98/10/29「ネジ式」

この数日、IbanezのMC924に触っている。本数が多くなってくると、どうしても持ち出して弾く物と、なかなかそういう機会が無い物とが出てきてしまうので、普段触ってないものの調子がわからなくなるから。それに、今は湿度の変わり目で、大きく湿度が変化してから1週間〜10日位でネックも安定してくるから、その調整の意味もあって、数日前にMC924をハードケースから出してきたのが運の尽き。ちなみにこのベースは他のページでも書いたけど、僕の初めてのまともな楽器で、20位の頃から30になるまでのメインの楽器だった。なので、当時を知る僕の周りにとっては、多分、僕のトレードマーク的な物なのね。

「ベースの調整」という行為が何を指すのか、楽器を弾かない人にはわからないかもしれないけど、僕が考えるのは大体以下の様な項目。

10年間メインで使っていた楽器がサブに回って、それから4年。この4年間に知り合った人だと、多分僕がフェンダー他のジャズベースを弾いているのを見ている人が多いはずなんだけど、このジャズベにあった弾き方があって、それを習得するのに1、2年かかったのと同時に、それまで慣れていたはずの楽器の鳴らしかたを忘れている。これはイカンですよね。

3年前に、実はこの MC924は一度リペアが入ってる。といっても、フレットのすりあわせとナット交換(摩耗した金属部の上を削って平らにしたりすること)なんだが。今風のはやりの音ではないので、出番が少ないんだけど自分にとっては多分一生モンの楽器なので、10年記念でいたわって上げたというか。で、やっぱし出番がないんだなぁ、これが。この4年で、外に出たのは多分10回ないくらい・・・7回位か?それでもいざ鎌倉って感じで、最低3ヵ月に1度は触ってる。

そのつもりで出してきて、それでネックの調整。これが、実は時間がかかる作業なんだな。構造としては、木がたわむのを、中に入れた鉄心が妨害して元に戻すというしくみなので、鉄心をゆるめたりきつくしたりしてバランスをとる作業ということになる。状態をちょっと変更すると、新しいバランスが取れるようになるのに一晩は見たいところ。なので、このベースも先週末からすこしずつ調整をしている。

調整をしてみたら・・・いいんですよ、これが。毎日30分位は触るようにしているおかげか、昔の弾き方も思い出してきたし、それに加えてこのところ古い楽器も弾いてたんで、(自分にとって)新しい弾き方も加味されて。(ベース弾きの方向けに書いちゃうならば、パッシブの鳴らしかたを覚えたってことです。)昔、メインで使ってた頃に出して上げられなかった音をようやく出して上げられたというか。

今はもうスラップの音も、こいつよりはジャズベの方を気に入ってるから、イヤなあらばかり目立つんですが、指で弾いてみたら、最近ずっと弾いているベースにない懐かしい音がして。’80年代前半の音といいましょうか。

まぁ、ひょっとしたら、懐かしくて勘違いしているのかもしれないけど、なんだか、今度外に持ち出して弾いて上げたい感じになってきました。最近、こういう音、あまり聞かないし・・・それに自分のところに来てもう15年。オールドとは言えないけど、購入した’83年から15年さかのぼると、あなた、68年っつーことですから、当時のビンテージぐらいの音はしてるのかも(苦笑)。

で、なぜこの文章のタイトルがネジ式かというと・・・調整するときに、楽器のネームプレートをはずさなくちゃならんのですわ。横着をして弦を外さずにとろうとしたら、ネジが一つ行方不明に・・・プレートは3点でネジ止めで、全部とめないとチリチリと音が鳴ってしまうわけ。「ネジはどこだ?」なんていってたら、一瞬つげ義治を思い出したと・・・それだけです、はい。

ああ、ネジを買いに行かなきゃ。

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