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不機嫌な太陽 気候変動のもうひとつのシナリオ

書名:不機嫌な太陽 気候変動のもうひとつのシナリオ
著者:H.スベンスマルク/N.コールダー
発行所:恒星社厚生閣
発行年月日:2010/3/10
ページ:235頁
定価:2800円+税

今までの科学の成果から考えると、地球の温暖化、寒冷化を支配するものは太陽エネルギーをどれだけ地球に吸収するかということ。そしてその主要要因として雲、水の蒸発(水蒸気)による。とするのが偏見ない見方ではないでしょうか?

・地球の位置での太陽エネルギーは平均342W/㎡(球面)、1366W/㎡(垂直平面)
・吸収 大気16% 雲3% 地表51% 反射大気6% 雲20% 地表4%
(入射太陽光の30%が反射され70%が吸収される)
・51%吸収した地表は6%を宇宙に反射し、大気と雲に45%を移します。
(内訳は電導と対流が7%、水分の蒸発が23%、放射が15%)
これらの%が変わることで気候変動が起きる。
・雲による反射の地球冷却の67%、水の蒸発により地表から大気層に移るエネルギーが23%もあることに注目すべき。(合計90%)

H.スベンスマルクは銀河系宇宙からやってくる宇宙線の侵入量が増減が、低いところの雲の形成に関係し、地球の温暖化、寒冷化に影響を与えるという新しい学説(スベンスマルク効果)を提唱している。また雲がどうして出来るか?という今まで判らなかった雲の生成の謎を解き明かしている。実験によって宇宙線によって、超微細粒子ぶつかることによって雲の凝縮核の形成を加速する微細な物理機構が存在することを確かめた。

また太陽系は天の川銀河の中を有る周期で左右上下に動いている。そしてその周期と、天の川銀河の回転する周期とは微妙に違っている。その動きの中で天の川銀河のあるところには超新星爆発が多く発生して宇宙線が多い場所と、しずなで宇宙線が少ない場所がある。その地点を太陽系が通るときに地球には宇宙線が多く降り注ぐことになる。すると低層域の雲の発生が多くなって太陽光を遮って寒冷化する。逆に宇宙線の少ない場合は雲の発生が少なくて温暖化する。という理論を主観や感情を交えずに淡々と冷静に平易な言葉で綴っている。特にCO2が温暖化の原因と声高に叫んでいる学者たちの態度とは随分違う。またこの本でも記述しているがCO2が温暖化の原因説の人々から凄い妨害を受けて、実験の予算獲得もなかなか旨くいかなかった。また論文を書いても掲載を見送られたこともたびたびあったと記している。

銀河系、太陽系、地球という壮大な世界に導いてくれる。また気候という日常的なものにもやっぱり大きな宇宙の仕組みが関連しているという感動を与えてくれる良書です。しかしマスコミにも、話題にもならないH.スベンスマルク(スベンスマルク効果)ですが、非常に注目すべき天才という気がします。
科学の世界は「今結果が出なくても、やっぱり地球は回っている」ですので後年見直されて主流派になってくる予感がする説だと思います。少なくともCO2が温暖化の原因説よりもずっと論理的に説明ができるように感じました。これからの活躍に期待したい人です。

「ニセモノは仰々しい。。ホンモノは素朴だ。」

本書より
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炭酸ガスと気温の関係
・過去5億年の間には、気候と炭酸ガス濃度との間に相関関係は存在しない。
・過去100万年の間には炭酸ガスと温度との間にはつながりがあった。しかしそのつながりは、主客転倒であった。なぜなら、炭酸ガスの変化が温度変化より先行するのではなく、温度変化の後を追っているからである。
・過去1万年の間には、炭酸ガスと温度との間に相関関係は存在しない。
・過去100年の間には、炭酸ガスの増加と温度の上昇の間には、全般的に見れば大まかなつながりがあった。
最後の項目の観測結果のみが、炭酸ガスが気候変動を引き起こす、という証拠とみなしうる。しかし、この100年間のデータを詳細に検討すると、その証拠は不当に妥協を必要とするものとなる。
・20世紀の温暖化の半分は1905年~1940年起こった。この間の炭酸ガスの濃度は、まだ全く低いものであった。
・しばしの地球寒冷化が1950年代と1960年代に起こった。この間の炭酸ガス濃度は上昇中だった。
・21世紀初頭には、炭酸ガス濃度が急激な上昇を続けているにも関わらず、地球温暖化は、再び中断した。
・もしも、炭酸ガスによる温室作用が、温暖化を起こすなら、上空の空気は表面温度よりも速く温まらなくてはならない。しかし観察結果は、その反対であることを示している。
以上の証拠を偏見なしに検討すれば、誰でも、炭酸ガスが、過去と現在の気候変動を引き起こす主要因であるという見解は完全に破綻しているのだと考えねばならない。

宇宙線と気候との関係
・過去5億年の間の温度変化には4つの絶頂期と4つの谷底期が存在するが、それらは鉄隕石中に観測された宇宙線の変動に一致するし、また太陽系が銀河内を周回中4本の腕に遭遇したことと一致するのである。
・数千年の間のリズミカルな気候変動は、宇宙線により放射性炭素や他の放射性核種が生成される量と変動と一致している。
・過去100年間の温暖化率の変化も、宇宙線強度の変動と一致している。
・宇宙線が気候に影響を及ぼす作用機構の検証は、低い雲が宇宙線の変動に合わせて変動することを観察することによってなされたし、また宇宙線が雲の凝縮核の形成を加速する微細な物理機構が存在することを実験によって証明することによってなされた。