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明治九年の謀略

書名:明治九年の謀略
著者:舞岡 淳
発行所:光文社
発行年月日:2000/8/10
ページ:368頁
定価:848 円+税

明治時代を舞台にした小説です。維新後の激動期の明治四年。一人の元会津藩士が鬼になった。名前は片岡新十郎、たぐいまれな剣の遣い手。幕末から維新まで欧州へ剣劇を見世物として巡回して来た。維新後日本に帰ってくると家族も友人も官軍に殺されていた。彼の心には悲惨な境遇に陥れた者どもへの復讐だけがあった。
あれから5年静岡で奇怪な死亡事件を起こした宗教集団「山王御霊会」、銀座煉瓦街の一角で、新政府の役人の妻妾を主たる顧客として透視術を行なう奇妙な一団「有偽図倶楽部」。そこに見え隠れする片岡新十郎が勝海舟の調査で段々と全貌が浮かび上がってくるというミステリー仕立ての小説です。

著者がプロ作家を目指して単行本を出すまでに20年かかった。という本書です。なかなかの力作ですが語り部としての才能はちょっと言う感じがします。物語を作る、創る能力は努力では無理なのかも?この著者の作品は残念ながら少ないです。知っているのは『明治十一年の贋札』位。著者の意気込みは買えますが、ちょっと空回りしているような感じがします。