記事一覧

本に出会う

福島原発事故県民健康管理調査の闇

書名:福島原発事故県民健康管理調査の闇
著者:日野 行介
発行所:岩波書店
発行年月日:2013/9/20
ページ:219頁
定価:760 円+税

誰のための、何のための調査なのか
東京電力・福島第一原発の大事故により放出された大量の放射能。住民の健康への影響を調べる福島県
の県民健康管理調査が行われているが、そのやり方、情報隠しなどに疑問を持った記者が、情報開示請求、独自の取材などを通じて県民健康管理調査の闇その実態を明らかにしている。

原発事故ばかりでは無く、最近の災害、事故、被害は何故か誰のため、何のためという視点は置き去りになって、政権の責任、メンツ、立ち回り、どう見えるか?そんな所ばかりに目が行って本当の所は全く闇の中、そこに大きなお金が使われる。そして誰のためにもならない無駄使いをしてしまう。今はもう福島は全く話題にも上ってこない。

完全に棄民になってしまっている。事故を小さく、被害は無かったことに、これは太平洋戦争後も同じで戦争、軍隊の話は無かったことにして、アメリカの大量消費生活、映画、欧米文化をどんどん垂れ流した構図と少しも変わっていない。福島の事故よりは経済、株価、そして原発の再稼働、いやなことから目を反らせて観ない,見えないことは楽なこと。でもこんなことをしていたら後で大きなしっぺ返しが。真実をまっすぐみる人ためにも自分でじっくり読んでみて考えて欲しい本です。

『福島原発事故 県民健康管理調査の闇』著者/毎日新聞社会部記者・日野行介さんインタビュー http://www.cataloghouse.co.jp/yomimono/genpatsu/hino/

本書より
---------------------
「福島第一原発事故による健康影響を調べるための唯一の網羅的な健康調査が、福島県が2011年6月から実施している『県民健康管理調査』だ」
「検討委員会は約1年半もの長期間にわたって、一切その存在を知られることなく『秘密会』を繰り返し開催してきた。
報道機関や一般に公開する検討委員会の会合を開く直前に、福島県と県立医大は『準備会』『打ち合わせ』の名目で秘密裡に検討委員たちを集め、『どこまで検査データを公表するか』『どのように説明すれば騒ぎにならないか』『見つかった甲状腺がんと被曝との因果関係はない』などと、事前に調査結果の公表方法や評価について決めていたのである。」

「検討委員会を経て決定された調査目的は、『原発事故に係る県民の不安の解消、長期にわたる県民の健康管理による安全・安心の確保』としており、『不安の解消』を真っ先に挙げている」(同書p18)
「秘密会では住民に放射線の危険性を感じさせず、安心させるために、本会合でどのようなやりとりが必要か、議論していた。検討委員会の関係者に送られたメールなどを見ると、県側の担当者は県民を安心させる説明を『リスクコミュニケーション』と呼んでいた。」

■著者紹介
日野行介(ひの・こうすけ)1975年生まれ。九州大学法学部卒。毎日新聞社入社後、大津支局、福井支局敦賀駐在、大阪社会部、科学環境部を経て東京社会部。大阪社会部では司法担当が長く、和歌山県知事談合・汚職事件、薬害イレッサ訴訟や泉南アスベスト訴訟、郵便不正事件などを取材。敦賀駐在や科学環境部では原発を中心に取材した。