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資本主義の終焉と歴史の危機

書名:資本主義の終焉と歴史の危機
著者:水野 和夫
発行所:集英社
発行年月日:2014/3/19
ページ:218頁
定価:740円+税

13世紀のヴェネチアで資本主義、資本に金利という概念が考えられ公認されてきた。形を変えながら発展して来た。資本主義システムも終焉を迎えているという。金利ゼロ=利潤率ゼロという時代が20年続いている。「地理的・物的空間(実物投資空間」を求めて植民地拡大時代。中心/周辺の関係が維持されている限り、周辺から安い資源を導入して発達することが出来たが、資本主義は15%の裕福な人々と85%の貧困で成り立つ。裕福を得られる限界が15%と云われている。

1970年代から「地理的・物的空間(実物投資空間」だけは得られるべき利益が確保できなくなって、資本主義を延命するために「電子・金融空間」を創造して来た。でもリーマンショックで「電子・金融空間」が成り立たないことが証明された。バブルが必ず弾けるということが判って来た。そしてバブルのつけは大企業は公的資金で救済され、弱者につけを回すということを繰り返すことが判って来た。中国など新興国が先進国と同じ一人当たりのGNPが3.5万ドルになった世界を考えると成り立たないことはハッキリしている。

全世界の15%の先進国しか許されていない資本主義のシステムは、これから成長を求めようとすると、先進国中でも所得格差を拡大して持てる者と持てざる者の格差がどんどん広がっていく。それが今もう始まっている。金利ゼロ=利潤率ゼロ=資本主義の死。それでも成長を追い求めれば、多大な損害が生じるだけ!バブルのつけをバブルで支払う。国債の利率が2%以下と云うことは本当の資金需要が、投資に見合うだけの産業がないということ。それを将来の期待値でバブルを作って帳尻あわせをやっているだけ。
700年続いた資本主義、いつまでも成長を求めていくと将来の資金まで損失するだけだと警告を発している。ゼロ成長でもやっていける新しいシステムを考えていかないといけない時代になっていると述べている。資本主義の歴史を詳しく分析しながら判りやすく今後の時代を長期の視点で述べている。「世界総ゼロ金利」の時代の先頭にたっているのが日本、次のシステムを考える参考になる視点が述べられている。このままでいくと弱肉強食の世界、金持ちが益々金持ちに、貧乏人は益々貧乏人にそして定期的にバブルになってバブルが弾けるという時代がやってくることになる。経済優先のアベノミクスなんかはこの成長神話の最たるものだと批判している。

本書より
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【主な内容】
●「世界総ゼロ金利」時代のあとに何が起きるのか?
・成長を果たした国からゼロ金利になり、「日本化」する。この危機の「本質」とは?
・「バブル清算型」の資本主義でアメリカはどうなる?
・中国はアメリカ没落後の覇権国になれるのか?
・中国バブルが弾けたあとの、世界経済は?
・日本の財政赤字、国債問題にどう対処するべきか?
・EU崩壊は起きるのか? ドイツはギリシャを切り捨てるのか?
・アフリカのグローバル化のあと、資本は何を狙うのか?

●「世界総ゼロ金利」=資本主義の終焉で
なぜ日本にチャンスが生まれるのか?

【目次】
はじめに――資本主義が死ぬとき
第一章 資本主義の延命策でかえって苦しむアメリカ
第二章 新興国の近代化がもたらすパラドックス
第三章 日本の未来をつくる脱成長モデル
第四章 西欧の終焉
第五章 資本主義はいかにして終わるのか

「『資本主義の終焉と歴史の危機』(水野和夫)を読む」
http://gendainoriron.jp/vol.03/feature/f05.php