管楽器奏者の歯のためのページ

歯の相談室1998〜99年

目次 質問1.上の前歯が1本凹んでいるがすぐに口が疲れてしまう(歯並び)
    質問2.口唇周囲の筋肉を鍛える方法は?(筋肉)
    質問3.下の前歯が1本突出しハイトーンが出ない(歯並び)
    質問4.下の前歯を1本抜歯したら歯が傾き、圧力のバランスが悪くなった(歯並び)
    質問5.歯槽膿漏で歯茎の位置が変わり空隙が出来き、差し歯を作り替えるが...(差し歯)
    質問6.上の前歯が凸凹でフラッタータンギングが上手く行かない(歯並び)
    質問7.親知らずを抜歯したら顎が痛くなり音が変わってしまった(顎関節症)
    質問8.前歯に隙間があり、ハイトーンが辛い(歯並び)
    質問番外.虫歯で神経を抜くと言われたが....(差し歯)
    質問9.上の前歯が1本凹んでいてマウスピースが破損してしまう(歯並び)
    質問10.楽器を吹いていると前歯がぐらつく(歯並び)
    質問11.せっかくきれいにした歯並びをキープしたい(歯並び)
    質問12.親知らずを抜いてから音が揺れてしまう(親知らず)
    質問13.上の前歯を入れ歯にしてもトランペットが吹けるのか?(差し歯)
    質問14.反対咬合のため、ハイトーンが出にくくばてやすい(歯並び)


質問14.反対咬合のため、ハイトーンが出にくくばてやすい
K.A.さん トランペット歴10年
小、中学生と大学生の時にトランペットを吹いていました(主に1st)。
中学2年生くらいの時から反対噛合の傾向が見られるようになり(同時期に上の前歯の矯正も行っていて、その影響か今は若干出っ歯気味である)、それ以来楽器を吹く時に上唇の裏が上の前歯で圧迫され、歯の跡が残るようになりました。完全に歯の跡が消えるまでは数日から一週間を要しました。
以来、ハイトーンが出にくい、ばてやすいと言った症状が見られました。
反対噛合の金管楽器奏者用のアダプターがあると言う話しを聞いた事があるのですが本当でしょうか?また、反対噛合の外科手術をすれば上記のようなの症状は無くなるのでしょうか。手術をするのは術前術後の矯正の期間も合わせると数年かかると言う話しを聞いた事もあり、少し躊躇してしまいます。一番良い解決法を御教示頂ければ幸いに存じます。

回答
反対咬合の場合、どうしても楽器を上向きに当てることになります。そのために、上唇に圧力がかかるのでしょう。反対咬合用のアダプターは、上の歯を厚く覆うことにより、咬み合わせをカモフラージュします。これにより、楽器を上向きに当てることを直すことができれば、上唇に負担がかかることもなくなるため、ハイトーンが出ない、バテルといったトラブルは軽減すると思います。
次に反対咬合の治療についてです。
成人の反対咬合の治療の場合、おっしゃるように外科手術を併用する場合もありますが、歯の移動のみで治すことが可能の場合もあります。上下の歯並びのずれが大きい場合や、下顎が出た感じ(外見)が強い場合は、手術を併用します。
術前矯正といって顎を動かしたときによく噛むように歯を並べ(1〜2年)、手術(1〜2週間程度の入院)、その後術後矯正を半年ほど行ない、矯正装置を外します。
もし、咬みあわせは困っていないし、外見も気にならない、トランペットを上手く吹くためにだけ反対咬合の治療を...というのであれば、お勧めしません。楽器とは関係なく噛合せをよくしたいというのなら、矯正専門医に相談してください。
矯正治療中はブラケットにより吹きにくくなると思います。
反対咬合を直した後、楽器演奏を再開したときに上手く吹けるかですが、噛合せも、筋肉も変っていますので、条件は良くなっていると思いますが、一から始めるつもりでトランペットを吹くことになるかもしれません(ケースバイケースでしょうけど)。


質問13.上の前歯を入れ歯にしてもトランペットが吹けるのか?
U.T.さん トランペット歴20年
わたしは上の前歯4本を挿し歯としております。そのうち、右1番は、根を割ってしまいブリッジ状になっています。ところが最近、右2番も根が割れていることがわかりました。掛りつけの歯医者さんによれば、無傷の3番を削って新たにブリッジにするか、入れ歯にするしかないが、3番は削りたくないので、入れ歯にした方がいいと言われました。入れ歯にしてもラッパは吹けるようになるでしょうか。

回答
右の1番+2番が欠如することになるので、入れ歯にしたいが大丈夫か?ということですね。ブリッジにしたときと入れ歯(取り外し可能)を比較してみましょう。

  ブリッジ 入れ歯
便利さ 取り外しをしなくてもいい 取り外しが必要
外見 見た目がキレイ 鈎(入れ歯を保持するために歯に引っかけるバネ)が見える
周りの歯 削る必要がある(場合によっては神経を抜く必要も) 歯を削る必要がない
(あってもわずか)
欠損部分にかかる力 支台歯のみでささえる 歯(鈎のかかる歯)と粘膜(ハグキ)の両方でささえる
費用 保険(レジン)、自費(ポーセレン)....幅がある 保険(レジン床)、自費(金属床)...幅がある

入れ歯の場合、多少なりとも、ハグキを被うことになります。
デザインにもよりますが、場合によっては、入れ歯の床の厚みにより、口の中が狭くなります。特に前歯の部分ですから、タンギングに影響がある部分の形態が変るかもしれません。
また、入れ歯は咬む力の方向を想定し、その力に対してどうささえるかを考えてデザインします。ですから楽器を吹くときにかかる力は普通考えないです。
ですので、可能性としては、
・口が狭くなる
・タンギングに関係のある口蓋(ウワアゴ)の前方部の形態が変る
・楽器を吹くときに入れ歯が安定しない
といった不便は出てくるかもしれません。ではどうしたらいいかですが、
・入れ歯の床を薄くする(金属床)
・前後的な力(楽器を吹くときかかる力)に耐えられるデザインにする
といった工夫が望ましいでしょう。


質問12.親知らずを抜いてから音が揺れてしまう
K.T. さん テューバ歴12年
数年前に親知らずを全部抜歯したのですが、それからというものの、音が揺れてしまうことが頻繁に起きています。よくみると、下の唇周辺の筋肉や下顎が、波打っているように動いているのがわかります。これって、やっぱり親知らずの影響なのでしょうか。もしあるのだったら、この親知らずに代わるアダプターを装着するということはできますか?どこの歯医者でもやってくれるものでしょうか?

回答
普通親知らずを抜歯するときは、潜っているあるいは一部顔を出している程度であることが多く、その場合、抜歯しても、かみ合わせとしては変化しないと思います。むしろ後から出てきた親知らずが噛み合わせに影響しているときは、かえってコンテションがよくなることもあります。
しかし、きちんと生えている親知らずを虫歯等で抜歯した場合、歯並びの後ろが無くなって、わずかですが、後方の頬のサポートが無くなる状態といえます。でも、このせいとはちょっと言えないです。
考えられるとしたら、知覚マヒだと思います。
特に下の親知らずを抜歯するとき、深く潜っていると、抜くとき神経に傷ができることがあります。
その先は下唇の方に行く神経なので、下唇のシビレや知覚マヒ(触っても感じない)が起きることがあります。
半年くらいで元に戻ると言われていますが、長引くこともあります。
頬のサポートおよび息漏れを防ぐという意味で、アダプターを入れることは可能だと思います。状態にもよりますが、前方の歯を支えにして着脱式の簡単な入れ歯のようなものは作れます。効果があるかどうかはわかりませんが、親知らずがなくなったためだという不安があるのでしたら、試しに入れて吹いてみるのも手ですネ。


質問11.せっかくきれいにした歯並びをキープしたい
W.Y.さん クラリネット歴20年
中学の終わりくらいから高校の2年生まで歯列矯正をしていました。矯正の内容は、上の歯の中央の2本が比較的大きくて、少し出っ歯だったので、両犬歯の外側の歯を1本ずつ抜いて間を作り、それを利用して出っ歯を直すというものでした。もちろん噛み合わせがあるので、下の歯にも矯正装置をつけていました。
私としては矯正中もClarinetを吹き続けたかったのですが、当然お医者さまから、Stopがかかり矯正開始からしばらく(記憶が確かでないのですが、2年間ほど)は吹くのを止めていたような気がします。矯正装置がとれ固定期間もだいぶ経った頃から、本当は良くないんだろうなノと思いつつ、やはりがまんできず、部活動に復帰しました。でも、せっかく(膨大な時間とお金をかけて)矯正したので、元に戻るという恐怖感がいつもあり、多少負担が軽くなるのでは?と勝手に思って、Bass Claを1年ほど吹いていました。(今思えば、気休めにすぎなかったような気がします)
大学生になると、今までよりはClaを吹く時間がだいぶ減ったので、まぁ大丈夫だろうノと何となく、現在まできてしまいました。今は、市民楽団に所属しており、週2〜3日、各1〜2時間楽器に触る程度ですが、やはり歯並びがもとに戻るのではと何となく気にしながら吹いています。
矯正終了直後からしたら、ほんのちょっとですが、出っ歯になったような気がします。(もちろん、他人からみれば全然わからないと思いますが)今後も、他の原因で吹けなくなるまでは、Clarinetを続けたいのですが、歯並びをKEEPする為の何か良い方法がありましたらアドバイス頂きたいのですがノよろしくお願い致します。

回答
2年間吹けなくて残念でしたね。矯正装置をつけていても楽器は吹けることは吹けます。
矯正の先生によっては、楽器演奏自体を禁止する方もおられるようです。逆にブラスバンドの先生で、矯正治療を禁止したり打楽器に回したりする方もおられるようで.....残念に思います。
ただ、上顎前突(出っ歯)の治療の場合、歯を動かす力と逆の力がクラリネット吹奏時にかかってしまうため、矯正治療がうまくいかなくなる可能性があります。楽器をお休みしたからこそ良い結果を得られたかもしれません。
後戻りが、クラリネットのためだけとは断定できません(親知らずの影響や単なる後戻りかもしれません)が、楽器演奏により、上の前歯が出る力がかかることは事実です。
矯正治療後、どのような保定装置を使いましたか?取り外しのできるリテーナーであれば、2年使うところを、できるだけ長く使うというのが良い方法です。もし、既にあわなくなっていて、これ以上戻らなければよいというのであれば、リテーナーの再製作をする。歯を少し動かしたいのなら、ポジショナーという弾力性のある装置を使う方法もあります。


質問10.楽器を吹いていると前歯がぐらつく
K.T.さん トランペット歴1年
前歯2本がかなり大きいんです。ですので、この歯を削ってもらう事はできるんでしょうか?
それと、マウスピースを前歯で支えることに成り、前歯が長時間吹いていると痛くなるんです。このことが原因だと思うのですが、前歯2本がぐらつくようなきがします。ですので、裏側から支えを作っていただくことはできるんでしょうか?

回答
前歯2本が大きいということは、おそらく2本が飛び出ている状態ですね。物理的には削ることは可能だと思いますが、隣の歯との関係・下の歯との関係が問題になってきますから、一概には言えません。
また、削るにしても、神経を抜く必要がでてきたり、被せもの(いわゆるサシ歯)にすることになると、状態にもよりますが、歯にとってあまり良いとは言えません。
すこし角をまるめる程度に削るとか、アダプターを入れるという方法もあります。以前に似たような質問がありましたので参考にしてみてください。
ぐらつきについてですが、物理的には裏側から支えを入れることは可能です。
しかし、歯というのは生理的動揺といって、正常な状態で少しぐらぐらします。これをバッチと固定するのは、あまりよいことではありません。矯正装置にもアソビがあり、固定しているわけではありません(歯茎の病気等目的によっては固定することもありますが)。
もしかしたらマウスピースのプレスが強すぎて、この生理的動揺が少し大きくなっている程度かもしれません。見たわけでないので何とも言えないですが、アンブシャーの改善も必要かもですね。


質問9.上の前歯が1本凹んでいてマウスピースが破損してしまう
O.Y.さん クラリネット歴8年
私は歯並びが悪く、上中央の歯の隣にある、向かって左側の歯が凹んでいるのですが、マウスピースをくわえたとき、マウスピースの端っこをその歯にぶつけて、破損することがあるのですが(過去に2回ありました。小さな傷がつくだけなのですが、結構これが音に影響があるらしい。)、これを防ぐために何か方法はありますか。
もうひとつ質問ですが、2,3年後に歯を矯正しようと思っているのですが、期間はどれくらいかかるんでしょうか。歯の状態は写真で送れないので、説明が難しいのですが、これまでに、歯医者さんにすぐ矯正したほうがいいと言われたことはないけれど、結構歯並びが悪いという程度です(非常にわかりにくくて恐縮ですが)。ちなみに私は20歳です。一般論でかまわないのでよろしくお願い致します。

回答
破損するのはマウスピースそれとも凹んだ歯?普通は歯の方が強いから、マウスピースが破損するのでしょうか。
私はクラリネットでないので詳しいことはわかりませんが、マウスピースに貼るシールのようなもので保護してはどうでしょう。
でも、凹んだ歯が神経を抜いてあるとか虫歯とか治療したところがとれかかっているとかなら、歯の方が欠ける可能性もありそうですね。その場合、歯の方に問題があるかもしれません。堅い材料で治療し直すのがよい状態であることも考えられます。でも、数年後に矯正治療の予定なら、被せもの(いわゆる差し歯)にするのはやめたほうがいいです(虫歯が大きいなら別です)。
どういうふうにマウスピースをくわえるかにもよりますよね。でも、凹んだ歯にあたらぬようにずらしてくわえるのはお勧めできないです。
矯正治療で前歯の凸凹を直す予定なのですね。ブラケット装置の入っている期間は一般的に2年前後です。
歯を抜かないですむ程度であれば1年前後、前歯の位置を大きく変えるとなると2年半かそれ以上。
まじめに毎月通うことが大切、キャンセル多いと治療期間も延びます。
もちろん歯の動きには個人差があるし、使う装置によっても違ってきます(それと術者の腕の善し悪しでも.......)。


質問(番外編)虫歯で神経を抜くと言われたが....
先日歯医者へ行ったのですが、説明もそこそこに、「次回は右の奥歯の神経を抜きます。」と言われました。なんだか聞き返せないままで帰ってきてしまったのですが、やはり不安に思い質問してみることにしました。歯は、削れば削るほど寿命が短くなると聞きますし、神経を抜くと歯が弱くなるとも聞きます。歯の神経を抜くのは、虫歯がどの程度進んでいる場合なのでしょうか?ちなみに私の歯は、冷たい物がしみるのですが、物をかんでいるときや、日常生活で痛みを感じることはありません。本当に私の歯は、神経を抜く必要があるのでしょうか?(19歳学生さんの御質問)

回答
歯の神経は抜かないですむなら絶対にぬかない方がいいです。歯の質自体も弱くなるし、神経を抜く治療があまりよくないと、根の先に炎症をおこし、いずれは歯を抜かねば...となる可能性も高くなります。
虫歯が大きく、感染した歯質が神経まで到達している場合、基本的には神経を抜きます。
検知液(感染した部分が染まる)を用いて丁寧に感染歯質を取り除いてもらうようにすれば、神経までいかない可能性もあるかもしれません。
ただ、神経まで行かなくても虫歯が大きいと、後で症状が出ることがあるので、最初から神経を取るつもりで治療をする方針なのかもですね。
冷たいものがしみるという程度にもよりますが。
感染した歯質が神経まで到達している場合でも、露出した神経の部分が小さければ直接覆髄といって、それ用の薬をつけ詰め物をして様子を見ることもあります。何ヶ月かすると修復象牙質(内側に歯ができる)で大丈夫になることがあります。また、わざと感染歯質を残し、それ用の詰め物をして何ヶ月かすると修復象牙質ができるので、そうしたら感染歯質をとりのぞけば神経を抜かずにすむ...という治療法もあります。
いずれにしても、良く説明をするように求めましょう。納得行かなければ治療を断わるくらいの勇気を出しましょう。


質問8.前歯に隙間があり、ハイトーンが辛い
K.H.さん(トランペット歴13年)
私の演奏上の悩みの一つとして、上の歯の右側に昔抜いた歯の隙間があってそこから空気が漏れてしまうという症状があります。もう一つ上の2つの前歯の間に数年前から完全に隙間が開いてしまって、演奏時にそこから空気が抜けてしまい特に高音域の支えが非常に昔に比べ非常につらくなりました。(音域も下がりました。)
基礎練習をして何とかしようと日々練習してますが、私としてはこれらの隙間が演奏時に埋められればと思っています。(以前接着剤で埋めたこともありますが、演奏上は非常に良かった。)
そこでなにかでこの隙間を埋めることで出来ますでしょうか。私の場合、歯並びが悪いというようなことは特に無いと思います。ご意見お願いします。私の歯並びの写真を添付しますのでご検討願います。

回答
写真を見る分には、はっきりわからないのですが、2番目の歯を抜いて、まん中の前歯と犬歯(糸切り歯)との間に隙間があるということでしょうか。(それにしては、その他はキレイに並んでいますね。)
以前接着剤で埋めたら演奏上は非常に良かったということは、埋めた方がいいことは明らかだが、どうやって埋めたら良いかということですね。
今は、よい接着性の材料があります。隙間はごくわずかですから、レジンという材料で歯の幅を大きくしてもらうといいと思います。取り外しするのではなく、歯の形を変えてしまいます。ほとんど歯を削らずに済むと思います。特殊な材料ではありませんので、大抵の歯科医院で行っている治療法です。


質問7.親知らずを抜歯したら顎が痛くなり音が変わってしまった
N.M.さん(サックス歴12年)
昔から歯茎が弱く、歯槽膿漏になったりするのですが、最近親知らずが痛くてほっぺたが腫れてきたので近所の歯医者さんにいったところ、サックス奏者と言ったにもかかわらず、片方の親知らずを抜かれてしまいました。すると今度は反対側のほっぺたを噛むようになり、今度は違う歯医者さんにいったのですが、これも仕方ないといわれて抜かれてしまいました。
その後、テナーサックスを吹いているとあごが痛くてはずれそうになり、どこの歯医者に行こうか悩んでいるうちに痛くなくなってしまいましたが、それ以降音が変わってしまい、悩んでいます。どうすればよいのでしょうか?

回答
親知らずを仕方なく抜いたら、その後あごが痛くなり音が変わってしまったということですね。メールの内容だけでは想像ですけれど、おそらくいわゆる「顎関節症」ではないかと思います。
耳の少し前を手でさわって口を開けてみて下さい。骨が動くのが分かると思います。
これが顎関節で、顎関節症というのは、1.口を開けたりすると顎関節に音がする(カクッ等)、2.口を開けると顎関節が痛い、3.口が開かなくなる...といった症状の一つでも有るものを言います。
原因は精神的なストレスや歯列不正など、治療はスプリント療法(入れ歯のようなものを入れて噛み合わせを変える)、温熱療法、運動療法、筋肉弛緩剤・消炎剤等の薬物療法、外科的手術などなど。未だによく解明されていない病気で、歯科医によって考え方・治療法も様々です。
親知らずの抜歯で無理して大きな口を開けたのがきっかけになる可能性もありますが、何とも言えません。
音が変わってしまったとすれば、考えられるのは
1.下顎骨の運動障害....口があまり開かなくなる...ことにより、アンブシャーや喉の開き具合が変わってしまう。
2.下顎骨周囲の筋肉の筋肉痛・緊張により、アンブシャーや喉の開き、舌の動きが上手くいかなくなる。
といったところでしょうか。
どこの歯医者に行ったら良いかですが、個人の歯科医院でも顎関節症を熱心に治療している所はたくさんあるのですが、看板では残念ながらわかりません。大学歯学部・歯科大学の附属病院、口腔外科のある病院で相談してみてはいかがでしょうか。
こちらのホームページを参考にしてみてください。 顎関節症 http://www.ifnet.or.jp/ ̄megu/


質問6.上の前歯が凸凹でフラッタータンギングが上手く行かない
W.S.さん(ホルン・大学生)
私の歯の状態を、一般的にいわれる<よい歯並び>と比べると、下顎の方は問題はないのですが、上顎の正面の2本の前歯の両隣の歯がどちらも凹んで生えており、一部分が正面の歯の裏に隠れています。また、自分から見て右側の犬歯が突出しており、その隣の歯が凹んでいるので凹凸を形成しています。 (この犬歯も左の凹んだ歯にかぶさっている)それで、比較的長時間演奏していると、どうもこの犬歯のものと思われる歯形が裏唇にくっきりとついてしまい、その部分が痛み出してばててしまうのです。アンブシュアを変えずに、この跡がつかないようにする方法はないのでしょうか。
また、これは自分のアンブシュアの欠陥か、練習不足かもしれないのですが、フラッターの途中でいきなり息が横にそれて止まってしまったり、特に高音域が苦手というわけではないのですが、高音域にいくにしたがって、タンギング時に息が歯の凹凸の部分に溜まっていくような感じがしてしまうのです。こういうタンギングやフラッターに歯が影響を及ぼす事があるのでしょうか。

回答
上の2番目の歯が凹んでいるのは側切歯の舌側転位といって、叢生(いわゆる凸凹、乱ぐい歯)ではよくある状態です。このために歯形がついて痛みばててしまうということですが、これについては同じような御質問がありましたので質問1を御覧になってください。
次はフラッタータンギングについてです。
これは私の経験ですが、唇が疲れている時や堅い時は上手くいかないようです。これは、高い音ほどその傾向があるように思います。息をたくさん吹き込む時(大きい音の時)は上手くいきます。唇に伝わりやすいのでしょうか。
このことから、フラッタータンギングには唇の柔軟性が重要で、マウスピースを押し付けると上手く行かないのではと思います。
歯並びがフラッタータンギングに関係があるとすれば、歯の凸凹により、唇の血行障害が起きやすく堅くなってしまう、あるいは、歯が出ているために結果的に一部マウスピースにおしつけることになり、よく振動しない....といったことが考えられると思います。
「息が歯の凹凸の部分に溜まっていくような感じ」については、もう少し考えさせて下さい。


質問5.歯槽膿漏で歯茎の位置が変わり空隙が出来き、差し歯を作り替えるが...
S.K.さん(ユーフォニウム歴17年)
私は、昔から虫歯が多く、前歯4本とも差し歯という状態です。それでも楽器の演奏には、タンギングがやりにくくなった(差し歯の裏側の処理の問題)ということの他には、特に支障無く出来ています。
ところが最近、そのうち一本の差し歯が取れて、歯医者に行ったのですが、歯茎の状態がかなり悪く、いわゆる歯槽膿漏ということでした。現在その治療を行っています。
歯周ポケットがだいたい6〜8ミリということで、歯茎を切り、中を掃除して、再度歯茎を縫うという治療の結果、歯茎の位置が、元の歯茎の位置より5ミリ程度上がった状態になりました。その結果、差し歯と歯茎の間から元の歯がみえて、隙間が出来ている状態です。歯医者さんは、いずれ差し歯を作り直せば隙間もなくなり、息が漏れることもなくなるとおっしゃっています。現在、上の奥歯から2本ずつくらい順次治療しており、前歯の治療はこれからです。また、骨がだいぶ無くなっていて、治療している歯がぐらついている状態です。歯医者さんは、切った歯茎が固まってくれば、ぐらつきも少しは良くなるだろうとのことです。ただ、差し歯を作り直すときは、何本かつながった形で作った方が、ぐらつきを押さえることが出来るとのことです。
そこで、この治療を続けることにより、楽器を演奏する上で何か支障が出ないかと心配になり、ご相談させていただいた次第です。質問内容が抽象的で申し訳ありませんが、歯医者さんにこのことはお願いした方がいいとか、なにかアドバイスがありましたら、よろしくお願いします。ちなみに、管楽器を吹いていることは、言っていません。

回答
御相談は前歯の歯槽膿漏とその治療に関してですね。
高校1年から17年間楽器をやっていらっしゃるということは現在32歳くらいでしょうか。
若い時から虫歯で前歯4本さし歯だったということですね。いわゆるさし歯ですと、その治療の状態にもよりますが、治療を受けていない歯に比べ、歯茎に炎症がおこりやすくなります。歯と被せものの間に段差がごくわずかにできてしまいますので、そこにプラークがたまりやすかったり、歯ブラシが届きにくかったりするからです。それでお若いのに歯周病(いわゆる歯槽膿漏)になりやすかったかもしれません。
まず、歯周ポケットに関してですが、6〜8ミリとなるとかなり深かったのですね。歯茎を切り中を掃除して再度歯茎を縫うという治療(フラップ手術)をお受けになったということですが、ということは、その先生はきちんとした歯周病の治療をなさっている先生だと思います。ぜひ、最後まで治療を続け、定期的なメインテナンスを受けるようにしてください。切った歯茎が固まってくれば、ぐらつきも少しは良くなるだろうというお話ですが、私もそうだと思います。ただし、歯磨きは真面目に行ってください。
差し歯と歯茎の間から元の歯がみえて、隙間が出来ている状態ということですが、これは歯周病で歯を支える骨(歯槽骨)のレベルが下がってしまっているので、どうしても歯の形態からこの三角形の空隙ができてしまいます。かぶせる歯の形によって空隙をある程度は小さくすることはできると思います。
ただ、歯茎が下がった状態に空隙のない被せ物を入れるのは、清掃がしにくく、炎症がおこりやすくなるかもしれませんので、ある程度空隙が残るのはしかたがないと思います。
これで息がもれて演奏に支障があるとしたら、楽器演奏用の取り外しのできるアダプターを装着するという方法もあると思います。
(歯を小さくして移動させるとか、歯肉の移植を行うといった方法で、この空隙を小さくすることができる場合もありますが、治療がかなり専門的になります。)
差し歯を作り直すときは、何本かつながった形で作った方が、ぐらつきを押さえることが出来るという説明があったとのことですが、これは連結冠といい、歯周病で歯茎・歯槽骨の下がった歯を長もちさせるために行われる一般的な治療法です。
歯というのは、正常な状態で、わずかに動揺があります。歯を支える骨と歯の根のあいだに歯根膜というクッションがあるからです。ですから、安易に連結して固定してしまうのは歯にとってあまり良いことではないと思いますが、状態の悪い歯の歯茎・歯槽骨の程度によっては必要になります。
問題は、演奏により歯に過度の力がかかるかどうかだと思いますが、ユーフォニウムでしたら、個人差もあるでしょうが、マウスピースも大きく歯にかかる力も強くないと思いますのでたぶん問題ないでしょう。
最終的に悪くなった1本だけでなく、その周囲の歯もかぶせ直す予定のようですね。
今までのさし歯で長年演奏していて特に支障がなかったとすれば、できるだけ、今の形態に近いものを入れてもらうべきでしょう。今のさし歯をはずす前に印象をとって(型をとること)模型を保存してもらい、それを参考に新しい被せもの(補綴物)を作ってもらうよう相談してみてはいかがでしょうか。できたら、さらに吹きやすい・良い音のする前歯になるのが理想ですね。
通常、完成した補綴物を装着するまでの手順として
1.土台を削り印象をとる
2.仮の歯(テンポラリークラウン)を入れる
3.補綴物を仮着する
4.補綴物を合着する(最終的な接着剤で)
となりますが、この2と3の段階(どちらも普通1週間くらいあると思います)で楽器を吹いてみてチェックすることです。
もし、吹きにくくなったりしたら調整してもらい、納得のいく形態にしてもらうことです。できたら、テンポラリークラウンをいれて吹いてみて問題がないことを確認してから、その形態に合わせて作製してもらった方がいいでしょう。印象をとるとそれで技工所に出して作り始めてしまいますから、それからでは遅いかもしれませんから気を付けましょう。
楽器を吹いていて、歯の形態が重要であることを歯科医に話をしてみてはいかがでしょうか。


質問4. 下の前歯を1本抜歯したら歯が傾き、圧力のバランスが悪くなった
S.K.さん(クラリネット歴14年)
下の前歯のうちの1本が内側に生えていたため、タンギングが少しでもやりやすいようにと抜きました。そのうち下の前歯3本が、左側に向かって斜めに傾いてしまいました。
マウスピースにくわえる力が平均していないため、右側の圧力が強く、とうぜん左側は緩んでしまいます。バランス良くリードに圧力が加わらないためにレガートが上手くかからなかったり、音色が硬くなったりするのではと考えております。
そこで、歯科医師に歯にかぶせるマウスピースを作っていただけたらと思っております。
どうすればよいのでしょうか。

回答
内側に生えた下の前歯1本を抜いたら、3本が左側に向かって斜めに傾いたとのことですね。
歯はスペースのある所に動いていく性質があります。
だから歯を何らかの原因で抜いてそのままにしておくと、その前後あるいは左右の歯(隣在歯といいます)はスペースに向かって傾いてきます。また、その歯と噛み合っている歯(対合歯といいます)はスペースに向かって伸びてきます(挺出)。
ですから、内側あるいは外側に歯が1本飛び出ているとき、演奏の邪魔になるからと、安易に抜くことはお勧めできません。完全に飛び出ていて、抜いてもスペースがなく(両隣りの歯が同士がくっついて並んでいる)、噛み合う歯もない場合は、抜いても周りの歯に影響がないと思いますが。
その結果、リードにバランスよく力が加わらなくなったということですが、おっしゃるように、マウスピース(アダプター)の適応になると思います。あるいは、咬合調整で少し改善するかもしれません。
アダプターは、凹んでいる歯の表に小さいプラスチックをパッチとはめるような感じですが、どこの歯科医院でもやってくれるというような一般的な治療ではないので、管楽器のことをある程度ご存じの先生にお願いする必要があります。


質問3.下の前歯が1本突出しハイトーンが出ない
A.Y.さん(ホルン)
歯の呼び方すらわからない素人ですが、前歯の中心から左右に顎の方向に向かって、それぞれ1から順に番号をつけさせていただきます。
当方、下歯の右第1歯と左第4歯の間隔が狭く、結果として左の第1歯と第3歯が前方に突出しております。問題は左第1歯の前方突出(前歯1本分くらい)で、ホルンを長時間吹いた後は、下唇に歯の跡?が残るような状態で下唇の激しい疲労を感じております。特に高音域が苦手で、高音(といってもFから上)を吹くときにマウスピースを押しつけてしまうという、私の悪い奏法上の問題が別にあることが大きく影響していることは間違いないと思いますが、これまで正しい高音の出し方を正式に教わっていないのですが。
質問:
ホルン吹く(特に高音)うえで、この左下の第1歯の突出は物理的に問題があることなのでしょうか。すでに36才というメ高齢モにして、なんとか左第1歯の前方突出だけでも、ホルンを続けられるような状態で矯正可能でしょうか?いまさらワイヤー矯正というよりは、いっそのこと左第1歯を抜歯して差し歯(歯根の位置は同じで、幅が半分くらいで、右第1歯と左2歯の間の狭いスペースに後ろにへこんだ歯??)こんなことが可能か知る由もありませんが。そうでもしないと、とても矯正できそうにはないような感じです。(相談しながら素人判断ですみまん。)なんらかの方法で矯正可能でしょうか?もし可能でしたら期間、費用などお教え下さい。矯正にかわる妥協案?が、あるのでしょうか?ちなみに、問題はホルン演奏に際してだけであります。正しい高音域の吹き方さえ獲得すれば矯正などホルン吹くうえで問題なことではないのかもしれませんが、長年の疑問・悩みであり、なにとぞ御意見をいただけたら幸いです。

回答
歯科医も歯に番号をつけて呼びます。前歯の中心から左右に後ろに向かって、1から順に番号をつけます。大正解です。
左下の1番が飛び出ているのですね。要は下の前歯に凸凹がある状態(専門用語で叢生といいます)で、下唇が疲労しやすく高音域が苦手だということですね。
下の前歯に凸凹があると、下唇の血行障害が起きたり傷になったりするため、バテやすくなるでしょう。ハイトーンを出す時は通常よりプレスしてしまうでしょうから、その傾向が強くなるでしょう。
まず、矯正治療で凸凹を治療する場合を説明します
どういう装置を使うか
歯1本1本に装置(ブラケット:自分では取り外しが出来ない)を付けてワイヤーで直すのが一般的です。ワイヤーの力で徐々に歯が動きます。この場合、通常は表側に付けますが、リンガルブラケットといって歯の裏側に付ける方法もあります。
問題点が下の前歯のみであれば下のみに装置を付けて治療をすることができますが、上下に装置を付ける必要があることも多いと思います。
取り外しのできる装置もあります。プラスチックのプレート(入れ歯のような装置)にワイヤーを付けたものや、ダイナミックポジショナー(ボクシングのマウスピースのような装置)という弾力のある装置で動かす方法ですが、直せる症例は限られるでしょう。
歯を抜くかどうか
歯の凸凹(叢生といいます)は顎の場所が足りないから生じます。よって、治療にはスペースを作る必要があります。
凸凹の程度が大きかったり前歯を後ろに下げる必要があれば歯を抜いてスペースを作って直すことになります。矯正治療では第一小臼歯といって前から数えて4番目の歯を上下左右抜歯して治療するケースが多いですが、下の前歯の凸凹を直すのに前歯のうち1本だけを抜いて直すこともあります。
凸凹の程度が少ない場合、前歯の両脇を削って(10分の数ミリずつ)スペースを作ることもあります。
歯列を拡げることより歯を抜かずに直せることもあります。
治療期間と費用
凸凹の程度が小さければ半年位で直りますが、歯を抜いて歯並び全体を治療する場合は2年位かかることもあります。
健康保険はききませんから、自費診療になります。治療期間、用いる装置により違ってきます。20〜100万円といったところでしょうかね。
管楽器演奏と矯正治療器具の関係
表側に付けた場合、当然装置が唇にあたりますから、演奏により痛みやバテを伴ったりスラーがきれいにかからないといった問題が出てくる可能性があります。ただ、これは楽器の種類、奏法(プレスしているかどうか、マウスピースの角度など)によって影響の程度は違ってくると思います。
裏側の装置では、唇に当たることはありませんが、上の前歯に付けた場合、タンニングに影響が出る可能性もも考えられます。
ですから、管楽器をやっている人は、出来るだけ器具が負担にならず、治療期間が短くて済む方法をとるべきだと私は考えます。もし可能なら取り外しの出来る装置、ブラケットをつける必要がある場合は出来るだけ薄く角が鋭利でないブラケットを用いエラスティック等で保護する等の工夫があるとよいでしょう。
奥歯の噛み合わせも上下の顎骨の関係も正常で、上の歯並びもきれい、下の前歯だけが問題だ(こういう人は少し噛み合わせが深めです)という人は、下の歯の裏側に装置(リンガルブラケット)を付けて直すことをお勧めします。裏に付けるので唇にも当たらず、下のみに付けるのでタンニングにもさほど影響しないでしょう。ただし、リンガルブラケットはどこの矯正歯科医院でもやっているわけではないし、費用も高めです。
まずは矯正専門医に見てもらい相談してみてください。矯正専門医というのは大抵の症例を上下フルブラケット装置で直そうとします。確実に動き、治療のメドが立ち、理想的な歯並びにすることが出来るからです。どこまで直すか、よく相談した上で治療方法を決めましょう。ただ、自分では下の前歯だけ直したくても、上の歯との関係や顎骨の状態によって、上の歯にも装置をつけたり歯を抜いたりする必要があることもあります。
長文だし写真や図がなくて解りにくいですね、ごめんなさい(少ししたら写真入りで「管楽器奏者のための矯正治療」をまとめます)。
矯正治療をしないで解決するとしたら、ブリッジ、さし歯、アダプターが考えられます(質問1を参照してください)。
飛び出ている歯の切縁(噛み切る部分)の角を少し削って丸くするだけでも随分違うかもしれません。これなら時間も費用もほとんどかからないでしょう。


質問2.口唇周囲の筋肉を鍛える方法は?
A.T.さん(トランペット歴10年)
歯のページにはそぐわない質問かもしれませんが。口唇周囲の筋肉の事についてです。楽器演奏に必要な筋力は、楽器演奏でしかつかないのでしょうか。例えばスポーツ選手のように科学的なウェイトトレーニングで必要な筋肉を集中的に鍛えるようなやり方はないでしょうか。
私はトランペットを吹いていますが、息の量が多い割に筋力が弱く、すぐにばててしまう、と感じています。
それに吹奏楽団も卒団してしまったので、練習時間も激減し筋力低下が目に見えてわかってきて焦ってます。もしそんな方法があるなら、少なくとも筋力は維持できると思うのですが。滅茶な質問ですが、よろしくお願いします。

回答
口腔筋機能療法という分野があることは、「口のまわりの筋機能療法」のページで説明しました。アメリカにはこれに関しての学会があり専門のセラピストがいるほど、長い歴史を持った治療法です。
治療対象は異常嚥下癖、低位舌等、主に舌の機能異常ですが、こういう患者は概して口唇をいつも開けている、口唇を閉じる力が弱いことが多いです。筋機能療法の患者さんと管楽器演奏のためのトレーニングでは少し目的が違うかもしれませんが、口腔筋機能療法での口唇の周囲(主に口輪筋、頬筋)を鍛えるトレーニングを紹介します。
ボタンプル
直径2.5cm、厚さ2mm程度のボタンを用意し、タコ糸のような紐(40cm位)を通し輪にします。
1.ボタンを前歯と口唇の間にはさみ、奥歯を噛んで口唇を閉じます。
2.口唇に力を入れ、紐を水平に引っ張ります(ゆっくり3つ数える間)。
3.力を抜いて休みます。(2.3を7〜10回繰り返す)
応用として、紐を長くし、重り(紐をかけられる容器に水を入れるとよい/せいぜい500ccくらいから始め、すこしずつ水を増やす)をボタンの紐にかけ、ボタンを前歯と口唇の間にはさんで真下を向いて立ち、持ち上げる。口唇の重量挙げといった感じです。
ボタンの大きさによって違う筋肉が鍛えられると思うので、いろいろなボタンを用意したら良いかもしれません。
最近思うのは、バズィングとマウスピースのみで音を出す練習の重要さです。これは結構筋肉使いまので、是非練習の始めにこれに時間をさきましょう。
あと、鉛筆(当然ボールペンや箸などでも可)を歯を使わないで口唇でくわえる(ホルン関係の本で見ました)というのも、かなり筋肉が鍛えられると思います。太さの違う物(私はスティックのりがいいと思う)をくわえると違う筋肉を使うのでやってみてください。
口元を鍛える小顔グッズとして「スリムマウスピース」なるものが薬局、東急ハンズ等で売られています(800円位だった)。意外と使えるかも。縦にはさむといいかもしれません。


質問1.上の前歯が1本凹んでいるがすぐに口が疲れてしまう
T.H.さん(トロンボーン歴10年)
はじめまして。私は中学1年の頃から部活で6年、市民バンドで4年(今年で5年目です。)トロンボーンを吹いております。高校生のときに初めて「すべての管楽器奏者のために」という本を読んでから、歯と楽器について非常に興味を持ちました。私自身、歯並びが悪く気になっている点があるのでこのように専門の方に質問できる機会があるのは大変うれしく思います。
さて質問なんですが、私は上の前歯の左側の歯(専門的になんていうのか解りませんが、犬歯の右側の歯です。)がかなり奥にあります。これは、幼稚園の頃に左の前歯(乳歯)を折ったことがあり、そのせいで永久歯がなかなか生えてこずに後から他の歯を押し分けるように生えてきてしまったせいです。中学生のときはへこみも少なく、大して気にはならなかったのですが高校生になってから歯の成長に連れてへこみも大きくなり、現在では前歯と犬歯から3〜4mmはへこんでいます。右側はへこんでいません。
今、気になっているのはトロンボーンを吹くときに、マウスピースのリムがこのへこみにちょうどはまるような感じになっているということです。マウスピースはトロンボーン用でも比較的大き目のものを使っていますが、このへこみ付近を避けるにはチューバ用でも使わないと無理です。最近、演奏していてすぐに口が疲れてしまうような気がしますが、歯並びとは関係があるのでしょうか?
最初は部活の時のように毎日楽器(学校へは部活をやりに行っているようなものでした。)を練習していないので筋肉が落ちているのだと思いましたが、今思えば高校の2,3年頃も非常にばてるのが早かったような気がします。部活ではありがたいことに中学校のときから比較的正しい奏法を教えてもらえたのでアンブシュアについても問題はあまりないと思います。
へこみを矯正するアダプターのようなものがあると聴きましたが、どうなのでしょうか?かなり演奏に支障をきたすというわけではありませんし、プロになりたいというわけでもありませんが、この先も一生できる限りトロンボーンを吹いていきたいですし、音楽や楽器の音色などが少しは解ってきたつもりではあるのでできれば歯もベストの状態にしたいと願っております。
何か良い解決法などがあるのか教えて下さい。よろしくお願いします。

回答
左の2番目の前歯が内側にあるとのこと。専門的には側切歯の舌側転位といいまして、比較的よくある不正咬合です。おっしゃるように、年齢が進むにつれ、奥の方の歯に押され、凹み具合が大きくなることがあります。
アンブシャーの問題点としては、正中(前歯の真ん中)が左にずれているであろうことと、左側のリムが凹みにはまることによりマウスピースの角度が左にずれることではないかと思います。左右のずれが大きいと、筋肉が均等に働けない、息が真っ直ぐ楽器に入れないという点で、演奏に不利かも知れません。
すぐに疲れることとの関連としては、歯が凹んでいることでリムに歯が強くあたる部位があると、そこで血行障害が起きたり、粘膜に傷が出来たりしやすくなり、唇がバテやすくなる可能性があります。また、左右のズレにより、口の回りの筋肉に無理がかかる可能性も考えられます。
歯の改善法としては
1.アダプター
2.凹んでいる歯を削って冠をかぶせる(いわゆるさし歯)
3.凹んでいる歯を抜歯してブリッジ
4.矯正治療
が考えられます。
アダプターは、凹んでいる歯の表に小さいプラスチックをパッチとはめるような感じですが、どこの歯科医院でもやってくれるというような一般的な治療ではないので、管楽器のことをある程度ご存じの先生にお願いする必要があります。
さし歯にして歯を前に出すというのは、いい手段だと思いますが、おそらく歯の神経を抜く必要があり、歯を削ることを考えると、歯にとってあまりいいことではありません。もともと虫歯の治療をしてあるとか、神経を取ってある歯であれば、お勧めします。ただ、あまりにも内側にあるとさし歯では直しきれないこともあると思います。治療は3回前後ですむでしょうし、保険治療も可能でしょう。保険外だと10万円前後かかると思います。
あまりにも内側にあるとさし歯では直しきれないときや、歯の状態が悪いときは、抜歯してブリッジという方法がよいでしょう。ただし、両隣の歯を削る必要があるので、歯にとってあまりいいことではありません。これも、保険治療でも可能でしょうし、保険外だと25万円前後かかると思います。
矯正治療は、歯を削ったりせず、歯自体を動かしてきれいにします。上の前歯だけを直す場合も、全体的に直す場合も考えられます。思い切って全体的に直す場合、2年前後矯正装置を付ける必要があります。前歯だけ動かして何とかなるかどうかは見てみないと何とも言えません。
矯正器具をつけてトロンボーンが吹けるかどうかですが、これは個人差があります。あまりプレスして吹かない人なら普通に音は出せると思いますが...。
お金もかかりますし(本格的に直すとトータルで80〜90万円が一般的、前だけだともっと安いはず)、もともと歯並びを直したいと考えている人にはいいでしょう。


戻る 2000〜01年 2002〜03年 2004年

HOME