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蝶の戦記

書名:蝶の戦記(上)
著者:池波 正太郎
発行所:文藝春秋
発行年月日:2001/12/10
ページ:457頁
定価:667円+税

書名:蝶の戦記(下)
著者:池波 正太郎
発行所:文藝春秋
発行年月日:2001/12/10
ページ:461頁
定価:629円+税

この本は甲賀女忍者於蝶を主人公に物語が展開される。足利時代の末期時は戦国時代。忍者が台頭する時代を背景に今川方の忍びとして働いていたが今川の無様に負け戦に愛想を尽かして、叔父とともに上杉謙信の越後へ。男装をして蝶丸いう名前で、小姓としてとして上杉謙信に仕えるようになる。上杉謙信に直に接することで謙信の人となりに惚れ込み謙信のために忠心を尽くそうと決心する。謙信の損な生き方(関東管領として関東を治める、自分の欲は最小にして、野望も抱かず、天子様を立てる。そのために奔走する)に共感しながら、宿敵武田信玄との戦いの数々を見聞きしている。川中島の合戦で武田信玄の陣中まで攻め込み直接対戦するが、もう少しのところで逃げられてしまう。
その後、於蝶は杉谷信正(甲賀杉谷屋敷)命で甲賀に戻る。もともと甲賀杉谷は六角氏(守護大名)に仕える忍者であった。六角氏は織田信長の侵略を受けていた。於蝶は織田信長の命を狙うべく、織田の中に入り込めと指示する。織田方の男に取り入り、難なく信長の正室お濃の側めとして仕えることになる。しかし同じ甲賀の山中俊房は織田の忍びとして仕えていた。この時代同じ甲賀でも仕える主君はそれぞれ違った。従って甲賀の掟として他国で甲賀同士で命の取り合いをしても、甲賀領内に入ったら命の取り合いはしないことになっていた。

織田信長の命を巡って杉谷甲賀の前に山中甲賀が大きく立ちはだかってくる。浅井・朝倉連合軍と織田の戦いが予想されるころ、於蝶は浅井長政の正室お市の方に仕える。「浅井・朝倉連合軍と織田の戦い」起こさせるために浅井長政をたきつける。そこで姉川の戦いの場所を予想して杉谷甲賀達は弾薬を集め、戦の最中10名の忍者で織田信長の命だけを狙う最後の働きにでる。絶好の機会と信長本陣に肉薄したが、あと一歩で目的を果たさず、杉谷信正、敬愛する伊佐木(ねずみのおばば)など於蝶以外は全員命を落とす。ひとり生き残った於蝶の姿は8年後、越後にあった。
歴史小説の醍醐味は5人以上誰でも知っている有名な武将が描かれていると興味をもって読めると思う。池波正太郎の筆が冴えている。面白い作品です。