書名:偽善エネルギー
著者:武田邦彦
発行所:幻冬舎
発行年月日:2009/11/30
定価:760円+税
日本の発電所のエネルギーの構成比(原子力27.6%、石炭27.2%、天然ガス23.1%、石油11%、その他2.4%)2006年資料とのこと。エネルギーとして石油の構成は非常に少ないというのが実感です。ガソリンのような良い石油ではなく重油のような不純物の多い油を使っているのですから、日本の石油の消費の中から見ると少ない感じがします。ところで石油の寿命は諸説いろいろありますが、1980年代に年間消費量より新規に発見される油田の推定埋蔵量が少なくなってきています。最近では消費量300億バーレルに対して50億バーレル。またこれからこの比率が逆転する可能性はかなり少ないと思われます。したがって石油は枯渇する。今使っている石油のように扱いやすいものについては後30年、オイルサンド等石油類似品などであれば使いづらいけれど後300年位と言われています。また石炭もほぼ300年と言われています。
代替エネルギーとして太陽電池を初めとするいろいろなものが言われていますが、1970年代の石油ショックのころから太陽電池といわれて30年。通常技術は目が出てきて30年もすれば一般に経済原則で普及するのが普通。でも未だに補助金がないと自立できない技術。これが30年後すぐに石油に変わるとは思えない。等一般に言われているエネルギー議論に、政治と利権、各国のエゴで操作された嘘の情報を流していると著者独自の調査、経験を踏まえて書いています。
これを読んで判ること今までペットボトルの水より安い値段で手に入れていたガソリン。石油。実はこれは現在の大量消費時代に莫大なエネルギーを供給していてくれていたと言う事実。これにとって変わるエネルギーを見つけるのは困難な仕事だと言うこと。300年前の生活にはどうしても戻れない。すると代害替えエネルギーを真剣に探す、今ある石油をふんだんに使って技術革新を行うこと。というのは間違えない。
原子力発電のウランは300年の寿命。核融合技術が使えれば3000年。石炭の油化から(プラスチック等の化学製品。医薬品)等次々とやるべきことがあるのに別を向いている。森林の木からエネルギーを得ていた(生きた炭素、CO2)の時代から化石燃料(石炭、蓄積されたCO2)1900年頃まで、石油(約100年)、人類はその時その時次々代替エネルギーを見つけてきたからこれから100年、200年後にはそれはその時最適なエネルギーで生活しているでしょう。でもそれは今のエネルギーではないことは確実。したがって節約は大きな力にならない。
本書より
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将来の日本のエネルギーはどれだ?
・石油(エネルギー構成比11%)→×枯渇する。「石油で動く機械」と石油製品」は技術開発が早急に必要
・太陽電池(0%)→×石油の代用にならず、人口密度の高い日本では非効率。
・原子力発電(27%)→○地震で倒れる現状の設計を直せば安全。核廃棄物処理も問題ない
・水力発電(8.7%)→△利用できても、エネルギー使用量全体の数%が限界
・風力発電(0%)→×自然に影響が出るのは必至
・バイオマス(0%)→×発電は可能だが大量の植物が必要
・地熱と潮力(0%)→×現在は「使えそう」止まり
日本人がどんなに節約しても、世界各国の大量消費は止まらず、石油は枯渇する、石油頼みのあらゆる分野・・工業、農業、漁業、医薬品は大打撃を受けること必至。だが今将来に備えてやるべきは省エネではない。代替資源を探し、技術革新することだ。
では何が次世代エネルギーになるのか?太陽電池か風力か?安全性が疑問視される原子力か?政治と利権、各国のエゴで操作された嘘の情報を看破し、資源なき日本の行く末を模索する。