書名:海舟全集 第1巻から第10巻
著者:勝 安芳
海舟全集刊行会
発行所:改造社
発行年月日:昭和2年12月20日
ページ:各巻700頁程
定価:非売品
勝海舟という人は幕臣であり、維新後も明治も生きた人。この海舟全集は幕臣時代の開国起源(上下)、明治20年松方大蔵大臣に頼まれて幕藩体制時の経済、法体系などをまとめている。(吹塵録)また自身も関わった幕府の海軍創設時の話。明治の海軍、幕府の陸軍、明治の陸軍などもまとめている。そして海舟自身の日記、幕府、政府に送った建言、自身の交友関係書簡。また当時の役人、政治家などにもついても書いている。佐久間象山、吉田松陰、坂本龍馬、松平春嶽、松平慶永、阿部正広、掘田正睦、西郷隆盛などの人物像についても述べている。幕末から明治維新にかけての歴史には欠かせない資料となるでしょう。海舟の父小勝について書いた「夢酔独言」は誤りが多いとされてはいますが、面白い内容です。明治20年代から30年代に書かれているので、現代の資料より価値があるのではないかと思います。
『復古記』(明治政府の編纂した、戊辰戦争を中心とした記録をまとめた編年体の史料集)と共に一度は読んでおきたいものです。『復古記』は官軍、幕府軍の戦いを意外と冷静な目で見て、官軍絶賛的な記述はない資料です。(官軍を絶賛しようとすると、明治の政府(薩長)のいずれかに肩を入れることになってしまうので、時の政府に遠慮したのか?事実を淡々と書いているところに好感が持てる。海舟全集は『復古記』とは違って勝海舟の視点がやっぱり入っています。
国立国会図書館デジタルコレクション - 海舟全集. 第1巻
http://dl.ndl.go.jp/info:ndljp/pid/1177336
(ここの検索窓で「海舟全集」を検索すると1巻~10巻が見つかります)
第一巻 開国起源(上)
第二巻 開国起源(下)
第三巻 吹塵録(上)
第四巻 吹塵録(下)
第五巻 吹塵余録
第六巻 陸軍歴史(上)
第七巻 陸軍歴史(下)
第八巻 海軍歴史
第九巻 海舟日記・夢酔独言・鶏肋・解難録・建言書類他
第十巻 肖像及び写真・海舟印譜・海舟書簡・亡友帖・流芳遺墨・追賛一話・清訳と逸話他