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老人とカメラ 散歩の愉しみ

書名:老人とカメラ 散歩の愉しみ
著者:赤瀬川 原平
発行所:実業之日本社
発行年月日:1998/4/25
ページ:253頁
定価:2000円+税

「写真は趣味に限る」好きで撮るのがいちばんである。カメラには散歩がつきものである。いや散歩にはカメラがつきものか?という著者。カメラをもって散歩の途中、「これはと思ったものを見つけると」止まる。そしてシャッターを押す。こうして集めた写真とその写真について短いコント、エッセー、そしてタイトル(これも面白い)がついている。そんなエッセー集。いや写真コント集。

町でよく見掛ける看板、信号機、自転車、ゴミ、運転席だけ残ったトラック、鬼瓦など気になるものが次々と続く。日常に潜むどこか不思議な世界へ誘ってくれる。ツタの絡まる古い家この蔦が真っ赤に紅葉している写真と説明にあるが、実はこの本はモノクロ写真しか載っていない。モノクロに色の説明これも愛嬌か?

蔦が絡まる古い家、この蔦は人間の髪の毛のように見える。その家の看板は白く禿げていて見づらいがパーマ屋さん。すぐに櫛で研いでやりたくなるような蔦の髪の毛。上下に赤と緑のランプがある信号赤ランプが光っている、そこには「この信号はいつまでも変わりません」と札が下がっている。実はお寺さんの一方通行の道の入り口の信号。
何となく面白い視点、そしてほのぼのとしてくる。心が癒やされる世界あり、またどきっとする世界ありなかなか楽しい本です。ためになる本?ためにはならないでしょう!