ISO800のフィルム

こんなところまで読みに来てくださる方々は,きっと写真とかカメラが趣味に違いないと考えている。なので,結構こまかいネタでも構わないと思って,重箱隅ネタを展開しているわけである。

数日前,数ヶ月振りにアマチュアのバンドのライブの写真を撮りに行って来た。バンド自体は僕より10才近く若い人達のバンドだが,ボーカルが良く(英語は聞き取れなかったが・・・),鍵盤・ベースが無いという編成上のハンデを感じさせない出来ではあった。

撮影の装備はEOS-3+PB-E2+EF135/2L, LX+M50/1.4&M35/2.8である。他にM135/3.5(PENTAX)もあったのだがこの装備では出番は無し(笑)。問題はフィルムなのだ。

LXの方は,実はお散歩カメラとして,ISO400のネガが入っていた。まぁ,これは仕方がないので良しとしよう。もともとこちらを使う予定はなかったので,EOS用のEF50/1.4も持参していたのだったが,会場が思ったよりも狭く,135mmではバストショットになってしまうようなところだったため,思ったより50mmの出番が多く,挙句の果てに35mmもつかったのである。こんなことなら,EF35/1.4Lも持ってくれば良かったと思ったが後の祭。

今までの経験だと,アマチュアが借りたり,ブッキングして出たりするような小屋は,かなり照明が暗い。ISO800のフィルムにf/2のレンズを付けて,シャッタースピードが1/125"出ないことも珍しくないのである。楽器を弾いている時の体の動きをブレで表現するなら,1/60"〜1/125"のあたりがお勧めだと思うが,狙って1/60"にしているならともかく,明るさの関係で1/60"が頭打ちというのでは,非常につらい。座ってレリーズすることも多いので,手ブレはそれほど気にならないのだが,動体ブレが激しくなるので,やはり顔基準で測って1/125"程度のシャッタースピードは確保したいところである。

・・・と,前のパラグラフの2番目の文章に書いた通り,僕のレンズシステムだとf/2とf/1.4を開放かその近くで使用するということが多く,それで撮影するのにISO800のスピードが最低限必須なのである。フィルムは,纏め買いしたときの割引のため,Provia 100(RDP2)の36EXを使用することが多いのだが(20本で12,000円),普通,こういうライブの撮影はプリントを配ることが多く,後は感度との兼ね合いで800のネガを使用しているのだ。また,粒状性や黒のしまりを考えると,リバーサルよりはネガの方が綺麗だと思う。リバーサルだと,RHPの1段増感(色温度が低いので,緑〜青っぽい発色が相殺される), RSPのEI1600orEI3200, RMSのEI800orEI1000を使うが,粒状性とか階調を考えるとネガの方が綺麗である。反面,例の「プリントで思った色が出ない」というジレンマに落ちてしまうのだが。

今まで,800のネガはフジを利用してきて,とりたてて出来あがりに不満は無かったのだが,ちょっとだけ冒険のつもりで,コニカの800を2本使用してみた。プリントするのももったいなかったので,近所のミニラボで現像だけしてもらい,家でフィルムスキャナでスキャン,コマをピックアップしてプリントしてもらう,という方法を取った。スキャンの順序は,LXで撮った400のネガ(中央重点,露出はずれコマもいくつか),コニカの800,フジの800,コニカの800という4本。スキャンしてみて気づいたのだが,800で比較すると,コニカのネガはどうもアンダーに弱すぎるようなのだ。

ライブ舞台の撮影だと,評価測光(多分割測光)だと,ステージから客席に向いた照明があって主被写体がアンダーになったり,周辺が暗くて主被写体がオーバーになることがあり,望遠系だとスポット測光・広角系だと中央重点で夜景スナップの要領で露出補正して良い結果を得るケースが多いと思う。実際リバーサルで撮るときには,それで大体適正になっているのである。しかし,今回はネガということもあり,ちょっとだけ横着をして,露出補正をスポットの出目+1EVで固定して撮影してしまった。女性ボーカルなんかで,スポットが明るく当たっている場合は,この露出補正では1/2〜2/3段ほどアンダーになってしまうこともあり,リバーサルの場合には照明の色や測光範囲を見てまめに補正値を変える必要がある。しかし,今回使っているのはネガである。これまでフジの800を使っていて1/2段程度のアンダーはプリント時になんとかなることも多かったのだが,コニカではそのようなコマは全滅。

ちょっとアンダー目に露出が出るEOSなので,普段はフィルム感度を 1/3EIくらい持ち上げておくことも多い。その上で照明の色などで1/3〜1/2程度アンダーなので2/3EV程度のアンダーではないかと思われるが,フジに比べるとアンダー側に弱すぎるのではないか?

もともと舞台の照明なので,まともな色再現というのもないので,どちらかというとアンダー側に強い方が僕はうれしい。なので,今後は,恐らくフジのネガを使うことになりそうである。コダックは前に使ってみて,やはりアンダーに弱すぎる印象がある。

・・・フィルムスキャナを買ったことだし,カラープリンタを買って,リバーサル→スキャン→プリントという手もあるのだが,リバーサルにしてももうちょっと粒状性が良ければ。

単焦点ということで,ライブで場所を動けない時に,大口径ズームが欲しいと思うこともあるんだが,これもf/2.8と1絞りスピードが遅くなってしまうので,僕の基準で考えるとフィルムはISO1600位が必要になろうか。うーむ・・・そうやって考えていくと,自家現像でモノクロを増感という方向に進んでしまいそうで,それはそれで怖いのだ。
 

(2000/05/07記)



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