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月神

書名:月神
著者:葉室 麟
発行所:角川春樹事務所
発行年月日:2013/7/18
ページ:279頁
定価:1600円+税

幕末福岡藩の尊攘派として立ち上がらせようとした亡き従兄弟の月形洗蔵、長州の高杉晋作、薩摩の西鄕隆盛の間を取り持って薩長同盟の裏工作に走った。しかし藩主・黒田長溥は、尊攘派の台頭を苦々しく思っていた。 そして維新の直前に刑死した。

従兄弟の月形洗蔵が生きていたら?、維新後福岡藩は薩長とは別の政治の本流とは関わりのない瑣末な仕事ばかり、明治13年福岡藩士出身の月形潔は集治監建設(政治犯を収容する刑務所)の団長として横浜港から汽船で北海道へと向かった。新政府の命令にしたがって生きる月形潔の半生を通じて激動の明治維新の中で国を思い、信念をかけて戦った武士たち、そしてその後を描く歴史小説。決して太陽にはなれない、なれなかった月形洗蔵のような武士たち、月神の如く影に生きた人達にスポットをあてた作品。