記事一覧

本に出会う

京の常識事始 大人の京都修学旅行

書名:京の常識事始 大人の京都修学旅行
著者:京都観学研究会
発行所:講談社
発行年月日:2010/3/4
ページ:303頁
定価:1900円+税

同志社大学とJTB西日本の産学連携事業「楽洛キャンパス」の講座から生まれた京都・大人修学旅行副読本 京都観光がより興味深く楽しいものになる「京都本」です。京都の事書いてある本は一杯ありますが、この本は京都人でも知らなかったことが満載です。

1000年前に書かれた紫式部の「源氏物語」。この物語は単なる物語だけではなく、その後の世界に「源氏物語絵巻」に見られる絵画の世界、着物の柄、扇子など京都のいろいろな産業にも使い回されて、新しい魅力を付け加えながら今に生きている。54帖の場面を知っていないと理解出来ない職人の世界、そんな奥深い世界を覗かせてくれます。

平安王朝時代の食事はあまり旨い物ではなかった。王朝ではさぞ、旨い物を食べていたと思われるが、実は質素な不味い食事を取っていた。素材に酢、塩、醤油の元など調味料を掛けて食べる。だし汁などが出てきたのは鎌倉時代の精進料理から、そこで始めてだし汁などを使うようになってきたとか。

平安時代400年の歴史が今に生きているそんなところを紹介している。菅原道真の怨霊信仰とか、明治時代になって公家で京都に残ったのは冷泉家だけ。そして今の同志社大学のあるところはかつて公家さんが多く住んでいたところ。武士階級は六波羅蜜寺あたり周辺に住んでいた。

何層にもつづく京都の歴史の一端を開いていくことで新たな興味が湧いてくる。京都を写す写真家のとっておきの景色の紹介。そして一生撮っても撮り尽くせないと言っている。通常のガイドブックとは違った奥深い内容のある本です。京都についてより興味を持つことが出来る本ではないかと思います。