管楽器奏者の歯のためのページ

歯の相談室2000〜01年

目次 質問15.出ている前歯を差し歯にしたいが....(歯並び)(差し歯)
   質問16.顎の関節の痛みと開きの悪さが悩み(顎関節症)
   質問17.前歯の神経が死んで差し歯を勧められた(差し歯)
   質問18.前歯に痛みがあり歯肉が腫れているが....(歯周病)
   質問19.突然アンブシュアが固定できなくなり音が伸ばせなくなった(顎関節症)
   質問20.前歯が乳歯のままなのだが最近痛みが出てきた(差し歯)
   質問21.矯正治療中に装置が壊れたが、楽器は吹いても大丈夫?
   質問22.フルートを吹いたら唇にぶつぶつが・・・(金属アレルギー)
   質問23.歯が抜けかけてグラグラだがトロンボーンを吹けるのか(歯の外傷)
   質問24.トロンボーンで顎関節症かも??(顎関節症)
   質問25.管を抜いても足りないくらい音程が高い(奏法)


質問15.出ている前歯を差し歯にしたいが....
S.Y.さん(トランペット歴9年)
私は、中学でトランペットを始め、それからちゃんとしたクラブに所属した事はないのですが、個人的に楽器を楽しんでいますが、中学時代から前歯が原因で(と、勝手に思っているのですが)すぐにバテルというなやみがあります。私は、出っ歯なのですが、過去に歯科医に行ってみてもらったときには、「歯一本半ぐらい上顎がでていて、しかも上の前歯二本が大きいため、前歯が、収まりきっていない」と言われました。しかも、そのうちの一本は、若干斜めをむいています。実際、楽器を吹いているときは、その、傾いている前歯にマッピがあたって、高音を押し付けずにふこうとすると、唇の横から、息がもれてしまいます。短時間の演奏でも、Bフラットぐらいの音で、息が漏れます。詳しい事は、メールではなかなかお伝えできませんが、これらの理由から、前歯を何とかしたいと思っています。
そこで質問させて頂きたいのですが、前歯を差し歯にするという事は、あまりこのましくないことなのでしょうか?
例えば、「差し歯にしても、トランペットは少なからず圧力がかかるので、演奏はできない」とか、「差し歯にしても、圧力で差し歯が痛んで、先で結局、楽器が吹けなくなる」であるとかいう事はあるのでしょうか?
わざわざ差し歯にするのは、歯にとって良いことではないのは、十分に分かってはいますが、なんとかして楽器を普通に吹けるようにしたいのです。

回答
金管楽器の場合、前歯が出ている(上顎前突)とアンブシャーを作るのに不利なことが多いようです。歯の位置や骨格、筋肉の状態や口唇の形態によって個人差はありますが、前歯が出ていることで、口唇を閉じるのに余計な力が入ったり、上下の前歯を揃えるために下顎をかなり前に出す必要があるので筋肉・顎関節に負担がかかったり、下顎を前に出しても上下の前歯を揃えることができずに上の前歯からマウスピースの圧力が強くなってしまう....等々です。
それらを改善するために差し歯にするのは一つの方法だと思います。しかし、次のような問題があります。
・歯の根の方向と歯冠(出ている部分)の方向が違うため、咬むときにあまりよくない力が加わる。
・歯と被せ物の間にどうしても段差が出来て、歯周病になりやすくなる。
・神経を抜くことで、歯質が脆くなり破切しやすくなったり、将来根尖病巣(根の先に膿が溜まる)を作る可能性が出るために歯の寿命が短くなることがある。
ですので、それを承知の上で処置を受けていただき、メインテナンス(ブラッシングや定期検診)をキチンとすることが望ましいでしょう。
その差し歯がトランペットの演奏のためにダメになってしまうかどうかですが、歯の方に問題がなく通常の演奏程度の圧力であればおそらく影響はほとんどないと思いますが、元々の歯根に対して歯冠をかなり無理な位置に設定したり、残っている歯質が少なかったりすれば、影響がでる可能性があるかもしれません。
歯の状態によりますので、かかりつけの歯科医院で相談してみてください。また、歯の出ている程度が大きければ、思い切って矯正治療をするのも一つの方法かもしれません。


質問16.顎の関節の痛みと開きの悪さが悩み
A.Y.さん(サキソフォン歴20年)
おそらく顎関節症ではないかと思っていますが、高校の頃から顎の関節の痛みと開きの悪さに悩んでおります。雑音もあります。大きく口を開いても、5cmくらいがやっとで、それ以上開けようとすると、ひっかかるような感じで、痛いです。今は学生の頃のように毎日吹いているわけではないので、さほど不自由はしておりませんが、高校の頃は早弁^^;にも差し障るくらいひどかったです。現在では、本番前や合宿など、数日にわたって長時間吹きつづけた後がつらいです。
10年以上調子の悪いままで放置しましたので、ほとんど諦めてはおりますが、症状を緩和する方法がありましたら、教えていただきたくお願い致します。

回答
いわゆる顎関節症のようですね。5cm開くのであればそれほど心配しなくていいと思いますが、楽器を吹いていないとき以外にも問題があるようなら口腔外科のある病院を受診して相談するのも良いと思います。顎関節症についてはいろいろな考え方や治療法があるのが現状です。
DENTAL.TMD.mak http://www.urban.ne.jp/home/mak/j.index.html
参考にすることをお勧めします(私もこのホームページのような考え方です)。また、質問19の回答も参考にしてください。
サックスのマウスピースをくわえるときに下顎を下げるため、顎関節に負担をかけることになりますので、楽器を吹いた後つらいことが多いと思います。この影響は噛合せの状態にもよります。反対咬合(受け口)や下顎が前に出ている場合、サックスやクラリネットを普通に(一般的な角度に)くわえると下顎が後下方に押し込められますので、少し楽器を水平にすると下顎が前方に開放されて楽になると思います。逆に上顎前突(出っ歯)や下顎が小さい場合は、サックスやクラリネットを普通にくわえるには、かなり下顎を前方に出す必要がありますので、少し楽器を縦にすると無理に下顎を前に出す必要がなくなり楽になります。ご自分で楽に楽器をくわえられる角度を捜してみるといいと思います。また、楽にくわえるためにアダプターを使用するのも一つの方法です。
日常生活では、姿勢を良くする、頬杖をつかない、仰向けに寝る等注意してください。また、痛みがある間は、軟らかい物を食べるとか大口を開けないよう気をつけてみてください。顎の体操もお勧めです(質問19参照)。


質問17.前歯の神経が死んで差し歯を勧められた
O.M.さん(クラリネット歴14年)
実は、かかりつけの歯医者さんに上の中央の前歯が死んでる(歯茎に膿がたまってて自分では何ともなかったのですが、いつのまにか虫歯が進んで神経が死んでしまったとのことです)と、そして、差し歯にしたほうがいいのではといわれたのですが、楽器を吹くのを仕事としているので、前歯を差し歯にしてもいいものか悩んでいます。
神経の処理をして、歯を残すこともできることはできるけれど、もう死んでしまった歯なので、変色したり、割れたりしたりする可能性があるから差し歯にしたほうが良いのでは?ということでした。
ちなみに自分が楽器をしているので、前歯ということで影響が大きいので不安ですといったのですが、楽器のことは分からないといって、私の気持ちはわかってもらえそうではありませんでした。
差し歯にしたほうがいいのか、とりあえず自分の歯をのこす方向で治療をしてもらったほうがいいのか、どちらがベストか教えてください。

回答
差し歯にしなくてはいけないかどうかは、その歯の状態や歯科医師の考え方によって多少違うと思いますが、歯が残っていて状態が良いようなら差し歯にせずに済ませられるでしょうし、歯質があまり残っていないのならその先生がおっしゃるように差し歯にしたほうが良い状態かもしれません。よく話をしてみて納得がいくようなら差し歯の治療を受けてください。
現在の前歯の状態で楽器演奏に問題がないようなら、差し歯の治療の前に型を採って模型を作っておき、それを元に形態が変わらないように治療してもらうようにするといいでしょう。何も言わないと、新しい差し歯は(その歯医者にとって)見た目が良く良く咬むような形態の歯になりますから、現在と歯の形が変わってしまう可能性がありますから、注意してください(質問20を参考にしてください)。


質問18.前歯に痛みがあり歯肉が腫れているが....
中学2年女子のお母さん
中1の9月から吹奏楽に入部してトランペットを吹いているのですが、今年の9月頃から、上の前歯が痛いと言いますので、歯医者に参りましたら、虫歯は無いと言われました。知っている人からもしかするトランペットの吹き方のせいかもしれないと言われました。上の歯肉がふわふわしていて前の1本がぐらぐら動きますきのうの夜は痛み止めの薬を飲ませても1晩中眠れないくらい痛がっていました。

回答
トランペットを吹くときには確かに上の前歯に圧力がかかりますが、通常歯にダメージがでるほど強い力ではありません。よほど押しつけて吹いているのかもしれませんが、歯が痛くなる前に唇が痛くて吹けなくなると思います。
虫歯でないとしたら、歯肉炎が考えられます。歯磨きが十分でなかったり、歯茎に傷が出来たことで、歯肉炎を起こすことがあります。中学生の場合、ほとんどが炎症が歯肉に限定されますが、進むと歯根膜や歯槽骨(歯を支えている骨と間にある膜)に炎症が及びます(歯周炎といいます)。まれに、若年性歯周炎といって、思春期に急激に進む歯周炎が起きることがあります。この時、特に第一大臼歯と中切歯(真ん中の前歯)に症状が出ます。
歯周炎が起きているときに、トランペット演奏のように力がかかると、歯周炎の進行が促進される可能性もあると思います。
まずはかかりつけの歯科医院で診てもらって必要な治療を受けてください。歯周炎を起こしているときは、要注意です。トランペットを吹くときにあまりプレスせずに吹けるように指導を受けるか、若年性歯周炎で重篤なときは楽器を替える(前歯に負担のかからない楽器に)必要があるかもしれません。


質問19.突然アンブシュアが固定できなくなり音が伸ばせなくなった
後輩思いの**大学の学生さん
今回お便りしました理由は後輩の悩みです。中、高とユーフォニアムを吹いていた2つ下の後輩(女)なのですが、夏ごろから突然アンブシュアが固定できなくなり音が伸ばせずふけなくなりました。
下顎が固定できず、プルプル震えるのです。教本に載っているとおりアンブシュアの確認をしたりレッスンにも通っているようですがなかなか改善しません。吹けなくなり4ヶ月ほどたち、彼女も相当悩んでいます。精神的な事からくるのか?とも思いましたが、それにしても長すぎ、それまで起こった事の無い事なのでどう対処すれば善いのか分かりかねます。
顎関節症に下顎が固定できないと言う症状はあてはまるのでしょうか?また、歯医者さんならどこでもこの症状について相談できるのでしょうか。整形外科のほうがいいのですか?ちなみに彼女はテナーサックスを吹いています。

回答
下顎を支える筋肉(閉口筋群)、靱帯に問題が生じることで、アンブシュアが固定できなくなるということは起ると思います。
とすれば顎関節症の範疇になると思います。
口があまり開かない、顎の関節が痛い、顎の関節に音がする...の3つのうち、一つでも該当すれば「顎関節症」と言われています。今はTMD(側頭下顎部障害)と呼ばれ、関節の病気というより、その周りの筋肉や靱帯を含んだ問題ととらえられています。治療法も考え方もさまざまで、治療法の「流行り」もあります。歯科医によっても言うことが違うことがあることを最初にお断りしておきます。
調査によっては全体の50%とか75%とかが顎関節症といわれるくらい、気がつかない・気にしていない人を含め、多くの人に症状がありますが、必ずしも治療が必要というものではないようです。放っておくとすべて進行するという性質のものではなく、自然治癒もあります。原因も、すべて噛合せが悪いというものでなく、精神的なストレスとか歯ぎしりとか色々です。
楽器の演奏と関係あるとすれば、テナーサックスをくわえるときに下顎を前下方に出すため、顎関節に負担をかけることになりますので、一つの引きがねとなって顎関節症になることは可能性としては考えられます。
もちろんメールだけでは判断できません。「夏に突然」ということですが、何かその時歯科治療を受けた等きっかけはありますか?口が開かないとか、楽器を吹かなくても顔や関節が痛いといった症状はありますか?顎関節症らしいということであれば歯科の分野になりますので、信頼できる歯科医院または**大学であれば歯学部の附属病院にいってみてはいかがでしょうか。
下顎が固定できない以外に症状がなく、病院に行くのは気が引ける...というのであれば「顎の体操」というのが考案されていますのでお勧めします。http://plaza15.mbn.or.jp/ ̄symposium/exer.htm
あとは、姿勢を良くする、頬杖をつかない、仰向けに寝る等注意してください。また、痛みが出るようなら、軟らかい物を食べるとか、大口を開けないよう気をつけてみてください。
もしくは、顔面の筋肉の問題であるかもしれません。顔の筋肉も全身の一部ですので、姿勢を良くし、姿勢を保つための筋肉を鍛えることが重要です。肩凝りや顎関節症では、顔の筋肉にも波及して痛みや疲労が出てしまいます。


質問20.前歯が乳歯のままなのだが最近痛みが出てきた
S.N.さん(サックス歴9年)
実は、私の下の前歯2本は乳歯のままなのです。楽器を初めて2年目くらいに、高音がでない理由がそこにあると思い、その乳歯を削って詰め物(かぶせもの?)をしました。すると高音が思うとおりにでました。
そこまではよかったのですが、1〜2ヶ月くらい経って堅いパン(フランスパンだったと思いますが)をかみ切っていると、「バキッ」という音とともにその下の前歯がぐらぐらになってしまいました。そのときは急いで歯科に行き、そのときの処置が、その歯の両隣の歯とワイヤーでぐるぐる巻きにして固定するというものでした。その後何回かワイヤーを交換しに行き、最終的には治療後1年ほどでレジンで固め、現在に至っております。状態は先頃まで安定しておりました。最近になって、その前歯の根本当たりに痛みがするようになりました。激しい痛みではないのですが、やはり気になります。これは治療した方がいいのでしょうか?もし治療した方がよいのであれば、どのような治療がされるのでしょうか?また、治療中は楽器を吹いてもかまわないのでしょうか?
回答
下の中切歯2本が先天欠如する例は私も何度かお目にかかったことがあります。永久歯が欠如するので乳歯の根が溶けずに残ります。乳歯は永久歯に比べて小さいため、長さが短く、歯と歯の間に隙間が出来ることになり、うまくマウスピースを支えられない・唇がばてやすくなる原因になりえます。それで、被せて周りの永久歯と大きさをそろえることで楽器演奏が改善されたということなのですね。
バキッと音がしたということは、根が折れたのでしょうか?
根元に痛みが出たとすれば、根が折れて中の歯髄(神経・血管)が炎症を起こした、あるいは歯髄が死んでしまって根の先に炎症が起きているという可能性があります。
治療については、お話だけでは判断しかねますが、一度歯科医院で診てもらった方が良いと思います。
いずれ抜歯が必要になる可能性が大きいとは思いますが、もたせるだけもたせて、ダメになったらブリッジということでしょう。
乳歯は永久歯に比べて、歯根も細く短く、歯質も弱いので、楽器を吹くことで、確かに普通よりは負担がかかったかもしれませんが、
仕方がないですね....
治療中の楽器演奏については、治療の内容がわからないので何とも言えませんが、差し支えないと思います。
もしも、抜歯してブリッジを入れる場合、注意点として
完成した補綴物を装着するまでの手順は
1.土台を削り印象をとる
2.仮の歯(テンポラリークラウン)を入れる
3.補綴物を仮着する
4.補綴物を合着する(最終的な接着剤で)
となりますので、この2と3の段階(どちらも普通1週間くらいあると思います)で楽器を吹いてみてチェックするといいと思います。
もし、吹きにくくなったりしたら調整してもらい、納得のいく形態にしてもらうことです。
現在の歯で調子がいいようなら、今のうちに模型をとっておいて将来の参考にしてもらうといいでしょう。印象をとるとそれで技工所に出して作り始めてしまいますから、それからでは遅いかもしれませんから気を付けましょう。治療の時は、自分は楽器を吹いていて、歯の形態が重要であることを歯科医に話をしてみてはいかがでしょうか。


質問21.矯正治療中に装置が壊れたが、楽器は吹いても大丈夫?
Sさん(ユーフォニウム歴1年)
今回相談したいことは、歯の矯正中に楽器が吹けるのかということです。私は医師に何の相談もなく、吹けるものだと勝手に思いこんでいました。しかし、本日、実際に口に器具が入りまして、その後楽器を吹いてみると、なんか吹きづらい気もしましたが、時期になれるだろうと、思っていたつかの間、ちょっと口に力を入れた瞬間に、歯につけていた矯正装置(歯に直接金具がついていて、その金具の部分)が外れてしまったのです。
これって、やはり楽器は吹いてはいけないということなのでしょうか。なにか、対策はありますでしょうか

回答
まず、装置が外れたことについてですが、ユーフォニウムの演奏とは関係がないと思います。他の原因で外れたのでしょう。
装置をつけても吹くことはできますが、吹きづらいことに関しては、多少は仕方がないと思います。
ユーホニウムはトランペット・ホルンに比べ、マウスピースが大きく、プレスも強くないので、比較的支障がないでしょう(もちろん個人差があります)。1ヶ月もすると慣れてくると思います。
それでも唇に傷ができて痛くて吹けないとか、ブラケットに引っ掛かってスラーがかからないといった不都合があるときは
・ブラケットを薄くて小さいものに換えてもらう
  今、セラミック製のブラケットが付いているとしたら、
  おそらく厚くて角張っているため吹きにくさは大きいです
  可能であれば、金属製またはプラスチック製の薄くて小さいものに換えてもらうと楽になります
・エラスティックリングで結紮する、
または大きめのエラスティックリングをワイヤーで結紮した上からかけてもらう
・ホワイトワックスでカバーする
・「LIP PROTECTOR」でカバーする
(アーチワイヤーにパチッととめられるプラスチックのカバー)
という方法もありますので、通院先の先生に相談してみてください。


質問22.フルートを吹いたら唇にぶつぶつが・・・
M.U.さん(フルート初心者)
フルートを吹いて1ヶ月ぐらいたち、最近きづいたのですが、唇にぶつぶつができてしまい、そのあげくうんでしまい水ぶくれになってしまいました。どうしてなってしまったのでしょうか? おしえてください。

回答
見てみないとよくわかりません。フルート以外に原因があるかもしれませんが、もしフルートに原因があるとすれば、金属アレルギーかもしれませんね。
もしもそうならば、頭部管だけでも貴金属の純度の高いものをつかうとよいでしょう。ただし、中には金にアレルギーをおこす人もいます。必要があれば金属アレルギーの検査してもらってください。
治らないようでしたら、まずはお近くの皮膚科あるいは口腔外科に行って診てもらってください。

[補足:金属アレルギーについて]
金属そのものは生体に対して抗原性(アレルギー性)を示しませんが、溶出してイオンとなり、体の中の蛋白質と結合すると完全抗原となってアレルギー反応を引き起こすことがあり、これを金属アレルギーいいます。金属アレルギーは遅延型アレルギーに分類され、1〜2日経ってから症状が発現します。
主に、アクセサリーによる接触性皮膚炎が多いですが、口の中の金属(歯科材料:金属冠や充填物や矯正器具)が原因となることもあります。金属のあたる部分に炎症が起きるだけでなく、手足に膿の袋ができたり(掌蹠膿疱症)、全身に湿疹ができることもあります。
原因としてもっとも多いのはニッケルですが、その他に水銀、コバルト、スズ、パラジウムなどでも起きます。わずかですが銅、白金、亜鉛、金なども原因になります。
管楽器で問題になるのは、フルートの頭部管や金管楽器のマウスピースです。唾液や呼気中の水蒸気で金属からイオンが溶け出てアレルギーの原因となることがあります。特に洋銀はニッケルと銅と亜鉛の合金ですのでアレルギーを起こしやすいと考えられます。フルートの初心者では洋銀製の楽器を使うことが多いですので注意が必要です。
金属アレルギーと思われる口唇炎をたびたび起こす人は、何が原因なのか調べるために皮膚科でパッチテストを受け、原因となる金属が含まれない頭部管あるいはマウスピースを選びましょう。
まだ金属アレルギーの症状がなくとも、アレルギー体質の傾向のある人は、金メッキあるいは樹脂製の物を使うと予防になります。また、手の汗により金属アレルギーを引き起こす可能性もあります。


質問23.歯が抜けかけてグラグラだがトロンボーンを吹けるのか
A.M.さん(トロンボーン歴4年)
先日、道路でこけて顔面からつっこみ、前歯が一本は折れ、もう一本は根元から一度抜けたような状態(こけた直後は90度ほど前方向につきだしていた)で、一応歯医者で固定してもらったのですが、痛いし、ぐらつきます。トロンボーンを吹いているので結構圧力がかかります。そして、以前よりも片方、ちょっと前の方に出たような状態になっています。このままトロンボーンを吹きつづけてもさしつかえないでしょうか?できるなら、ずっと続けていきたいのですが・・・。

回答
一度抜けた歯がマウスピースのリムに当たって力がかかるのであれば、歯の周りの組織に炎症が残っている間はできることならば吹かない方が良いでしょう。
2〜4週間もすると動揺もおさまるのではないかと思いますが、場合によっては神経を抜く必要もあるでしょうし、状態が悪ければその歯の寿命が短い場合もあるでしょうが、その時(何年か後)は抜歯してブリッジということになります。
出てしまった歯はすでに固定してしまっているので、このまま直ってしまうと思いますが、冠をかぶせるときにそろえてもらえばよいと思います。もちろん、その歯の予後良好(神経も周りの組織も問題ない)ならば矯正という方法もあるでしょう。
炎症が治まって痛みがなければ楽器を吹いてかまわないと私は思います。


質問24.トロンボーンで顎関節症かも??
Y.Y. さん(トロンボーン歴9年)
自分はかれこれ9年近く楽器を吹いてきました。最近になって特に気になってる症状があります。おそらく顎関節症ではないかと、その症状は楽器を吹き終わった後にしばらくなります。例えを上げると(顎の関節の痛み、雑音、口が開かない閉まらない、)とこんな感じで自分もやになってしかたありません。
トロンボーンと言ったらあまり顎関節症と縁がなさそうですが、自分の場合普通のトロンボーン奏者と違った所が2つあるます。1つは奏法が違うこと、自分の場合は下唇3/2で上唇が3/1でセットし顎を突き出す(スマイチング奏法)と言う奏法で吹いてます。もう1つはユーホとの掛け持ち奏者であること、いままで数え切れないほどのコンクールと演奏会でころころと変えながら演奏してきました。高校の時から2つの楽器を極めようと両ほうレッスンしてました。もちろん微妙に奏法もチェンジしてます。
これらは顎関節症に関係するのでしょうか?なにより気になるのが私は今どうしたらいいのでしょうか?ちかじかコンクールが控えてます。やっぱり前に本で読んだとおり一時楽器を休まなくてはいけないのでしょうか?

回答
下顎の骨は3次元的に複雑な動きをしますが、その動ける範囲は個人個人で違い、歯・噛合わせや関節が入る凹みの形態、関節周囲の筋肉・靱帯によります。動ける範囲の限界に近い部位で演奏をしているのならば当然負担がかかり、顎関節症の原因になりえます。
方法としては
・奏法をかえる<---下顎を前に突き出すのをやめ、顎関節が楽な位置にする
・顎を突きだす=下の歯を出すこと、つまり下顎を前に出す代わりに下の前歯にアダプターを付ける
・顎の運動を心がけ(例えば顎の体操)姿勢を良くし適度な運動を行い、下顎の動く範囲を広げ関節周囲を鍛える
といったところだと思います。痛みがある間は3番目の顎の体操はやめておいて下さい。とりあえず負担をかけないようにします(質問19を参照して下さい)。即効性があるのは2番目のアダプターかもしれません。


質問25.管を抜いても足りないくらい音程が高い
S.Y.さん(トロンボーン歴7年)
どうしても、冬なのに、管をぎりぎりまで抜かないとピッチが、合わないのですが、一体、私は、どうしたらいいんでしょうか?はじめは、438であわせていたとして、すこし抜いて合うぐらいなんですが、5分も吹くと、ぎりぎりまで抜かないと合わなくて。マースピースのせいかとも思ったんですが、いろいろ変えても、同じ事の繰り返しで、曲のはじめと最後で(確かに自分で音程を耳で聞いて合わせれば、いいことなんですが、)あまりにも、管を抜く距離?が、広くて困っています。何が、悪いんでしょうか。毎年、夏は、管が抜ける1ミリ前くらいまで抜くので、(それでまだ、だいぶ高い。)すごく困ってます。なにか、あれば、教えてください。
回答
音程の問題は、歯と口腔の問題だけではないとは思いますが、歯に関係があるとしたら、歯の位置と口の容積のせいで音程が高くなるということかもしれません。
金管楽器の音の高さは管の長さに関係してると考えるのが一般的ですが、口腔の容積にも関係があるようです。
ご存知のように金管楽器を吹くときは上下の前歯を前後的にはほぼそろえ上下的には少し開いています。音の高さや音量によって歯の開き方を変えて調節しています。これによってアパチャーの開きも調節しているわけです。
上下前歯をあまりひらかないと口の中の容積が狭くなります。もしかしたら口を狭くするとアパチャーに影響が出て音程が上がるのかもしれませんし、口の中の容積が直接音程に影響しているのかもしれません。理論的なことはよくわかりませんが、歯の開きが狭い=口の中が狭いことが音程を高くすることは、現象としてはあるようです。
ですので、極端に口が狭い状態で吹いている場合、音程が高くなるでしょう。その時は歯を十分に開き口を広くすることで改善するかもしれません。なかなか歯を開こうとするのは難しいですが、毎日の練習の中で、のどを広げようと意識したり太くて良い音質を目指して練習をすることが大切だと思います。
(それにしても438って基準ピッチとしては低すぎませんか?)


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