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いい子に育つ仏のことば

書名:いい子に育つ仏のことば
著者:西村 恵信
発行所:小学館
発行年月日:2004/5/10
ページ:238頁
定価:1500円+税

「心の梁を失った日本人」、少年犯罪が激増、凶悪化する中で親は子育てに自信を失っている。その親に向けたメッセージです。「自分さえよければ良い」「自分の子供を他人に任せていませんか?」「親になるのは簡単ですが、親であることは難しい」仏教の難しい高度な内容を判りやすく説いてあります。でも奥は深い深い内容です。題名「いい子に育つ仏のことば」となっていますが、こどもだけではなく大人にも鋭い言葉が刺さってきます。

子供の個性を、判断を、でも自己を確立も出来ていない子供に個性はありません。本能のままに生きることが出来ないのが、人間。人間が頭を持ったことで猫や犬のように本能のままに生きることが出来なくなった。それにも関わらず、支えとなる確かな教え、生き方などは誰も教えてくれません。それは親が教えること。人に勝って受験地獄を乗り切ること。人を虐めることなど本能が働くもの。でも人への思いやり、慈悲、お布施(与える)などは教えてやらないと持てない意識。

親が子供にしてやること、教えてやること。人任せでも良いことを区別して判りやすく説明しています。少なくとも現代の受験教育、塾、学校で教えていることとはひと味もふた味も違っています。人間として生きる基本的なことを理屈ではなく自然に学ぶことが出来るようなそんな本です。

3個のリンゴがあって2人の兄弟でどう分けるか?ひとり1個づつ、残りの一つは仏さんにお供えする。後日仏さんから1つ頂いて分けて食べる。(一人1.5個づつという答えは正しいのか)
お客さんが自宅に見上げを持って来てくれたとき、神棚に一端供える。その後頂く。という習慣もなくなって来ました。「三利主義(便利、営利、権利)」では絶対出てこない発想ではないでしょうか?

西村恵信禅師には何回かお話を聞かせて貰いましたが、この本のように優しくなかった。でもこの本を読むとあのときの話はこうだったのかと改めて納得したりしています。

本書より
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「物に見えたる光、消えうせぬまに書きとむべし(芭蕉)」
「逝く者はかくの如きか、昼夜をおかず(論語)」