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占星術殺人事件 改訂完全版

書名:占星術殺人事件 改訂完全版
著者:島田 荘司
発行所:講談社
発行年月日:2008/1/10
ページ:415頁
定価:1200円+税

昭和11年に起こった猟奇殺人事件、完全な密室で殺された画家が残したノートには6人の処女の肉体から完璧な女=アゾートを創る計画が書かれていた。彼が殺された後、彼の娘、親戚の娘6人の若い女性が行方不明となり、肉体の一部が切り取られた姿で日本各地で発見された。この事件は必死の捜査にも関わらず迷宮入りで未解決。事件から四十数年たった猟奇殺人の謎に、御手洗潔と最大の理解者石岡和己のコンビが挑戦する。作者のデビュー作。最初の作品を何回か書き直して改訂完全版となったもの。

推理小説はネタをばらすと興味半減するので、これ以上は書かないが、占星術を駆使して複雑怪奇に見える殺人事件。その材料を全てさらけ出して読者に犯人捜し、謎解きを提案する場面(間)も盛り込まれていてなかなか面白い。あっという結末に驚かされる。偽一万円札作りで使う透明ではないテープが大きなヒント。密室、二二六事件当日の犯罪、雪の上の足跡、複雑な家族関係など伏線のトリック、良く出来た推理小説です。