■「All That You Can't Leave Behind」ちょっと遅すぎる感も無くもないが、感想をばひとつ。
初めてシングル「Beautiful Day」を聴いたとき、「ん(・_・)?」
これが正直な感想。(てか、謂わんとしてることわかんないよね)
妙に軽いイントロ部分とボノのボーカル・レベルの大きさが、
「これ、デモ?」と思ってしまったのだ。
でもそのバックに聞こえてくるギターは紛れもなくシャープなエッジのそれだったし、
そんな気持ちの中で感じた妙な懐かしさはPVでエッジの持っているギターを見て納得するに到った。
しかしここでアルバムに対する不安と期待がぐちゃぐちゃになってしまった。
でもそんな不安は実際アルバムを聴き進んでいくうちにどんどん薄らいでいった。
それはもう曇り空が晴れ渡っていくように。
9曲目の「When I look at the world」にさしかかる頃には、イントロで泣きそうになる位にこのアルバムに感動していた。
発売前、そのプロデューサー達の顔触れやU2彼ら自身のコメントから80年代の音に戻るのではとか、原点回帰とかそういった噂があった。
それに期待していた人達がこのアルバムを聴いて失望を感じ肩透かしを喰らったと云っても、まあそれも仕方がないだろう。
確かに4ピースバンドとしての音作りだが刺激的な曲は少ない。
でもアルバムから溢れる明るさ、前向き、優しさといったポジティブな印象は僕の心を打つに十分だ。
例えば「ピース・オン・アース」の歌詞は神の沈黙に対する憤りを感じる。
しかし今までの彼らならそういった感情を外に向けぶつけていたが、それを優しいまでのメロディで包む程の包容力を見せている。
ここに怒れるU2は居ない。
今までの作品では、ネガティブな感情に突き動かされて形作られていった曲が少なくないと思う。
しかしこの作品から聞こえてくる音は、彼ら自身がロックバンドであることを再認識し、ロックバンドである=U2であることに立ち返り、あるいは喜びを感じ作られた印象がしてならない。
この作品で彼らは不要なものを削ぎ落としたシンプルな音を届けてくれた。
あらためてU2という4人が作り出す音を。
僕らもそろそろ彼らに対する凝り固まったイメージを捨てる頃合いかもしれない。
彼らは政府に対する圧力団体でもなければ、宗教家でもない。
ただのロックバンドなんだ。
音楽を作り演奏することに喜びを感じるロックバンドなんだ。
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