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原発ホワイトアウト

書名:原発ホワイトアウト
著者:若杉 冽
発行所:講談社
発行年月日:2013/9/11
ページ:319頁
定価:1600円+税

福島原発事故、事故は無かったことにする。福島のことは誰もが忘れたように。思い出したくもないという風潮、そして原発再稼働にどんどん進んで行く。そんな流れに匿名のキャリア官僚がノンフィクションの小説です。原発を巡る政官民の癒着、原子力村の実態を著者が経験、見聞きしたことを赤裸々に描いている。

原油高、LPG高で火力発電所では電気料が高くなる。CO2削減にも配慮をしないといけない。電気料が高くなると産業の競争力がなくなる。だから原発再稼働が必要と再稼働に向けて着々と政策を進めている。でも本当の理由は割高な原子力発電から電力会社→電力団体→政党・広報・反原発阻止というお金の流れ(この悪魔のサイクル=麻薬のようなもの)を維持することが真の目的と看破する。国民のためより自分たちの組織(美味しい)の維持が優先事項。この本を読むとこれから起こるであろう政策が見えてくる。残念ながらここに書かれているような流れになってしまうような予感する。怖い話。5年、10年後この本に書かれているようになって来ないことを祈る。この中には仮名にはなっているが、実名が判る人々が入っている。

著者に霞ヶ関の中でも強固な原発推進派は1割、原発再稼動反対派が-1割、そして残り8割は様子を見ているという。この8割を同志にして真実を国民に伝えていけるか?著者の狙いだと。公務員は税で養われている。したがって国民に本当のことを知らせる、伝える義務がある。しかしそれは建前。実際は隠すことばかりに汲々している。現役キャリア官僚の著者しか手に入れられない情報が一杯あります。そして最後に再稼働した原発の送電線の鉄塔をテロ集団が同時に爆破して送電線を断線してしまう。それも爆弾低気圧が来た年末年始に。

原発の周辺は大雪に覆われ、人々は長期休暇にはっている時に、原発は最大電力を出力しているときに送電線が全部切れてしまう(急激に負荷がゼロになる)と急速に停止しないといけない。そして冷やさないといけない。そのための電力はバッテリー、非常用ディーゼル発電機、福島の事故の経緯と同じ過程を辿る。冬の寒い大雪の中でディーゼル発電機が起動出来ない、非常用電源車も雪のため倉庫から出すことができない。またメルトダウンするというストーリーが書かれているが、「歴史は繰り返す、一度目は悲劇として、二度目は喜劇として」カール・マルクスをそっくりそのまま再現している。福島原発事故、原発問題、エネルギーの問題を考える上で是非読んでおきたい本です。

本書より
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第2章 幹事長の予行演習
制度の細部の決定権を最後の最後まで
放さないことが官僚のパワーの源泉なのだ。

第17章 再稼働
日本の経産省や文科省から出向している職員が強硬に反対し
最新の安全性は盛り込まれることなく骨抜きにされている。

「原発ホワイトアウト」作者インタビュー
https://www.youtube.com/watch?v=6svSH7kPtw8
原発ホワイトアウト!著者「若杉冽」氏が語る福島原発の真実
https://www.youtube.com/watch?v=KjrAATNzy7U
現役官僚が原発利権を告発!小説「原発ホワイトアウト」著者、若杉冽氏が明かす“モンスターシステム”とは(堀潤)
http://bylines.news.yahoo.co.jp/horijun/20140205-00032349/
大飯原発「再稼働」裁判「国富の喪失」とまで断じられて 「原発はもう動かすな」この判決をどう考えるべきか 古賀茂明×若杉冽(『原発ホワイトアウト』著者)
http://gendai.ismedia.jp/articles/-/39464