書名:温暖化論のホンネ
「脅威論」と「懐疑論」を超えて
著者:枝廣淳子、江守正多、武田邦彦
発行所:技術評論社
発行年月日:2010/1/15
定価:1380 円+税
武田邦彦というと世の中一般とは違った視点で騒がれている人ですね。江守正多は国立環境研究所の職員、日経新聞などで温暖化について説明などを書いている。枝廣淳子は「不都合な真実」ゴアの本の訳者、環境ジャーナリストこの3人。立っている立場が大幅に異なっている、武田が吠えて江守が説き、枝廣がつなぐ、3人が描く地球温暖化論、対談集。こんな企画はなかなか出来ないメンバーが集まっている。大抵は直接顔を合わせての対談を組もうとしても、誰かが出席しないという事態が起こることが普通ではないだろうか?
最初は3人でメールのやり取りで論議して、その後顔を合わせて半日の議論の集大成とか?
どちらかというと武田は極端なツッコミ、江守は常識的な対応、枝廣は普通感覚(科学的なことはあまり得意ではない)そんな3人のやり取りはなかなか面白い。違いは違いとして合意できる点を大人の感覚で求めていく議論の進め方は読んでいて楽しい。それぞれが自由に自分の意見を言い、それに反論、こんな議論の仕方は見習うべきだと思う。
武田邦彦は他の2人より年令も上だし、経験も豊富、科学者としての論功も深いので、発言の量は一番多いのではないか?でもそれぞれに得るべきことがある。異論の組み合わせがまた新しい視点が見えてくる。
一方の見方だけの本ではなく全体を俯瞰してみることが出来る本だと思う。
マスコミなどは太刀打ちの出来ない深い深い議論が出来ていると思う。新聞、テレビでは得られない本の良さわかる議論のやり取りかなと思う。地球温暖化を自分の頭で考えて見ようと思う人には必読の書ではないかなと思います。
また違った意見同士の議論のやり方についても参考になるところが多い。
本書より
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地球温暖化という問題を複雑にしているのは、気候変動の科学事態の難しさに加え、政治、経済、個人の価値観などといった要素が加わってくる点にあるだろう。問題の存在が広く知れわった今、単純な「脅威論」や「懐疑論」のやりとりは時代遅れになりつつある。これから私たちは、地球温暖化という問題をどう理解し、どう考えていけばいいのだろうか。新たなステージへ進むための手がかりここに