い込みきれなかったということだと思う。でも9着というのは負けすぎという感じがするので、前走上がり32秒台で走った反動が出たということかもしれない。あとは歳ということもあるかもしれない。
カワカミプリンセス
やはり休み明けというのはアテにならないものである。秋華賞では休み明けでも走ったからといって、毎回休み明けでも走ると決まっているわけではない。うまく調整できれば走るだろうし、ちょっとでも調整が狂えば走らないものだと思う。こういうことは、走らせてみないと分からない部分もあるので、今回は秋華賞ほどの調整はできなかったということだと思う。あとは、G1勝ちはすべて2000m戦なのでマイルは距離が短すぎたということもあったかもしれない。でも1度叩かれれば変わるだろうから次は注目していいと思う。
予想と見解 好材料と不安材料

参考
G1-ヴィクトリアマイルの予想
結論

◎スイープトウショウ
 ○ディアデラノビア
 ▲カワカミプリンセス
 ×キストゥヘヴン
 ×フサイチパンドラ
 ×デアリングハート
 △サンレイジャスパー
 △ビーナスライン
 △コイウタ
 △アドマイヤキッス
 △ジョリーダンス
 △アサヒライジング

買い目(馬連)合計2,000円
  軸7−2,6(各400円)計800円
  軸7−5,8,16(各200円)計600円
  軸7−3,4,14,15,17,18(各100円)計600円

にへいの見解
 今回は時間がないので簡単にさせていただきます。
 本命◎はスイープトウショウである
 牡馬相手でも力強い競馬をすることからも、牝馬では抜けた存在である。これまでの実績はこのメンバーでは最上位といえるし、牝馬限定戦であれば下手な競馬はできないはずである。昨年のエリザベス女王杯でまさかの3位入線で、当時の3歳馬にやられたわけであるが、私は世代交代というよりは、単にこの馬の調子がいまいちだっただけと思っている。今回は前走のマイラーズCで上々の走りをしているし、昨秋よりも調子が良いように感じている。マイル戦だと極端に遅い流れにはならないだろうし、この馬が脚を余すことはないだろうと思っている。
 対抗○はディアデラノビアである
 これまでにG1で3度3着しているように能力の高い馬である。脚質的に東京コースは合うしマイル戦も合うと思う。今回も3着以上は期待していだろうし、今回はなんとか2着してくれるのではないかと期待している。
 単穴▲はカワカミプリンセスである
 エリザベス女王杯で1位入線を果たしているように、昨秋の時点で牝馬No.1の地位に昇りつめた馬である。実質的には無敗ということになるし、牡馬相手でも勝負になるだけのポテンシャルを持っていると考えていいと思う。そういう意味ではスイープトウショウに再び先着するということも当然に考えられる。だから1人気になっているのは当然のことだとは思う。ただ、やはり休み明けというのは不安としては小さくはない。能力でカバーできる可能性も十分にあるが、隙があるというのは否定はできないはずだ。そうであれば、スイープトウショウの方が断然に有利だと私は思うし、休み明けの牝馬はどうなるか分からないのだから、馬券圏内を外すというリスクも小さくはないと思う。能力は当然に高く評価しているが、馬券としては今回は押さえだけにとどめたい。
 4番手×はキストゥヘヴンである
 桜花賞馬なのだから能力は通用するはずである。桜花賞以後は結果を残せていないが、距離が長かったということではないか。得意のマイル戦ならば巻き返しがあってもいいと思う。昨年のダンスインザムードも桜花賞馬だったではないか。
 5番手×はフサイチパンドラである
 オークス2着、エリザベス女王杯1着、JC5着と、とにかくG1で強い馬である。G1だときっちりと結果を残す馬であり、大舞台に強い馬だけに、今回も軽視はできない。
 6番手×はデアリングハートである
 昨年のクイーンSと府中牝馬Sはかなり強い競馬だった。あの内容であればG1でも通用すると私は感じた。今回も牝馬限定G1であれば十分に通用するという判断でこの評価にした。東京コースを得意としているということもあるし、人気がない時の一発はこの馬の特徴でもある。
 7番手△はサンレイジャスパーである
 昨年は夏から秋にかけてかなり良い競馬をしていた馬である。あのレース内容からすれば、G1でも能力的にはそれほど差はないと思う。最近は結果がいまいちなので不安は大きいが、そのせいでオッズが高いので押さえようと考えた。
 8番手△はビーナスラインである
 さすがにマイルでは距離が長いとは思ったが、牡馬混合の高松宮記念で4着しているのだから、牝馬限定戦であれば通用しても良いと思った。追い込み一辺倒の馬なので、東京コース爆発するということもあるのではないか。
 9番手△はコイウタである
 ダービー卿CTで2着しているように、マイル戦ではけっこう強い競馬をする馬なので、マイル戦ならチャンスはあるのではないかと考えた。
 10番手△はアドマイヤキッスである
 前哨戦では強い競馬をするのに、本番ではなかなか勝てない馬である。そういう意味ではワンパンチ足りない馬ということになるとは思うが、能力の差はそれほどないと考えた方がいい。「消す」のはちょっと危険と思った。
 11番手△はジョリーダンスである
 前走の阪神牝馬Sを勝っている馬なのだから「消す」ことはできなかった。でも、1400mがベストの馬のような気はするし、あまりに大物感を感じていない。
 12番手△はアサヒライジングである
 G1で何度も好走しているのだから能力的には通用するはずである。近走の結果がいまいちだし、決め手に欠けるところがある馬なので、あまり期待はしていないが、押さえは必要だと判断した。

G1-ヴィクトリアマイル

アグネスラズベリ
(牝6・角田55)
H19阪神牝馬S2着
昨年は、500万から準オープンまで4連勝して挑んできて、その勢いもあったためか5着と好走した。その後も牡馬混合のスワンSで3着して、改めてそのポテンシャルの高さを証明している。最近も京都牝馬S3着、阪神牝馬S2着と、牝馬限定戦で安定した実績を残している。これだけの実績を持っていれば、今回もかなり期待していいということになる。ただ、オープン入りしてからは好走はしても勝ちきれていないというのはけっこう気になる。単に相手なりに走るタイプで、本当の意味での実力はないということかもしれない。勝馬にはけっこう離されることも多いし、なんというか「負けてなお強し」という感じがしないのである。まあ、相手なりに走るということは、今回も勝てないまでも馬券には絡んでくるということも考えられるから、そういう意味では高い評価をしてもいいのかもしれない。でも、G1はそんなに甘いものではないだろうから、昨年くらいが精一杯かもしれない。
アサヒライジング
(牝4・柴田善55)
阪神JF5着、桜花賞4着、オークス3着、アメリカンオークス2着、秋華賞2着、エリザベス女王杯4着と、海外G1を含めて6度のG1を走って、1度も掲示板を外していないというのはかなり凄い実績である。以前はハナを切って押し切るという逃げ馬という印象だったが、オークスで好位からの競馬をして結果を出して以降は、どんな展開にも対応できる安定度の高い走りをするようになった。気になるのは、今年になってから結果を出していないことである。G1で掲示板を外さなかった馬が、G3G2で掲示板にも載れなかったのだから「どうしたのだろうか」とどうしても思ってしまう。悪く考えれば「昨年で力尽きた」ということかもしれないし、良く考えれば「あくまで今回にピークを持ってくるための叩き台」ということになるのだろうか。中山牝馬Sはトップハンデ、阪神Cは距離不足とはっきりした敗因があるだけに、今回巻き返しがあっても不思議はないということにはなる。今までのG1での実績を考えれば、通用するだけのポテンシャルを持っているのは間違いない。ただ、牝馬は勢いも大事な要素ということになるし、マイルという距離もこの馬には少し短い感じもする。不安要素も大きいだけに、今回の取捨はかなり難しい。
アドマイヤキッス
(牝4・武豊55)
H18愛知杯1着、H18ローズS1着、H18チューリップ賞1着、H18桜花賞2着
重賞を3勝しているというのはけっこう凄い。桜花賞2着でG1連対経験もあるし、G1のTRで2勝しているというのも価値は高い。桜花賞、オークス、秋華賞とすべて1人気になっているということもあるし、G1を勝ちきれるだけの能力はあると考えていいだろう。ただ、なぜかG1になると結果がもう一つというのがこの馬の微妙なところである。大きく負けてはいないのだから、展開のアヤみたいなものかもしれないが、1人気でここまで勝てないとG1を勝てるだけの器はないと考えた方がいいかもしれない。あるいは、大きなレースだと馬が萎縮してしまって力を出し切れないのかもしれない。いずれにしても、G1ではあまり結果を出せていないというのは大きな不安である。前走のマイラーズCも牡馬相手だったことを考えれば4着というのも立派ではあるが、スイープトウショウには完敗という内容だったということは、今回のレースで巻き返すのは難しいということにもなる。とはいえ、G1でも掲示板を外したことがないという安定度を考えれば、まったく軽視してしまうというのも問題かもしれない。
カワカミプリンセス
(牝4・武幸55)
H18オークス1着、H18秋華賞1着など。
6戦5勝ということではあるが、エリザベス女王杯は1着入線からの降着なので、実質的には「無敗」ということになる。しかも、G1を実質3勝という実績は、このメンバーに入っても抜けている存在と言っていい。すでに古馬G1のエリザベス女王杯で1位入線を果たしているのだから古馬G1という壁もない。ふつうに考えれば、すでに歴史的名牝の地位にあると言えるし、これからもその名に恥じぬ走りをしてくれることを期待していいはずである。そういう意味では、牝馬限定の今回のレースであれば、負けることは許されないということにもなる。問題となるとすれば、やはり休み明けだろう。秋華賞は休み明けで勝っているので鉄砲も問題ないという考え方もできるが、仕上がり具合の問題もあるし、こればかりは走らせてみないと分からないことである。また、勝っているG1はすべて2000m以上なので、マイル戦がどうかということもある。あとは、騎手が武幸四郎ということだろう。人気薄でG1を勝つという印象はあるが、人気馬でG1を勝ったという記憶がないだけに、けっこう大きな不安と言えるかもしれない。
キストゥヘヴン
(牝4・横山典55)
なんといっても昨年の桜花賞馬である。牝馬では最も名誉あると言われているレースを勝っているのだからポテンシャルが高いのは間違いない。桜花賞以降はオークス6着、秋華賞6着など中途半端なレースが続いているが、桜花賞を勝っていることを考えれば、距離が長かったということかもしれない。ベスト距離がマイルだとすれば、今回は巻き返しの最大のチャンスということになる。鋭い末脚を武器にしている馬なので、直線の長い東京コースもプラスではないか。前走の中山牝馬S5着も道悪で後方からの競馬だったことを考えれば、内容としては悪くはなかった。徐々に調子を上げてきているのも感じるし、G1で2着に持ってくることが多い横山典騎手というのも心強い。とはいえ、桜花賞以降の最高着順が5着というのはどうなのだろうか。ここまで結果が出ないと桜花賞はフロックだったとどうしても思えてくる。古馬G1となれば、当然に世代限定戦よりもレベルが高くなるわけだし、前走も中山牝馬Sで5着に負けているのだから、ここで桜花賞のような走りを期待するのは厳しいかもしれない。一発あっても不思議のないだけの決め手は持っているとしても、それが今回出るとは限らないわけだし、一瞬の切れ味で勝負するタイプだとすれば、直線の長い東京コースはかえって合わないという考え方もできる。
コイウタ
(牝4・松岡55)
H18クイーンC1着、H19ダービー卿CT2着など
前走のダービー卿CTで2着しているのは好感が持てる。牡馬混合重賞で連対を果たしたことは凄いことだし、マイル戦で結果を出しているというのも良い。当然ながら調子も良いということだろうから、このレースに向けての叩き台としては価値の高いものだったといえる。唯一の重賞勝ちが東京マイルだったわけだし、桜花賞3着というのもマイル戦での結果である。このようにみていくとマイル戦でとにかく強いと言っていいと思う。ベスト条件で調子も良いとなれば、この馬としてはベストパフォーマンスはしてくれると考えていいだろう。問題は、そのベストパフォーマンスで通用するかどうかということになると思う。桜花賞では3着しているものの、大きなレースではそれほど結果を残せていないだけに、G1では壁があるような感じもある。京都牝馬Sで9着だからマイル戦だから必ず好走するというわけではないし、大物感という点ではもう一つである。脚質的に決め手に欠けるところがあるというのも気になるところではある。
コスモマーベラス
(牝5・蛯名55)
H18愛知杯2着、H18ターコイズS1着など。
この馬のベストレースはやはり昨年のこのレースだろう。G1で4着したわけだし、勝ったダンスインザパートナーと0.4秒差の競馬をしたのだから、能力的には通用すると判断していいはずだ。今年は昨年の1着2着馬がいないのだからチャンスは大きいという考え方もできる。前走の福島牝馬Sでは4着に負けているが、昨年だって福島牝馬S10着からの巻き返しだったのだから、今年は昨年よりも調子が良いという考え方もできる。ここ1年は掲示板を外さない安定した走りをしており、気性的に大人になってきているのも感じる。とはいえ、重賞を勝っているわけではないし、大物感としてはもう一つというところがある。前走の福島牝馬Sで4着というのは、ふつうに考えれば物足りない結果であり、G1での巻き返しは難しいということになるし、昨年4着も展開に恵まれたという感じも否めない。昨年みたいにうまく流れに乗れれば3着くらいはあるかもしれないが、さすがに勝ちきるまでは難しいだろう、と考えるのが一般的ではないか。
サヨウナラ
(牝6・中村55)
これまでの実績をみると勝ち星のすべてがダートである。3走前に準オープンを勝ち上がっているが、このときももちろんダートである。3歳時に何度か芝は走っているが結果は出ておらず、芝の実績は前走の福島牝馬Sで6着だけと考えていいだろう。久々の芝だったということを考えれば、重賞で6着、0.4秒差なら上々の内容とも言えるが、今回はG1となることを考えれば、ローカルG3で掲示板にも載れなかったというのは問題だろう。相手はさらに強くなるわけだし、前走以上の結果を求めるのはあまりに酷である。芝では底を見せていないという考え方もできなくはないだろうから、そういう意味での一発の可能性は否定はしないが、その確率はきわめて低いと言わざる得ない。
サンレイジャスパー
(牝5・佐藤哲55)
H18マーメイドS2着、H18新潟記念2着、H18府中牝馬S2着
昨年の夏から重賞で結果を出すようになってきた馬である。特に小倉記念や新潟記念で牡馬相手に好走しているというのが凄いことである。牝馬限定重賞でも別定G2の府中牝馬Sで2着しているわけだし、G1のここで通用しても不思議ないだけの実績は残している。気になるのは、ここ2戦がいずれも掲示板にも載れなかったことである。中山牝馬Sはハンデ54kgだったことを考えれば負けすぎといえるし、福島牝馬Sもローカル重賞ということを考えれば負けすぎだと思う。昨夏から昨秋にかけての勢いが感じられないだけに、調子が落ちてきているということかもしれない。とにかく勢いが感じられないのは確かである。中山牝馬Sはスタートがいまいちで流れに乗れなかった、福島牝馬Sは外々を回されたコースロスが大きかったということが敗因だとすれば、今回巻き返しがあっても不思議はないという考え方もできるとは思う。でも、エリザベス女王杯で7着ということを考えれば、G1級の器ではないという考え方もできるし、G1での巻き返しは厳しいような感じはする。
ジョリーダンス
(牝6・安藤勝55)
H19阪神牝馬S1着
今回のレースの前哨戦である阪神牝馬Sで勝っているのだから、当然に本番となる今回もチャンスは大きいということになる。しかも2着に1馬身以上離すという強い内容だっただけに、実力の違いを見せつけたという考え方もできる。まして牝馬は調子の善し悪しが結果に反映されやすいだけに、この勢いで本番も勝ってしまうということは十分に考えられる。気になるのは、現在2連勝中だが、1200mと1400mだったたということである。つまり、マイルだと距離が長すぎるのではないか、ということである。2000mを勝っている実績はあるのだから、マイルも問題ないという考え方もできるだろうが、下級条件戦と準オープン以上ではレベルが違うだけに、短距離適性の方が高いという可能性もけっこうありそうだ。それに、重賞で好走した実績が前走だけということからすれば、前走はフロックということも考えられる。G1となると、実績馬がきっちりと仕上げてくるだろうし、前走のようにうまくいくとは限らない。相手関係も当然に強くなるわけだし、本当に強い馬に実力の違いを見せつけられるということも十分に考えられる。
スイープトウショウ
(牝6・池添55)
H17宝塚記念1着、H17安田記念2着、H17エリザベス女王杯1着、H16秋華賞1着など。
G1を3勝しているという実績はこのメンバーでは当然に最上位といえるものである。特に牡馬混合の宝塚記念を勝っているというのがあまりに凄い。しかも、このときの2着があのハーツクライというのだからこの馬のポテンシャルは歴史的にみても上位ということになる。この馬の魅力は、どこからでも差してくる豪快な末脚である。超スローの展開でも上がり32秒台で追い込んでくるのだから、他の馬はどうしようもない。前走のマイラーズCも逃げたコンゴウリキシオーは捕まえられなかったが、上がり32秒台という決め手をみせて2着しており、休み明けだったことも考えれば、上々の内容だったといえる。一叩きされた上積みと牝馬限定になることを考えれば、負けられない一戦という考え方もできる。勝ったG1がすべて2000m以上なのでマイルは少し短いかもしれないという不安もあるが、前走もマイル戦だったし安田記念2着という実績もあるから距離は守備範囲と考えていいかもしれない。ただ、昨年のエリザベス女王杯では現4歳馬に負けているだけに、現4歳馬の方が実力が上、あるいはこの馬が年齢的に実力が落ちてきているということも十分に考えられるだけに、以前ほどの信用はおきづらい。ときどき直線でなぜか伸びないというレースをすることもあるし、意外に安定度がないというのも不安材料ではある。
デアリングハート
(牝5・藤田55)
H18クイーンS1着、H18府中牝馬S1着、H17NHKマイルC2着
3歳時は桜花賞3着、NHKマイルC2着という実績は残したものの、気性が安定せずムラのあるレースが多かったが、4歳の夏から集中して走るようになったのか、クイーンSと府中牝馬Sで連勝した。いずれも積極的なレース運びで押し切っており、ポテンシャルの高さを感じる内容だった。ただ、マイルCSでは15着に負けているように、まだ大舞台で弱いというか、G1では実力不足という感じがしてしまう。先行して押し切るという脚質だから、どうしても決め手に欠ける感じがしてしまうし、G1だと決め手のある馬にやられるのではないか、という不安を感じてしまう。東京コースは合っている感じがするので、そういう意味でもチャンスはあるというか、おもしろい存在だとは思うが、前走ダービー卿CTで6着に負けているのも微妙な感じだし、巻き返しはどうだろうか。G1実績もあるし、強いメンバーが揃う重賞も勝っているということを考えれば、チャンスは小さくはないということにはなるので、そこらへんの判断が難しいところである。
ディアデラノビア
(牝5・岩田55)
H19京都牝馬S1着、H17フローラS1着
オークス3着、ヴィクトリアマイル3着、エリザベス女王杯3着とG1で3回も3着をしている馬である。G1で何度も好走しているのだから能力的には当然に通用すると考えていいだろう。それに昨年の3着馬ということでもあるが、今年は昨年1着2着馬が出走していないのだから、この馬が1着でくるという考え方だってできることになる。昨年は出たレースのほとんどが3着という消化不良のレースが多かったが、今年は京都牝馬Sで久々の重賞制覇を成し遂げており一皮むけた印象である。前走の阪神牝馬Sは3着に負けたが、1400mはこの馬には少し距離が短かったということかもしれない。東京コースは得意としているコースでもあるし、距離延長も大きなプラスだろう。念願のG1制覇のチャンスは十分といえる。ただ、前走の阪神牝馬Sで3着というのは、圧倒的1人気に推されていたことを考えれば、ちょっと不甲斐ない結果ともいえる。やはり、この馬は3着ばかりのブロンズコレクターなのだろうか。とにかく、勝ちきれない勝負弱さみたいなところがどうしても不安要素となってしまう。今回も3着までなら頑張れるという考え方もできるだろうが、うまくいって3着ならちょっと何かあれば4着以下に負けることも十分にあり得るということにもなる。
フサイチパンドラ
(牝4・福永55)
H18エリザベス女王杯1着、H18オークス2着など。
カワカミプリンセスの降着によるものとはいえ昨年のエリザベス女王杯を勝ったのだから当然に高い評価が必要である。牝馬最強と言われたスイープトウショウには勝っているのだから、この馬の実力もかなりのものである。それと忘れていけないのは昨年のジャパンCで5着していることである。ディープインパクトをはじめとする強力古馬を相手に3歳牝馬ながら掲示板を確保したというのはかなり凄いことである。特にメイショウサムソンに先着したということを高く評価すべきである。このように、この馬のポテンシャルはG1級であることは間違いない。ここ2戦は9着に負けているが、G1前哨戦で負けるのはいつものことである。白井厩舎はG1できっちりと仕上げることに定評のある厩舎であるし、G1ではきっちりと結果を出してくると思われる。まあ、そうはいってもここ2戦が9着9着というのは、どうしても不安を感じてしまう。もともと安定度がないといっても、今回はきっちり走る番とは限らない。気性の難しい馬でもあるので、どうしても安定度は期待できないものである。桜花賞は14着に負けていることを考えると、マイルはこの馬には少し距離が短いということもあるかもしれない。まあとにかく、能力はあるが、その能力を今回出してくれるかどうかは分からないという感じである。
スプリングドリュー
(牝7・内田博55)
H19福島牝馬S1着
前走の福島牝馬Sを勝っているというのは大きい。このレースも今回の前哨戦の位置づけであるわけだし、そこで勝ったのだから今回だってチャンスということになる。特に休み明けでいきなり好走したということは、うまくリフレッシュできたということであり、状態としてはかなり良いと考えていいだろう。牝馬はこういう体調の良い馬が大きなレースでもそのまま結果を出すことがあるだけに注意は必要だ。でも、重賞で好走したのが前走だけというのでは、やはりG1でも好走できるとまでは評価しづらい。まして福島のローカル重賞では、インパクトとしてはどうしても小さくなってしまう。相手関係からもレースレベルがそんなに高かったとも思えないし、ここまでメンバーが強化されるとさすがに相手にしてもらえないという感じがしてしまう。
ソリッドプラチナム
(牝4・小牧太55)
H18マーメイドS1着
昨年のマーメイドSを勝っているが、3歳6月の時点で古馬を相手に勝ったのだからかなり驚いた。いくら斤量が軽かったといってもこの時期に3歳馬が古馬に勝つというのはなかなかできるものではない。そういう意味ではこの馬のポテンシャルはかなり高いと考えていいはずだ。もちろんG1でも通用するだけの実力があると判断していいだろう。ただ、その後は意外に結果を残せていないというのはかなり気になる。マーメイドSはやはり斤量49kgに助けられただけという考え方が正しいのかもしれない。愛知杯で3着しているので、能力を出し切れることが少ないだけということかもしれないが、仮にそうだとしても今回が能力を出し切れる番とは限らない。それとG1で掲示板に載ったという実績もないのだから、さすがにG1で通用するだけの能力はないという考え方もできる。
ビーナスライン
(牝6・秋山55)
H18函館SS1着
この馬の魅力はなんといっても豪快な追い込みである。はまった時の爆発力はかなりのものであり、前が崩れる展開になれば最後の最後で一気に伸びてくるということもあるかもしれない。そういう一発の魅力を持った馬である。前走の高松宮記念でも最後方から4着まで伸びてきている。牡馬が相手だったこと、小回りコースだったことを考えれば、この4着はかなり高い評価をしてもいいのではないか。今回は牝馬限定戦となるわけだし、直線の長い東京コースというのも脚質的に合うはずだ。一発あっても不思議はないという条件は揃ったと言っていいと思う。とはいえ、この馬の好走は1200m戦ばかりである。マイルでは1勝もしていないことを考えても、マイルは距離が長いと考えるべきだろう。特に東京マイルはスタミナが必要不可欠と言われているコースなので、距離実績のない馬には厳しいと思われる。追い込み一辺倒なので当然に展開に左右されるわけだし、スローの展開になれば出番はないと考えていいだろう。
ブルーメンブラッド
(牝4・川島55)
これまでの主な実績としては、フラワーC3着、忘れな草賞2着、クイーンS6着そして前走の阪神牝馬Sで5着ということろこである。G1を戦うことを考えれば、ちょっと物足りない実績とは言えるが、かといってまったく通用しないというレベルでもないとも言える。準オープンではずっと1人気だったことからも、以前から素質の高さは評価されてきた馬ではあるし、ここにきて本格化してきたのも感じるだけに、今はG1でも戦えるだけの実力を身につけているということも考えられる。でもまあ、前走の阪神牝馬Sは久々の重賞ということもあって、力の違いを見せつけられたという感じが強かっただけに、さらに相手が強くなることも踏まえれば、G1での巻き返しはかなり厳しいということになるのだろう。

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