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自衛隊風雲録

書名:自衛隊風雲録
   如何にして私は危険人物となりしか――。
著者:田母神俊雄
発行所:飛鳥新社
発行年月日:2009/5/20
定価:1300 円+税

現職の自衛隊の空幕長がアバグループの懸賞論文に応募した。「日本は侵略国家であったのか」が大問題になり、更迭問題になった渦中の人田母神俊雄のノンフィクション。更迭問題をめぐる衝撃の真相、自衛隊流のリーダー学まで赤裸々に綴った、渾身のノンフィクション。論文は9ページ程度の短いもので、内容も目くじらを立てるほどのこともない内容だと思う。でも政府は大騒ぎ、当人にも判らない内に定年退職。何の説明もない。論文問題よりもそれ以外の大騒ぎがとても気になる事件だった。
この本を読んで防衛大学を卒業、自衛隊のエリートコースをまっしぐらに歩いてきた著者の主張に理解出来る面もあるが、実際に戦争、人の生き死の経験もないエリートが、「国と国民を守るため」と机上の空論を40年も考える、教育してきた自衛隊と言う組織にちょっと驚愕した。防衛大学卒業から、次の資格試験、昇進などがあると半年から1年間の教育(学校)を受ける仕組み。非常に良いことなのだけれど、実際の戦争は一度もやったことがない。実戦経験0の自衛隊エリートの限界が見えるような気がする。倒産の心配もない。戦争の心配もない。そんな中で「国と国民を守るため」という命題を考え続けるとやっぱり、いびつな人間が育ってしまうような気がする。この人は非常に優秀な人だとは思うが、言っていることが幼稚、具体的な行動が出来る提案はない。どちらかというと自衛隊内部の組織論、政府との関係論等どちらかというと、机上の空論が多い感じがした。実践の経験がないとこんな人を作ってしまうのかと思ってしまう。言っていることはそれなりに理屈はあっているが、そうだそうだと賛成はできない。
 更迭されて騒がれて講演、著作などで退職後の方が金持ちになったとか。ちょっと持ち上げすぎている感じもする。
「日本は侵略国家であったのか」は谷沢永一、渡邊昇一などの孫引きか、そんなに問題になるような過激な論文でもないと思う。これに対する政府、大臣等の対応の仕方に興味がある。クサイものに蓋を、当人には一言も喋らさない。というやり方は暗黒時代を想起してしまう。

日本は侵略国家であったのか 田母神俊雄(PDF)
http://www.apa.co.jp/book_report/images/2008jyusyou_saiyuusyu.pdf
田母神俊雄 -公式HP
http://tamogami.sc/
田母神・前空幕長の論文から思うこと: 石破茂(いしばしげる)ブログ
http://ishiba-shigeru.cocolog-nifty.com/blog/2008/11/post-8451.html