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北天蒼星 上杉三郎景虎血戦録

書名:北天蒼星 上杉三郎景虎血戦録
著者:伊東 潤
発行所:角川書店
発行年月日:2011/4/30
ページ:286頁
定価:1900円+税

小田原北条氏康の七男に生まれ、幼少期北条氏の供養をするため箱根権現で修行していた西堂(三郎)は、武士になりたいと箱根権現を逃げ出したりしていたが、伯父北条幻庵の跡継ぎが戦死したため、北条幻庵の養子となり小机城を嗣ぎ、娘と結婚するが、2ヶ月、後越相同盟の証として上杉謙信の養子として越後に行く。

謙信から初名「景虎」を受け継ぎ、越後・相模・甲州を同盟して平和を築くという理想を抱くが、三国間の情勢が目まぐるしく変転する。最初は上杉謙信の跡継ぎとして遇されていたが、越後と相模の関係が険悪になるにつれ、上杉謙信の姉の子上杉景勝との家督相続争いに巻き込まれていく。最後には御館の乱ではかなく散った景虎の生涯を描いている。

直江兼続( 樋口与六)を部下に持つ上杉景勝ばかりが目立っているが、北条氏から養子に来た上杉景虎については常に悪者扱いされてきた。そんな景虎に焦点をあてた長編歴史小説です。常に勝ち残った者を正として扱う歴史小説とは違った視点が面白い。