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淡墨の桜

書名:淡墨の桜
著者:宇野 千代
発行所:海竜社
発行年月日:1990/3/6
ページ:157頁
定価:1200円+税

昭和42年、小林秀雄から聞いて、岐阜羽島駅から岐阜市の近隣・根尾村に老木の淡墨桜を見に行ってその無残な姿に心痛めた宇野千代がグラビア誌「太陽」(昭和43年4月号)にその感想文を発表し、同時に、岐阜県知事・平野三郎に書簡を送り、老木の淡墨桜が朽ちないように伝えました。

そんなきっかけで老木の淡墨桜の再生に対する努力が払われ、今でも日本の三大桜のひとつ、岐阜県本巣市根尾(旧根尾村)にある樹齢1500年以上の淡墨桜が見られる。着物デザイナー・吉野一枝という淡墨桜を保護しようとするひとりの女性(作者か)とその前に立ちはだかる村の有力者で、老木の背後の白壁に囲まれた堅固な家の女主人・牧田高雄という女性とのやり取りを物語にしている。

フィクションの世界ですが短い物語だけれどなかなか読み応えのある本です。文章も綺麗、着物の描写なども格調の高い文章も凄い。必要にして最小限の描き方で十分判る練れた文章です。こんな文章の書ける人はもういないような気がします。昔はいた。最初は『薄墨の桜』で発表(後に「淡墨の桜」改題)

宇野千代が救う | 淡墨桜と根尾谷断層
http://sakura5.net/neo/uno.html