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沈黙の檻

書名:沈黙の檻
著者:堂場 瞬一
発行所:中央公論新社
発行年月日:2010/10/25
ページ:378頁
定価:1,700 円+税

この小説は警察小説というらしい。時効になった十七年前の殺人事件が俄然クローズアップされてしまった。(この当時時効は15年だった頃の事件、これからは時効が無くなったので作家はちょっと工夫がいるようになってきました)
運送会社の社長末松は十七年前、同僚と一緒に運送会社を設立して業務を拡張していたとき、そのとき社長だった同僚が殺された。同僚の末松に疑いは掛かったが、アリバイがあって疑いははれて、事件は未解決のままになっていた。その当時、別件の政治家がらみの大きな事件があって県警・警察庁の事件捜査は曖昧のまま終わっていた。

刑事の氷室がその十七年前の事件に調べ始める。未解決は警察の恥、でも当時の刑事、上司達もあえて時効になった事件を掘り返すことをいやがる。横やりが入ってくる。そんななか氷室の執念で事件を追いかける。

末松の友人の暴力団員が刑務所を出所してきて、十七年前の事件を告白する(末松と一緒に殺したと)ことで、マスコミに追いかけ回される。でも末松はノーコメントを繰り返す。そして末松の共犯だという男が殺された。
どんでん返しがそこかしこに。ちじばめられている。結構長い小説ですが著者の頭の中で練りすぎた複雑さが見えて読後になんとかもやもやとした感じが残ってしまった。策士術にはまる感じです。