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帝都衛星軌道

書名:帝都衛星軌道
著者:島田 荘司
発行所:講談社
発行年月日:2006/5/26
ページ:348頁
定価:1800円+税

紺野貞三・美砂子の一人息子・裕司が何者かに誘拐された。身代金はわずか15万円、受け渡し場所として妻美砂子に山手線を指定され、「携帯電話は捨てろ」変わりにトランシーバーが渡される。山手線に乗って、犯人からの指示をトランシーバーからうける。包囲網をしく警察は翻弄される。4キロほどしか電波が届かないトランシーバーがキーワード。息子・裕司は戻るが、妻美砂子は犯人と共に行くへ不明に!そこには妻の過去が?紺野貞三は実直で真面目なサラリーマン。

訳の判らないまま時は過ぎる。この前編と後編の間に都会の闇で蠢く人びとを活写した「ジャングルの虫たち」を挟む。作品の構成も異色な犯罪小説。興味の話として、東京の地下鉄についての秘密が、大戦中、首都防衛のために地下防空壕、巨大地下施設、抜け穴(本土決戦に備えて)が作られていた。その地下の壕が時間の経過と共に崩落の危険があるので、補強・補修しながら千代田線、大江戸線などが作られたという都市伝説ともに紹介されている。
大胆なトリックを使って、息をつかせぬ展開、一気に読んでしまった。なかなか面白い。

テレビや新聞が触れない東京地下の謎を解き明かす『帝都東京地下の謎 完全版』
http://news.livedoor.com/article/detail/5066509/
秋庭俊氏が指摘する東京の「巨大地下網」の存在
http://www.narinari.com/Nd/2005054408.html