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蛍の城

書名:蛍の城
著者:秋月 達郎
発行所:PHP研究所
発行年月日:2011/3/11
ページ:335頁
定価:1,800 円+税

湖笛(水上勉)に続いて京極高次を描いた「蛍の城」を読みました。この本では京極高次を戦国一臆病と呼ばれた男、妻と妹の「尻の力」によって出世したことから“ほたる大名”と揶揄される武将であると描いている。時は戦国時代、関ヶ原の戦いの直前の大津城籠城を中心に描いてある。京極高次は関ヶ原の戦いの前でも負け戦ばかりしていた武将、でも何故か命は助かっている。最初は石田三成に味方して越前前田攻めに参加していたが、途中引き返して大津城に籠もる。籠城軍3千人、西軍4万人この4万の大軍の中には戦国一勇猛とされる立花宗茂もいた。

東の徳川軍は関ヶ原にも来ていない。西軍は関ヶ原に向かって大軍が進行中、そんななか大津、逢坂の関を阻止して大津城に籠もって1週間あまり大奮闘、立花宗茂の猛攻にも耐えたが、力尽きて降伏した。

しかし、関ヶ原の戦いが始まる直前だった。戦国一勇猛とされる立花宗茂を大津に留め置き関ヶ原の戦いに間に合わせなかった功績は東軍第一と徳川家康から褒め称えられ、京極家のゆかりのある若狭を拝領した。もし立花宗茂が関ヶ原に間に合っていたら、6時間程度で戦いが決まることは無かったのでは?戦国時代にはとても珍しいユニークなキャラクタの京極高次、面白い人物です。明智光秀に味方し、秀吉ににらまれると柴田勝家に味方し、賤ヶ岳の戦いにも参加し、秀吉に敵対する。でも秀吉に許された妻と妹の「尻の力」で。その後秀頼にも敵対して大津城に籠城、徳川家康に拾って貰った。籠城の功績と妻は初(秀忠の正室お江の姉)のお陰?読み応えのある本です。