書名:ロスジェネの逆襲
著者:池井戸 潤
発行所:ダイヤモンド社
発行年月日:2012/6/28
ページ:382頁
定価:1,500 円+税
「半沢直樹」シリーズ第3弾となる『ロスジェネの逆襲』企業を舞台にした小説です。時は2004年、銀行の系列子会社東京セントラル証券に営業企画部長として出向した半沢直樹。東京セントラル証券の業績は鳴かず飛ばず。そんなところにIT企業の電脳雑伎集団社長から、ライバルの東京スパイラルを買収したいと相談を受ける。大型の商談である。アドバイザーに選ばれば巨額の手数料が入るビッグチャンス。そこに東京セントラル証券の親会社である東京中央銀行から理不尽な横槍が入る。子会社である以上親会社の良いなりが普通、でも半沢直樹は周囲をあっと言わせる秘策に出た。人事が怖くてサラリーマンが務まるか!ちょっと骨のある内容です。困難に向かいながら策を巡らしていく、読んでいる者に少しの暇を与えないスピーディーな展開が面白い。
本書より
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「オレにはオレのスタイルってものがある。長年の銀行員生活で大切に守ってきたやり方みたいなもんだ。人事のためにそれを変えることは、組織に屈したことになる。組織に屈した人間に、決して組織は変えられない。そういうもんじゃないか」
「サラリーマンだけじゃなくてすべての働く人は、自分を必要とされる場所にいて、そこで活躍するのが一番の幸せなんだ。会社の大小なんて関係がない。知名度も。オレたちが追求すべきは看板じゃなく、中身だ」
「仕事の質は、人生そのものの質に直結しますから」
「仕事は客のためにするもんだ。ひいては世の中のためにする。自分のためにした仕事は内向きで、卑屈で、身勝手な都合で醜く歪んでいく。そういう連中が増えれば、当然組織も腐っていく。組織が腐れば、世の中も腐る。
「どんな場所であっても、また大銀行の看板を失っても輝く人材こそ本物だ。真に優秀な人材とはそういうものなんじゃないか」