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本に出会う

火宅の人

書名:火宅の人(上)
著者:檀一雄
発行所:新潮文庫
発行年月日:1998/4/20
定価:514 円+税

書名:火宅の人(下)
著者:檀一雄
発行所:新潮文庫
発行年月日:1996/4/10
定価:514 円+税

檀一雄(1912~1976)は「最後の無頼派」と呼ばれ、太宰治とともに「同世代の両鬼才」(保田與重郎による)とも称されました。佐藤春夫の弟子。檀ふみさんは、檀一雄の長女です。檀一雄が14年の歳月(足かけ20年)をかけ、最期が目前に迫る病床で完結させた『火宅の人』、しばしば原稿料の話が登場します。原稿料の前借り、後先を考えずに飲み明かす、放浪の旅と自由気ままな生活を赤裸々に綴った私小説。「火宅」とは、あたかも火事になった家宅のごとき人生をさしています。「リツ子その愛・その死」の2作品が有名。檀一雄の死後、火宅の人で読売文学賞、日本文学大賞を受賞しています。檀一雄が『長恨歌』と『真説石川五右衛門』で直木賞をとったのは昭和25年。当時の作家の生活の一端が見えてきます。とはいえこれからは出てこない作家でしょうね。火宅の人が発売された当時騒がれてはいましたが、何となく読む気がしなくてようやく読んでみました。やっぱり読むまでもない本かなという気もします。