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叛鬼

書名:叛鬼
著者:伊東 潤
発行所:講談社
発行年月日:2012/5/15
ページ:274頁
定価:1600円+税

時代は応仁の乱の頃、場所は関東、公方と関東管領それに味方する国人衆そんな中で主君への忠義は当たり前と考えられていた時代を生きた一人の男、長尾景春が主人公。かつて兄と慕った太田道灌、その後2人は戦渦を交える。太田道灌には何度も敗れる。完璧なまで潰され、かろうじて逃げる。そんなことを繰り返している内、太田道灌が暗殺される。

駿河でも新生代の雄北条早雲も動き出す。一生戦い続けて殆ど敗戦、逃げ回っていた男。叛乱に次ぐ叛乱、戦って人々も混乱する戦ぶり、今日の味方は明日は敵、室町幕府の権威も地に落ちた戦国時代、誰よりも下剋上を成し遂げた男の生涯を描いた歴史長編小説。カッコは良くはないけれど戦乱相次ぐ関東に生きた男の生き様が綴られている。なかなか面白い