書名:無人地帯
著者:永瀬 隼介
発行所:徳間書店
発行年月日:2008/9/20
ページ:426頁
定価:1800円+税
二十キロ四方に無人の荒野が広がる鎌刈集落で、野地純平は自給自足で生きてきた。地元の中学校を卒業してからずっと鎌刈集落で生きてきた。そして鎌刈集落からは村人がどんどん出て行って野地純平だけが残っていた。そこに民間刑務所を誘致しようという話が舞い込んでくる。過疎地を持った地方の地域の活性化の一環として民間刑務所の誘致、その誘致を巡って元中学校の同級生たちは誘致に賛成、反対派野地純平ひとり。
この鎌刈集落は純平の祖父が満州開拓団として満州の地でロシア軍に追われ、関東軍には見捨てられて、命がけで帰ってきた時に、再度開拓地として与えられたやせ細った貧しい土地で作物も出来ない土地を命を賭けて開拓して山、それを純平は捨て去るわけにはいかない。断固拒否する。純平は純平で鎌刈集落にニホンオオカミがいることを信じている。そしてオオカミを増やして、天敵がいなくなった鹿、イノシシなどが山野を荒らすのを留める。そんな「ウルフプロジェクト」というい夢がある。
格差社会日本の象徴、崩壊する地域社会に、かつての同級生たちが集まって殺しあいを始める。ライフル、どう猛な大型犬ウルフドッグ「たろう」が残酷な制裁を!
作者の意図がどうもよく分からない作品。日本の何処にでもある地域社会の崩壊、それを創成する、資本の投入、それに群がる利権争い、そして一時(資本が続くだけ)は活気を呈するが、その後は以前以上に崩壊へ。そんな地域社会を扱った作品。