書名:妻への詫び状
作詞家生活50周年記念企画
著者:星野 哲郎
発行所:小学館
発行年月日:2003/10/10
ページ:190頁
定価:2200円+税
星野哲郎は大正14年(1925年)、山口県の周防大島に生まれる。商船学校を卒業後、遠洋漁船の乗組員になるが、腎臓結核を患って船を降り、故郷の大島で闘病生活を送る。その失意のなかで詞を書き始め、せっせと投稿を繰り返すなかから作詞家への道が開かれていく。そして作詞家としてのスタートと同時に結婚、以後奥さんとの二人三脚の作詞家生活が始まった。
今では星野哲郎を知らない人がいないと思う。4,000曲以上の作詞を手がけ、歌謡界を代表する作詞家。
でもその道のりは平坦なものではなかった。そんな人生を「七転び人生」と言っている。「夫唱婦随」とは逆に「婦唱夫随」でやって来た。その大切な奥さんの急死(平成6年)、もう二度と立ち上がれない。そんな心境を珠玉のエッセイと詞詩集で綴る。「人生の応援歌」を書き続けた星野哲郎、痛みを知る赤裸々な心情を綴っている。
「はやりうたつくり」に徹した著者は晩年になってもやっぱり、世の中の流れ、はやりにあわなくなってくる歌詞、それだけはなくしたいと常に新鮮な言葉を探している。義理と人情はなくなったかもしれないが、「親が子を思う気持ち、子が親が思う気持ち」これだけは時代が変わっても変わらないと言い切っている。
また、晩年でもやっぱり大ヒットを狙って作詞をしていると告白している。いつまでも現役、チャレンジする姿に心引かれる。作詞家の綴る文章はやっぱり綺麗です。歌謡曲ではなく、独自の詩なども収録されていて又違った星野哲郎を楽しめる本です。結婚する前に奥さんと交わした手紙300通、その一部も公開されている。
『兄弟仁義』『函館の女』『アンコ椿は恋の花』『涙を抱いた渡り鳥』『365歩のマーチ』『昔の名前で出ています』『みだれ髪』等々、数々のヒット曲を世に送り出した作詞家・星野哲郎氏。