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東京自叙伝

書名:東京自叙伝
監修:奥泉 光
発行所:集英社
発行年月日:2014/5/10
ページ:423頁
定価:1800円+税

これは新しいタイプの小説か?奇想天外な物語展開、構成の小説です。東京の地霊が主人公?維新から太平洋戦争、サリン事件からフクシマ第1原発爆発まで、無責任都市トーキョーに暗躍した謎の男の一代記!次々と人、鼠、猫などに生まれ変わりながら、その時代の主要な事件、出来事の主人公として生きていく地霊、東京が好き、東京以外では途端に元気がなくなる。福沢諭吉のような語り口で維新に活躍した人物、吾が輩は猫であるの「猫」だったり、関東大震災に遭遇した軍人、戦後闇市でGHQの物資を横流し、新宿辺りでやくざの親分になったり、ジョンレノンになったり、三島由紀夫になったり、サリンを作ることを提案したり、ジュリアナ東京のお立ち台で踊ったり、秋葉原の通り魔だったり、東京という街が辿って来た歴史を生きてきた東京の地霊。

東日本大震災では鼠になって福島第一原発事故の現場にいたり、原発労働者として事故直後働いていたりして、フクシマの問題は実は東京の問題なのだ。
でも地霊は「『なるようにしかならぬ』とは我が金科玉条、東京と云う都市の根本原理であり、ひいては東京を首都と仰ぐ日本の主導的原理である。東京の地霊たる私はズットこれを信奉して生きてきた」と。奇想天外ですが、後で考えさせられる本だと思います。

【著者に訊け】奥泉光 暗躍した謎の男描いた『東京自叙伝』
http://news.ameba.jp/20140529-400/
東京自叙伝 奥泉 光著 「地霊」が暴く近現代史の虚構
http://www.nikkei.com/article/DGXDZO72752370U4A610C1MZB001/
書評:東京自叙伝 [著]奥泉光 - 原武史(明治学院大学教授・政治思想史)
http://book.asahi.com/reviews/reviewer/2014062200004.html