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紅けむり

書名:紅けむり
著者:山本 一力
発行所:双葉社
発行年月日:2014/4/20
ページ:603頁
定価:1900円+税

1795年(寛政7年)オランダの東インド会社の終焉で輸出に頼っていた有田焼、その積み出し港伊万里周辺では次のマーケット探しに躍起になっていた。そんなとき「爆薬である塩硝が密造されている!」と公儀の隠密が動き回っていた。有田の薪炭屋主・健太郎は公儀隠密から協力を依頼される。塩硝が密造を巡って伊万里、江戸の顔役のネットワーク、伊万里に出張してきている公儀隠密、江戸のお庭番がそれぞれが入り乱れて暗躍する。600ページにもなる長編時代小説。

山本一力の作品は江戸を描いて、リズムよく読みやすい。文体も適度の長さが特徴でした。また語り部としても話の筋が逸品。少し説明不足という感じがするほど、練れた文章で読ませる作品が良かった。でもこの作品はくどいくどい説明それも余り関係ないことを延々と、そして展開のリズムの悪さ、今までの作品の中で一番の駄作という感じがした。売れっ子になってじっくりと構想も出来ていない内から書き始め、書きながらストーリーを重ねていく、そして後での見直しも出来ていない。以前の作品だと半分の300ページ位にしっかりと練り込んだ文章、ストーリーで終わっただろう。何が言いたいのかよくわからない。ちょっと恥ずかしい作品という感じがした。もうネタ切れかな?