書名:八月からの手紙
著者:堂場 瞬一
発行所:講談社
発行年月日:2011/6/29
ページ:366頁
定価:1,600 円+税
終戦後、約1年だけあった「日本リーグ」(国民リーグ)というプロ野球リーグの話です。日系2世のアメリカ人で、戦前一時期父の国日本で職業野球で投手をしていた矢尾という人が主人公。日本で肩を壊してアメリカに帰国すると、日本とアメリカの戦争が始まった。日系人は収容所に収容される。物語はそんな戦争が終わった直後から始まる。昔、矢尾が日本で世話になった藤倉から話があるので日本に来て欲しいと依頼され、日本に来た。呼び寄せた藤倉は八尾に「日本に新しい職業野球リーグを設立する」からそのチームに参加、もしくは監督になって欲しいと言う。
肩を壊したままでそれまで全く野球と関わってこなかったのでその申し出には否定的であったが、紆余曲折の末、有る条件を出して監督を引き受ける。その条件とはジョン・ギブソンという「ニグロリーグ」にいた選手で矢尾がいちど対決したことがある選手を自分のチーム入れることだった。「ニグロリーグ」は黒人だけのリーグで白人の大リーグからは差別し続けられていた。でも実力はニグロリーグの方が上といわれていた。ジョン・ギブソンと矢尾は殆どあってはいないが同じ差別を受けて心かよう親友。そんな野球秘話です。差別・平和・友情声高には述べていないけれどベースに流れている読ませる小説です。