書名:インドクリスタル
著者:篠田 節子
発行所:角川書店
発行年月日:2014/12/30
ページ:541頁
定価:1900円+税
久々の篠田節子です。人工水晶の製造開発を手がける会社(山峡ドルジェ)の社長・藤岡がインドの辺境の山奥を訪ねるところから物語は始まる。山梨県の一中小企業である同社は世界企業との競争に勝ち抜くための技術力には定評があるが、人工水晶には何もないところからは水晶は作れない。自然石の高純度の水晶を入手してそれを種水晶として、その上に人工的に水晶の結晶を作る必要がある。したがってその高純度の水晶を求めて世界中の辺境の地を巡ってきた藤岡には、インドの辺境の山奥にある水晶には期待が持てた。
鉱物資源はどこの国でも政治や地元民、それに反社会組織などの利権が複雑に絡み合っていることが多い。そして多少のぼったくりや脅し、そんな世界を経験してきた。今回のインドでも村人たち、貧困者を徹底的に搾取する社会構造、富裕層たちの果てしない欲望、反社会組織などが入り交じった。鉱物資源を手に入れようとする物語。なかなか読み応えのある小説です。
インドでは、「日本の良識」は通じない
http://toyokeizai.net/articles/-/60560
構想10年…「私の願いを詰め込んで」 新刊「インドクリスタル」篠田節子さん
http://www.sankei.com/life/news/150119/lif1501190008-n1.html